太郎坊のそよ風

認定NPO法人 富士山測候所を活用する会 スタッフブログ



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山頂で雲・エアロゾル粒子を計測する装置の説明をうける。

 



開所3日前の7月8日(金)、東京理科大学三浦先生の研究室で放送局の方と取材打合せ。

 

そのあと、山頂へ送る観測機材などが置いてあるフロアを案内していただきました。細長い研究室には、片側に奥までぎっしりと稼働中の観測機材が並び、圧倒されそう。10人ほどの学生が最後の調整と荷造りに追われていました。

 

三浦先生の研究テーマは、富士山頂におけるエアロゾル粒子と雲凝結核の測定。今年は、山頂と麓の太郎坊において、同時にエアロゾル粒子の粒径分布、雲凝結核数、小イオン濃度、ラドン濃度の測定、個々の粒子の元素分析を行い、それらの関係について調べる予定という。

 

これらの観測機材は7月14日(木)に荷上げ。8月下旬まで約6週間にわたって山頂で観測をつづけます。



 

[関連プロジェクト]


富士山頂におけるエアロゾル粒子と雲凝結核の測定
基礎生産性の高い海域から放出される生物起源気体は、海洋エアロゾル粒子の重要な起源である。粒子数が増加することにより、雲は大気の負の放射強制力を増すが、大気境界層には海塩粒子が存在するので新粒子生成は起こりにくく、自由対流圏で生成されると思われる。富士山山頂は年間を通して自由対流圏内に位置することが多いが、大気境界層内の影響を無視する事ができない。そこで、山頂および太郎坊において同時に、エアロゾル粒子の粒径分布、雲凝結核数、小イオン濃度、ラドン濃度の測定、個々の粒子の元素分析を行い、それらの関係について調べる。



 

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廊下には太郎坊に向けて送る梱包荷物が山積み。

 

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東京理科大は、神楽坂の路地裏をはいったこの奥にありました。






開所まで一週間を控えた7月4日(月)、東京理科大学神楽坂ポルタにおいて、報道関係者に今年の研究観測の概要を発表しました。


畠山理事長のご挨拶、堀井副理事長の全体的な計画概要説明のあと、スライドで大気科学関係、高所医学関係の個別の研究内容を、それぞれ三浦理事(東京理科大)と井出理事(都立大塚病院)が発表。


大気科学のトピックスとして、①環境放射線測定②通年観測③大気化学と大気電気のコラボによる雲の観測をあげていました。雲の観測のため、山頂と太郎坊に初めてライブカメラを設置します。


<関連掲載記事>





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会場の神楽坂ポルタは地下鉄飯田橋から徒歩2分、繁華街にある



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決定
大気科学関係のトピックスを紹介する三浦広報委員長







6月11、12日に国立オリンピック記念青少年総合センター大ホールで第31回日本登山医学会を開催した。学会は過去最高の400余名の参加者があり、盛況のうちに無事終了した。


1日目には、まず私が、会長講演"高所登山の医学―趣味と実益を兼ねてー"を行い、富士山測候所での研究を含め、自分の高所医学関係の研究を紹介した。講演後、高濃度酸素溶存水について質問が多かった。大城和恵氏は英国で認定山岳医ライセンスを取得した経験を紹介された。シンポジウム"登山のためのトレーニング"では、山本正嘉氏が中高年者の持つ問題点について、山地啓司氏が持久力について、石井直方氏が筋トレについて講演された。石井氏は最大筋力の30から40%でのスロートレーニングが筋力をつけ、加圧トレーニングは筋肉を痛める危険があると、提言された。


ランチョンセミナーでは、飯野靖彦氏が、登山と水分摂取に広範な話を楽しくされた。ウルトラマラソンの水分管理など興味深かった。経口補水液はアウトドアで新しい展開をしそうである。午後は、有田秀穂氏が、登山とセロトニンについて講演され、ウオーキングや禅とセロトニンの関係などに触れた。登山は脳を活性化する上で大変有効とのことだった。続いて子島潤氏が、高所における睡眠時無呼吸の危険と治療法を講演された。


緊急ワークショップ"大震災でみたこと・できること"では、増山茂氏が登山医学会の東北大災害への取り組み、特に低体温症対策啓発活動と医療支援について紹介し、斉藤健太郎氏が支援体験を語った。西澤匡史(公立志津川病院)と石井正氏(石巻赤十字病院)は、応援医師たちとの医療体制の構築と共闘について紹介された。災害時の医療面のリスクマネイジメントを知るとともに、石井正氏から提言された"自立支援"を促すべきという提言は、現地の声ならではという感があった。


展示会場では、一般演題34題がポスター発表され、盛り上がっていた。懇親会には約160名が参加し、華やいで楽しい雰囲気であった。


2日目は、船木上総氏が、トムラウシ山遭難を検証し、従来、"低体温症"と異なる点、例えば突然発症する場合がある点などを指摘した。シンポジウム"セブンサミッタ―医療関係者は語る"で、篠崎純一氏がエベレストで酸素ボンベを使った経験、河野千鶴子氏が、56歳から8000m峰4座を登頂した経験の比較などについて講演された。最後にランチョンセミナーで、前田宜包氏と神尾重則氏が山中でAEDを使って蘇生に成功した症例を報告し、小菅宇之氏が2010年に激変した救急蘇生法について解説された。午後は市民公開AED実技講習会と医療従事者向けの心肺蘇生実技講習会が行われた。


一般演題は34題発表され、富士山関係が8題を占めていた。富士山測候所関係の発表は3題であり、岡崎和伸氏、浅野勝己氏が山頂で交感神経亢進によって脳血流が増加し、そのことが高山病による頭痛の重症化に関与する可能性について指摘した。笹子悠歩氏、山本正嘉氏は、登山経験の少ない高齢者では富士登山の負担が大きいことを示した。笹尾真美氏、野口らは、味覚感度は2400mでは変化せず、山頂で低下し、特に甘みと苦味の低下が顕著であることを報告した。その他には、山頂領域で交感神経の賦活と身体の電気伝導率の低下が起こること(長澤純一、野口ら)、視覚機能として近視化がおこること(小林泰子氏、小野寺昇氏ら)、小児のSpO2について(原田智紀、野口ら)、救護所の活動について(前田宜包氏ら)、頭痛について(橋本しをり氏、沢田哲治氏)があった。


今回の大会テーマは、"実践的な登山医学をめざして"であったが、一般向けに"楽しくて、ためになる"をコンセプトした。ほぼテーマに沿った内容で実施できたと思う。講師の先生方は内容の濃い講演をされ、聴衆は熱心に聴講されていたことに感謝したい。(第31回日本登山医学会学術集会会長 野口いづみ記)



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会長講演"高所登山の医学―趣味と実益を兼ねてー"



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シンポジウム"登山のためのトレーニング"。左端が山本正嘉氏(鹿屋体育大学)



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大会テーマは、"実践的な登山医学をめざして"であったが、一般向けに"楽しくて、ためになる"をコンセプトした。


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34題のポスター発表が行われた。






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会場ではチャリティバザーもおこない、志津川病院への義援金を募りました。



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