太郎坊のそよ風

認定NPO法人 富士山測候所を活用する会 スタッフブログ

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年賀はがき売り出しの垂れ幕が下がった近所の半蔵門駅前郵便局

11月1日。全国一斉に来年の年賀状の販売が始まりました。
年の瀬が近づきつつあるのを感じさせる時期になりました。

今年はこの日に合わせ、当NPOでも、カーボンオフセット年賀はがきの購入プロモーションを行なっています。
カーボンオフセット年賀はがきの1枚につき5円の寄付金は、地球温暖化防止を推進するプロジェクトの支援に使われ、日本の温室効果ガス排出削減目標の達成に”カーボンオフセット”という形で貢献しています。

これから購入される方は、是非この機会に、カーボンオフセット年賀はがきをインターネットで購入して、当会をご支援していただきますようお願いします。くわしくはこちらをご覧ください。

もう一つのこの時期の風物詩といえば、カレンダーでしょうか。今年も交通新聞社さんから”富士山の魅力カレンダー2012”をいただきました。交通新聞社さんのカレンダーは、鉄道関係が多いのですが、昨年から売りだしたこのカレンダーは好評で完売したとか。購入申込は早めにこちらから。

以上、コマーシャルとお知らせでした。

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東京事務所の応接室?の壁に掛けられた”富士山の魅力2012カレンダー”。

(参考)去年2010年11月29日のブログ記事


氏名: 河村公隆(Kimitaka KAWAMURA)

所属: 北海道大学 低温科学研究所(Institute of Low Temperature Science, Hokkaido Univ.)

共同研究者氏名・所属:

関宰(Osamu SEKI)1)、福田康朗(Yasuro FUKUDA)1),2)

1)北海道大学 低温科学研究所(Institute of Low Temperature Science, Hokkaido Univ.)

2)北海道大学大学院 環境科学院(Graduate School of Environmental Science, Hokkaido Univ.)

   

研究テーマ:

富士山頂における有機エアロゾルの組成と起源に関する研究

A study on chemical composition and origin of organic aerosols collected at the summit of Mt. Fuji

研究結果:

大気中に存在する微粒子(エアロゾル)は、太陽光の散乱を引き起こし、雲の凝結核として作用することで気候に影響を与えると考えられている。その中でも特に低分子ジカルボン酸をはじめとする水溶性有機化合物の果たす役割は大きい。また、水溶性有機化合物は大気に発生源から直接排出されるものだけでなく、大気中で他の有機化合物が光化学的反応を受けることにより二次的に生成することが知られている。しかし、そのメカニズムは十分に理解されているとは言えない。そのため、当該研究グループではこれまで各地において有機エアロゾルの観測を行ってきた。


本研究では昨年度同様、富士山頂において有機エアロゾルの捕集を行うことで、東アジア・北太平洋域の自由対流圏における有機エアロゾルの分布と起源、輸送過程における光化学的変質に関する新たな知見を得る事を目的としている。

今年度の観測では、下記の二種類の機材を用いてエアロゾルのサンプリングを行った。

①ハイボリュームエアサンプラー(HV): 全粒径かつ詳細な化合物の分析に必要な大容量のエアロゾル粒子の捕集を目的とする。

②ローボリュームインパクター(LV): 気体として多くが存在している有機酸(ギ酸や酢酸など)の捕集を目的とした小型のサンプラー。中性フィルターにはエアロゾル粒子を、アルカリ含浸フィルターにはガス状有機酸を捕集する。


今年度の観測は8/3?8月29日にかけて、富士山測候所3号庁舎西側外部で実施した。エアロゾルは8/3-8/6は日中と夜間に分けて、それ以降は2日毎にフィルター交換を行い、LV, HVそれぞれ18セット(36枚)と15枚のフィルターを得た。

採取したフィルターは、水による抽出、ブチルエステル誘導体化を行った後に、ガスクロマトグラフィー(GC)、ガスクロマトグラフィー/質量分析計(GC/MS)によって低分子ジカルボン酸類の分析を行う。また、同様に有機溶媒で抽出を行い、植生や森林起源の有機物トレーサー(SOAトレーサーを含む)や、森林火災起源の有機物トレーサーの分析も行い、それらが自由対流圏に与える影響に関しても考察を行う。更に、ガス状及び粒子状の低分子モノカルボン酸を測定し、その濃度・分布を明らかにする。

全炭素(TC)、全窒素(TN)全有機炭素(OC)、水溶性有機炭素(WSOC)、イオン、GC/C/irMSによる化合物中の安定炭素同位体比の測定なども合わせて行い、更に考察を深めていく予定である。


一昨年および昨年度の我々の観測結果からは、自由対流圏内の有機エアロゾル濃度を明らかにするとともに、境界層内から低分子ジカルボン酸や森林起源の化合物が山頂に大量に輸送されていることが推測された。今年度の観測によって得られた多くの試料を分析することで、これらの結果を検証するとともに、自由対流圏内の有機エアロゾルの挙動に関して、さらに深い考察を行う事ができると期待される。特に、低分子有機酸の測定を山岳域で始めて行うが、低地からの輸送の間にこれらが生成されている証拠を入手することが期待される。




英文:


Atmospheric aerosols, suspended particles in the atmosphere, are thought to affect climate and weather condition via scattering solar radiation and acting as a cloud condensation nuclei (CCN), which can be a nuclei to form clouds. Among them, water-soluble organic aerosols, including low molecular weight dicarboxylic acids, are thought to have a large effect on a climate. Water-soluble organic aerosols are composed of not only primary emitted materials to the air, but also chemical degradation products of organic precursor compounds. Our laboratory has done many campaigns to reveal chemical compositions and distributions of organic aerosols at many locations.


This study aims to reveal molecular distributions, origins and transport pathway of organic aerosols over East-Asia and the western North Pacific region by analyzing the filter samples collected at the summit of Mt. Fuji following the results of the 2009 and 2010 campaign.


We had set two types of samplers to collect aerosol samples for each objectives described as below.

1. High-Volume air sampler (HV): for Total Suspended Particles (TSP), which will provide enough materials needed for detailed organic chemical analyses.

2. Low-Volume impactor sampler (LV): for organic acids such as formic and acetic acids, most of which exist in a gas phase in the air. The quartz filters that were impregnated with KOH were used to collect gaseous organic acids whereas particulate organic acids were collected on neutral quartz filters.


Sampling campaign had conducted from August 3rd to 29th 2011 at the outside of the 3rd Building at Mt. Fuji weather observatory. 15 HV filters and 18 sets of LV filters have been collected during this summer campaign.


Dicarboxylic acids will be measured by using GC/FID and GC/MS after dibutyl esterification of target compounds. And other organic compounds which was emitted from biomass burning and secondary products of biomass emissions will also be measured. Organic acids will be determined by GC/FID after derivatization to p-bromophenacyl esters. We will consider about the importance of these compounds in the free troposphere.


By analyzing samples we collected last year, we could identify chemical compositions and size distributions of various organic compounds over Mt.Fuji, and the results also suggested that many organic compounds are transported from the planetary boundary layer to the summit.

We expect that this year’s samples will provide more insights about the information on free tropospheric organic aerosols.

(参考)プロジェクト計画:
富士山頂における有機エアロゾルの組成と起源に関する研究

本研究では、富士山頂における有機エアロゾルの組成と起源を明らかにする為に、前年に引き続いて有機エアロゾルの観測を行う。今年度は、昨年度用いたハイボリュームエアーサンプラー(エアロゾル全量)とミドルボリュームエアーサンプラー(粒径別エアロゾル)に加えて、ローボリュームエアーサンプラー(有機酸捕集)、霧水採取器を持ち込む予定である。これらの観測結果を総合する事で、山頂に輸送された有機エアロゾルに関するより詳細な知見を得る事を目的とする。試料から分離した有機物の解析にはGC, GC/MS, GC/irMS等を使用予定。




氏名: 三浦和彦 Kazuhiko Miura

所属: 東京理科大学理学部 Faculty of Science, Tokyo University of Science

共同研究者氏名・所属:

永野勝裕(東京理科大学理工学部) 

小林 拓(山梨大学)

Katsuhiro Nagano (Faculty of Science and Technology, Tokyo University of Science)

Hiroshi Kobayashi (University of Yamanashi)

   

研究テーマ:

富士山頂におけるエアロゾル粒子と雲凝結核の測定

Measurements of aerosol particles and cloud condensation nuclei at the summit and a base of Mt. Fuji

研究結果:

7月15日?8月24日まで、山頂において、エアロゾルの粒径分布、雲凝結核濃度、ラドン濃度、イオン濃度の連続測定を行った。例として光散乱式粒子計数器(RION KR12)で測定した直径0.3 m以上、1 m以上、5 m以上の粒子数濃度の時間変化を図1に示す。5 m以上の粒子は例年同様、登山客の影響を受け、日中高い値を示している。日中8月19日?23日にかけて全粒径範囲で濃度が低いのは降雨があったためである。今後、他の要素と比較検討する。

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図1 富士山頂で測定した0.3?m以上、1?m以上、5?m以上の粒子数濃度の時間変化







英文:


Size distribution of aerosol particles, cloud condensation nuclei concentration, radon concentration, and ion concentration was measured continuously at the summit during July 15 and Aug. 24, 2011. Figure 1 shows the time variations of concentration of particles larger than, 0.3 m 1 m, 5 m in diameter measured with an optical particle counter (RION KR12).  Concentration of particles larger than 5 m showed high values in daytime by local influence.  Concentrations measured between Aug. 19 and 23 were affected by rain and showed low values in all ranges.  More detailed discussion will be done comparing with other elements.


研究成果の公表:
論文発表(投稿中)

長谷川、三浦、飯沼、小林:富士山山頂における雲凝結核濃度の測定、エアロゾル研究


口頭発表

三浦:東京理科大学総合研究機構山岳大気研究部門の紹介、エアロゾル科学技術研究討論会、大阪府立大学、2011.8.27

東京理科大学総合研究機構シンポジウム 2011年11月21日 東京理科大学野田校舎(予定)

日本大気電気学会第86回研究発表会 2012年1月5-6日 電気通信大(予定)v

気象学会2012年春季大会(予定)

地球惑星連合2012年大会 幕張メッセ(予定)

(参考)プロジェクト計画:
富士山頂におけるエアロゾル粒子と雲凝結核の測定

基礎生産性の高い海域から放出される生物起源気体は、海洋エアロゾル粒子の重要な起源である。粒子数が増加することにより、雲は大気の負の放射強制力を増すが、大気境界層には海塩粒子が存在するので新粒子生成は起こりにくく、自由対流圏で生成されると思われる。富士山山頂は年間を通して自由対流圏内に位置することが多いが、大気境界層内の影響を無視する事ができない。そこで、山頂および太郎坊において同時に、エアロゾル粒子の粒径分布、雲凝結核数、小イオン濃度、ラドン濃度の測定、個々の粒子の元素分析を行い、それらの関係について調べる。


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