太郎坊のそよ風

認定NPO法人 富士山測候所を活用する会 スタッフブログ

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富士山測候所を活用する会のホームページにもカウントダウンタイマーを設置、カウントダウンがはじまった。ついでにGooddoの赤いボタンをクリックしていただけたらうれしい!

超大型の台風21号は23日未明、静岡県の御前崎市付近に上陸した後、関東地方を北上。台風一過の東京は抜けるような青空となった。そしてこの日、富士山初冠雪の便りが届いた。観測史上過去3番目に遅いという。

さて、この富士山の麓・御殿場市で来月6日から開催される国際会議ACPM2017(正式には「山岳域における大気化学・物理に関する国際シンポジウム2017」という)まで、今日で残すところ2週間となった。ホームページにもカウントダウンタイマーを設置し、準備もいよいよ最後の追い込みに入った。

この会議では、山岳域における大気の物理・化学を中心とした研究分野に携わる世界の研究者や技術者が一堂に会し、研究成果を発表する。大気中の物質による山岳域の汚染、山岳域での観測施設を利用した地球環境の監視など、山岳を中心とした自然環境での大気に関する研究成果を共有し、環境問題の解決の方針を探ろうとする会議である。(ニュースリリース2017.10.5

同じ会議はこれまで2回開催されており、第1回(2010年)はスイスの名峰ユングフラウ、アイガー などを望むインターラーケンで、第 2 回(2014年)は米国のロッキー山脈を望むコロラド州スチームボートスプリングスにて開かれ、それぞれ各国から約 100 名が参加した。

第3回となる今回の会議は、11月6日から10日までの5日間の会期で日本開催が決まった。会議場は富士山を一望でき、NPOの主たる活動の拠点になっている御殿場市が選ばれた。参加者は10月に入ってからもドタキャンがあったり、急な参加の申し込みがあったりしたが、最終的に11か国から約80名で落ち着いた。

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 ACPM2017の会議日程

準備にあたる事務局にとって国際会議は初めてのこと。日本政府観光局発行の「国際会議開催マニュアル」を頼りに、ほかの国際会議のウェブサイトを見て研究したり、これまで国際会議に出席した方々の会議資料を参考にしたりして、文字通り「見よう見まね」の手探りで準備を進めている。

制作物もできあがり始め、徐々に形が見えてきた感じはするものの、まだまだやるべきことのチェックリストは埋まりきっていない。今週末には開催直前の最後の実行委員会を開き、最終確認が行われる。「準備万端、あとは会議の開催を待つだけ」と早く言えるようになりたいものである。

そして、会議が滞りなく執り行われ、有意義な成果をあげられるとともに、できることなら参加された方一人ひとりに満足していただけるよう、おもてなしできたらと思っている。

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  本日納品されたACPM2017プログラム集(A5判・24頁)

コングレスキット一式を入れるコングレスバッグは静岡県東部コンベンションビューロー様から格安でご提供いただいた。このほかにも名札のストラップや立て看板、ホテル宿泊費の補助などのご支援やアドバイスをしていただき、大変お世話になっている。

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 コングレスキット一式を入れるコングレスバッグ

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 ACPM公式サイトは9月末から2週間の突貫工事で作り変え、10月15日にリニューアルオープン

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 レポートを送ってくれた遠藤周さん(東京大学農学部溝口研究室4年)

今日から10月。富士山測候所の夏期観測が終了して1ヶ月になり、地上はめっきり秋らしくなった。気象庁の富士山頂アメダスによる気温データは、もう0度以下となる時間が多くなってきた。

ところで、富士山測候所の中の室温はいまは何度であろうか?実は、山頂庁舎内で気温、湿度などを測定し、今年の夏の観測が終了したあとも山頂からデータを送り続けているプロジェクトがある。その責任者の遠藤さんからレポートが届いた。

はじめまして!
東京大学農学部溝口研究室4年の遠藤周(えんどうあまね)と申します。

この度は学生公募*として富士山測候所を活用する会のみなさまにご協力いただき、富士山測候所で実験をさせていただきました。遅くなってしまったのですが、今回のレポートを書かせていただきます。

今回は、当研究室が協力して開発している簡易モニタリング機器を使用し、越冬観測に使用することが可能か試験させていただいております。こちらが成功すれば、今後の観測に大いに役立つと考えています。

都会から離れていたり、海外にあるような農地では、通信機能のないロガーを用いてデータを集めることがまだまだ多い。そうした環境では、データを得ることができるのが1年越しだったり、時には途中でトラブルがあってデータが取得できなくなっていることに回収まで気づけないようなことがあり得ます。

富士山測候所でも同様に、通信機器の無いロガーでデータを取ることも多い状況です。そして、冬季には測候所に立ち入ることは出来ません。そうした際に、様々な通信機器と接続できる簡便なロガーがあれば、非常に研究の幅が広がると思います。

こちらの機器「HALKA」は、農業を含め各種観測に使用できる、リアルタイム通信が可能なロガーです。当研究室が企業と共同開発しております。単三電池3本で(最大)1年間稼働し、データの保管とリアルタイム通信を行います。送られたデータはクラウドに送信され、いつでも確認することができます。通信の間隔は1時間ごとから24時間ごとまで自由に設定できます。

センサー接続用の規格,SDI-12に対応しているので、農業関係のセンサーだけでなく様々なセンサーに使うことができます。今回は初めての観測ということで、きちんとHALKAが越冬できるかを精査して、次につなげていこうということになりました。

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 富士山測候所では、外光を取り入れることができる窓は貴重な資源となっている

現状は写真のように、2台のセンサーと2台のHALKAで測候所内の温湿度や気圧の観測を行っています。

集めたデータは以下のサイトで確認することができます。
http://fewls.x-ability.jp/static/chart.html?imei=860585002581923&sensor=VP-4&after=2017-07-24
こちらのHALKAは電池で駆動させています。そこに、METER社のVP-4センサーを取り付けています。1号庁舎2階の中の、気温、湿度、気圧を計測しています。
http://fewls.x-ability.jp/static/chart2.html?imei=860585003206389&after=2017-08-10&sensor=ATM41

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こちらは、充電池に加え0.3W(7cm x 4cm)の太陽電池を取り付けており、METER社のウェザーステーションATMOS41を取り付けています。こちらは、1号庁舎2階の中の、気温、湿度、気圧に加えて近接している雷を計測しています(雷センサのデータは所得できていますがまだ反映されていません)。

私自身は富士山山頂に行くのは初めてだったのですが、東京学芸大学の鴨川先生をはじめ、富士山測候所を活用する会の方々のご協力の結果無事に機材を設置することができました。

初めての富士山山頂、富士山測候所は非常に新鮮でした。
この度は、こうした機会をいただきまして、本当にありがとうございました。

10周年となった今年の夏期観測は、夏だけでなく通年で観測するプロジェクトが増えたのが特筆された。いわば "第2次越冬観測ブームの到来" の様相を呈している。ご承知のとおり富士山頂に通電しているのは、山頂開所期間中の7月、8月の2ヶ月間だけである。通年観測をする場合は、冬の間、その電源をいかに確保するかが課題となっている。

これまで山頂で行われてきた国立環境研究所による二酸化炭素の観測は、越冬期間中は100個ものバッテリーをその電源として使用するという大掛かりなもの。一方、今回ご紹介したプロジェクトで使用しているのは、わずか単三電池3本だけで最大1年間稼働するという。

様々な通信機器と接続できる安価で簡便なロガーは、富士山のような極地での研究の可能性を大きく広げることが期待できる。これからが楽しみなプロジェクトである。

*学生公募
当NPO法人当NPO法人は、設立趣旨として富士山測候所を学術研究・教育等の分野において広く開かれた施設として有効活用することを目的としています。学生公募助成は、特に教育的観点から、学生の自主的な運営による調査研究活動に対して助成を行うものです。
応募要項はこちらを参照ください。

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 第58回大気環境学会年会で学生発表賞の賞状を受けとる早稲田大学・大河内研の中村恵さん

2017年9月6日ー8日、神戸市で開催された第58回大気環境学会年会。「大気環境をめぐる多くの分野の専門家が一堂に会し、日ごろの研究成果を発表するとともに、貴重な情報を交わす場」(年会長・島正之氏のごあいさつより引用) である。大気化学研究者は当NPO法人の主力を占めており、畠山理事長、大河内理事はじめ多数の関係者が参加した。

さて、まず初めに早稲田大学・大河内研の中村恵さんが、以下の発表で学生発表賞に輝いたことをご報告したい。
富士山体を利用した大気境界層及び自由対流圏の雲水化学特性の解明 (3)
〇中村恵、大河内博、島田幸治郎、勝見尚也、皆巳幸也、小林拓、三浦和彦、加藤俊吾、和田龍一
大気環境学会の学生発表は、大会初日の6日午後、5つの会場で1時間の学生セッションがあり、合計31件の発表があった。中村さんは、その中から選ばれて受賞したもの。富士山での研究の成果で受賞はよろこばしいことである。この学会の発表では毎年、富士山研究者の受賞があり、今年もその伝統を引き継いだことになる。

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 大河内教授を挟んで受賞者の中村恵さん(左)と真庭護さん(右)

早稲田大学大河内研の学生では、ほかに真庭護さんも学生発表賞を受賞した。フィールドは富士山ではなく丹沢と異なるが、山岳域という点では同じだ。
首都圏近郊山間部森林域における渓流水の化学特性と大気沈着の影響評価 (3)
〇真庭護1,大河内博1,島田幸治郎1,中野孝教1,井川学2
1早稲田大学大学院創造理工学研究科,2神奈川大学工学部
当会理事の兼保直樹先生は「現象解明型ーローカル汚染と長距離輸送と放射性エアロゾル」で今年の大気環境学会賞を受賞された。受賞内容は富士山の仕事とは直接は関係していないが、やはり、富士山仲間として嬉しい。他の会場では、和田龍一先生(帝京科学大)や米持真一先生(埼玉環境センター)の発表もあり、関係者の姿が目立った。

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  和田龍一先生(帝京科学大)の発表「山岳道路沿道における窒素酸化物濃度と変動要因の解明

最終日の8日特別集会では、早稲田大学の大河内先生と環境調査会社のグリーンブルー社が、この8月に太郎坊において高度別のPM2.5濃度を観測するため産業用ドローンを使って試験をした成果が発表された。この成果については、年会開催中の9月6日付け環境新聞に大きく取り上げられ、注目を集めていた。

富士山頂では測候所が無人になる夏季以外の季節は、これまではフィールドでの直接観測はできなかったが、ドローンによる鉛直観測で補完することで、より広域・立体的に汚染大気を把握することが可能となり、山頂の通年観測の意義も高まるということらしい。富士山を舞台にした如何にもスケールの大きい試みではなかろうか。いまから来年の本観測が楽しみである。

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 環境新聞(9月6日付)に取り上げられた大河内博・早稲田大学教授とグリーンブルー社の試験観測の記事(クリックで全紙面に拡大)


環境新聞(かんきょうしんぶん):東京都新宿区四谷に本社のある環境新聞社が発行している環境・公害関係に特化した専門紙。1965年11月に環衛公害新聞として創刊。その後、1971年に環境公害新聞に改称され、1993年から環境新聞となっている。毎週水曜日発行。 環境新聞社は、環境新聞を「わが国唯一の環境保全と公害対策の専門紙」であるといっており(実際には他にも環境問題を扱う専門紙は存在するため「唯一」ではない)、環境問題に関する幅広い内容が紙面でとりあげられている。(Wikipediaより)

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