太郎坊のそよ風

認定NPO法人 富士山測候所を活用する会 スタッフブログ

DSCN0802
 6月21日の降雨で若干雪解けが進んでいたものの、馬の背は依然として雪に覆われており、測候所周辺にも多くの雪が残っている。


開所に向けて、連日、山頂班による除雪作業が続けられている。

23日(金)は仮設庁舎西面・4号庁舎西面を中心に、24日(土)は翌日から降雨が予想されるので、除雪箇所を全面にわたり力を入れた。氷の厚みが3年前よりもあり、困難な箇所は特に徹底した。


DSCN0794
玄関先の除雪状況

DSCN6018_R
チェーンソーで氷の切り出し

DSCN6015_R
チェーンソーで氷の切り出し

DSCN5998_R
4号庁舎

DSCN0799
3号庁舎西側の除雪作業

DSCN0798
2,3号庁舎の除雪状況

IMGP0005_R


DSCN0796
4号庁舎西側の状況

4
 工事前の2.8合ハット内部の写真。湿気により木製の柱や梁が腐食している

富士山の多くの山小屋が電気を使用していないのに、山頂の富士山測候所には電気が通じているのを聞いて驚く方も少なくない。厳密には夏の7月、8月の2カ月間だけではあるが、麓から商用電気を通し観測機材の電源などの利用に供している。

山頂に電気を供給している高圧ケーブルは標高1075㍍にある1号柱から標高1575㍍にある73号柱までは延長3.8㌔㍍の架空送電線、その先は海底ケーブル仕様のケーブルが、山頂に向かって地中埋設されている。

埋設ケーブル区間の総延長は約7.2㌔㍍。途中5箇所の中継点としてのハット(木造小屋)を経由している。ハットはケーブル区間で障害が発生した場合、障害箇所を特定するための切り分けを可能とするほか、避雷(アレスターにより雷のサージを吸収)などの役割ももっている。

fujix
 富士山測候所の電源系統

ハットを含む電源ケーブルは、毎年夏期観測が始まる前に点検を行い、その機能の確認を行っている。標高2020㍍にある2.8合ハットで、内部の木の柱や梁が腐食し、天井が落下する危険性があることが確認されたのは、昨年点検が実施された6月のことである。

測候所開所期間中にハット倒壊により山頂への電気が停止するリスクを回避するためには、今年の開所前までに内部の補強工事を終わらせておくことが越年の課題となっていた。昨年来、その工法についてはいくつかの案の検討を重ねてきたが、最終的にはコストや工期を勘案し、単管パイプでハット天井部を押し上げる形で補強する方式に落ち着いた。工事は6月22日(木)とし、悪天候等に備えて翌日23日(金)を予備日に設定した。

大変だったのは、それからである。機材・資材などを運搬するブルドーザーの乗り入れにあたっては、当該場所が国立公園第1種特別地域(富士箱根伊豆国立公園)、特別史跡名勝天然記念物(特別名勝)、鳥獣保護区特別保護地区に指定されているため、それぞれ関係する法令の規制を受ける。工事着手前に、その許可を取りつけなければならないのである。

実に厄介なことに、(当然といえば当然なのであるが) 許認可は管轄するそれぞれの地方公共団体を通して申請しなければならない。静岡県環境部環境局自然保護課殿のご指導を仰ぎながら、関係するところに連絡しまくり、突貫で申請書類を作り上げ郵送した。工事着工に必要となるすべての許可書が取り揃った時は、工事前日ギリギリの午後3時を回っていた。

21日は、東海地方は折からの低気圧と梅雨前線の影響で広範囲に雨が降り、本格的な梅雨入り。各地で冠水被害や避難勧告も出されるほどの大雨となった。幸いなことに翌22日は梅雨も中休み、曇天ではあったが工事には支障なかったという。

9:40には2.8合ハットに到着。工事は予定どおり順調にはかどり、作業は12:30前には終了した。これで6月27日(火)の始点(1号柱キュービクル)から測候所(終点)までの通電試験を経て、7月1日の開所となる段取りだ。2.8合ハットの補強工事はその前提となるいわば第一関門である。ここを突破できたことで、開所に向けて一歩前進することになった。

1
 9:40 2.8号ハットに到着、資材・機材を荷下ろし

2
  2.8合ハットの外観。特に異常は認められない

7
 補強作業終了後。単管パイプと天井の補強材でがっちりと組み込み(入口より撮影)

b
 ハット内の電気設備(碍子、避雷器)も点検・清掃

e
 12:30 作業完了後、ハットの扉を閉鎖・施錠

当NPO法人の理事であられた登山家・田部井淳子様が昨年10月20日にお亡くなりなって、早いもので半年になりました。

いつも夏になると東北の高校生と富士登山をさ、その写真入りの暑中見舞いはがきを事務局にも送ってくださっていたのを、懐かしく思い出します。

さて、田部井淳子様のご主人・政伸様がこの度『てっぺん 我が妻・田部井淳子の生き方』(宝島社)を出版されたということで、事務局にもご案内が届きましたので、ご紹介いたします。

 

この度、田部井淳子の夫・政伸が初めて本を出しましたので、ご案内させていただきます。

本のタイトル『てっぺん 我が妻・田部井淳子の生き方』(出版社 宝島社)

 tabei
 
先週から発売開始となっております。
 
本の中には、田部井政伸自身の来し方から、淳子との出会い、一緒に歩んできた登山人生、闘病、淳子が亡くなってからの日々などが書かれています。
 
遺品の整理をするなかで見つけた淳子の三春中学2年生のときの日記や、エベレスト登山中に交わした夫婦の往復書簡など、初めて公開するもの多く含まれています。
 
田部井政伸曰く、「恥ずかしいような、、、背中が青くなるような気持ちです」。ユニークな新しい言い回しの(?)コメントですが、読んでいただくとなんとなくその意味がわかっていただけるかもしれません。
生前の田部井淳子を知っていただいている皆様には、より身近に読んでいただけるのではないかと思います。
 
田部井のホームページの本の紹介のページ(Amazonのページにもリンクを貼ってあります)
 
また、全国書店ネットワーク「e-hon」に掲載されているおすすめコメントは下記の通りです。
~~~~~
がんと闘い、2016年10月に77歳で亡くなった、女性初のエベレスト登頂者である田部井淳子さん。その生き方を一番近い場所で見つめてきた夫の田部井政伸氏が、彼女と過ごした人生のすべてを綴ります。二人の出会いから最後の闘病生活まで、これまで語られなかったエピソードが満載。夫として、また妻の登山への想いを一番よく知っているサポーターとして、てっぺんを追い続けた淳子さんの姿を描くノンフィクション作品です。(全国書店ネットワークe-honの「おすすめコメント」より)
~~~~~
 
P.S.7 月15日~9月18日まで世田谷文学館で山をテーマにした企画展『山へ! to the mountains 展』があり、田部井のエベレストの装備などを展示する予定です。その中に、今回、この本の中に収録している手紙や日記の実物を一部、内容が読めるようにして展示していただく予定です。よかったらどうぞそちらにもお越しください。
 
時節柄くれぐれもご自愛ください。

このページのトップヘ