太郎坊のそよ風

認定NPO法人 富士山測候所を活用する会 スタッフブログ

いつの間にか、今年ももう少しで師走。


東京事務所と同じ麹町にある交通新聞社さんから、素敵な富士山カレンダーを届けていただきました。


移転当初の2年前はフツウの事務室だったこの部屋も、富士山の壁地図、写真、図書、模型などで徐々に埋まり、富士山に関係した事務室らしくなってきました。このカレンダーで四面が富士山一色になった感じです。


来年はどんな1年になるでしょうか・・・。さし当たってのイベントは、1月23日の成果報告会。2011年のいいスタートダッシュを決めたいものです。

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富士山の魅力カレンダー2011



1月から12月まで四季折々に姿を変える富士山の素晴らしい写真集です。

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(*)交通新聞社は、JR、私鉄、航空、自動車などの交通機関はもとより、観光、旅行、経済など交通・運輸界にかかわる様ざまな情報を提供している総合専門紙『交通新聞』のほか、隠れたベストセラーといわれる『JR時刻表』や雑誌『散歩の達人』などを発行しています。当NPOの土器屋理事がそのコラム『交通評論』に月1回のペースで評論を掲載中です。






13日(土)早稲田大学で開催された酸性雨研究会シンポジウム「富士山で空気を測ると何が分かるか?」。


50人の部屋に60名以上詰めかける大盛況。東大の植松先生、埼玉大の坂本先生など大気環境学会の大物の参加もあって、温暖化やネットワークについてシビアな議論が続出しました。


今回のシンポジウムには、NPOで活躍されている皆巳(石川県立大)、三浦(東京理科大)、小林(山梨大)、片山(東京農工大)、大河内(早稲田大)の各先生方が発表、司会も土器屋理事(学術科学担当)がつとめるなど、さながらミニ成果報告会。


最後に畠山理事長のご挨拶もあり、研究費で頑張っているNPOに対する理解が深まったと思います。

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温暖化やネットワークについてシビアな議論が続出したシンポジウム



[関連リンク]第33回酸性雨問題研究会シンポジウム
第33回酸性雨問題研究会シンポジウム
酸性雨問題研究会





2010年度富士山測候所 研究報告書(速報 その13)

氏 名: 浅野 勝己(Katsumi Asano)



所 属: 筑波大学名誉教授(Professor emeritus of Tsukuba University)

共同研究者氏名・所属:岡崎 和伸・大阪市立大学 (Kazunobu Okazaki, Osaka City University) 

研究テーマ: 富士山頂短期滞在時の安静および運動時の脳血流・心血行動態に及ぼす影響に関する研究

Studies on the effects of rest and work on cerebral blood flow and cardiovascular hemodynamics during short staying at the summit of Mt. Fuji (3,776m)

研究結果:
【背景】
高所短期滞在による交感神経系亢進が、安静時および運動後安静時の脳および活動筋の血行動態および酸素化動態に及ぼす影響について検討した。



【方法】

1)被験者:被験者は成人男性9人とした。このうち3人については、平地(御殿場、標高:500m)、富士山頂(標高:3,776m)到着当日(1日目)、および、滞在2~3日目の連続4日間の測定を行った。6人については、富士山頂滞在時(山頂滞在2~15日目)1回のみの測定を行った。

2)プロトコール:仰臥位安静時および立位安静時の測定をそれぞれ5分間行った。その後、踏み台昇降運動を3分間行った後、仰臥位安静回復時の測定を5分間行った。踏み台昇降運動は、頻度15回/分、台高30.5cmであり、推定酸素摂取量は17.3 ml・kg-1・分-1であった。

3)測定項目:心拍数(HR)、収縮期および拡張期血圧(SBPおよびDBP)、動脈血酸素飽和度(SpO2)を1分ごとに測定した。また、左前頭部および右大腿(外側広筋)中央部の血行動態および酸素化動態を近赤外分光法(NIRS)によって連続測定し、組織酸素飽和度を示す組織酸素化指標(TOI)、および、組織血液量を示す組織ヘモグロビン指標(nTHI)を評価した。



【結果および考察】

HRは、御殿場に比べて1日目で上昇し、その後2日目、3日目に微増する傾向を認めた。これらの結果は、高所短期滞在による交感神経系亢進を示唆する。図AおよびBに示すようにTOIは、前頭部および大腿中央部の両部位において、山頂滞在時には御殿場に比べて低下したが、滞在1日目に比べて2日目、3日目に徐々に回復する傾向が認められた。特に、仰臥位安静回復時について着目すると、運動1分後に御殿場では立位安静時より高値を示したが、一方、山頂滞在時には立位安静時より低値を示した。図Dに示すように大腿中央部のnTHIは、御殿場では仰臥位安静時に比べて立位安静時に上昇するものの、仰臥位安静回復時には運動1分後に仰臥位安静時のレベルまで回復した。一方、山頂滞在時には御殿場に比べて高値を示したが、その傾向は立位安静時および仰臥位安静回復時において顕著であった。特に、仰臥位安静回復時について、山頂滞在時には運動5分後まで仰臥位安静時より高値を示した。図Cに示すように前頭部のnTHIは、御殿場では測定期間中に概ね一定の値を維持した。一方、山頂滞在時1日目および2日目では御殿場に比べて高値を示したが、3日目では仰臥位および立位安静時には御殿場と同レベルまで回復した。しかし、3日目においても、仰臥位安静回復時には御殿場に比べて高値を示した。このように、交感神経系亢進によって増加した脳血流量あるいは脳血管拡張が頭痛や急性高山病の原因と考えられる。




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図 TOIおよびnTHIの結果





英文:



The purpose of the study in this year was to investigate the effects of rest and work on cerebral blood flow and cardiovascular hemodynamics during short staying at Mt. Fuji (3,776 m). Nine adults participated in the study. Three of 9 subjects underwent a 4 consecutive days of experiment, sea level (SL, Gotemba, 500 m), at 1st to 3rd day during stay in the summit of Mt. Fuji (Day 1, Day 2, and Day 3). The other 6 subjects underwent one experiment during stay in the summit of Mt. Fuji (at 2nd to 15th day). During supine rest and standing rest, 5 min data was collected. Then, subjects performed a stair stepping exercise (step height, 30 cm; stepping rate, 15 steps/min) for 3 min. After exercise, 5 min data was collected again during subjects kept supine rest. We measure heart rate (HR), systolic and diastolic blood pressure (SBP and DBP), arterial oxygen saturation (SpO2), changes in oxyhemoglobin and deoxyhemoglobin concentration, and also tissue oxygen index (TOI) and tissue hemoglobin index (nTHI) at left frontal cortex area and at right middle vastus lateralis. We found that HR increased at Day 1, and further at Day 2 and Day 3 compared with SL throughout the protocol. SBP and DBP remained unchanged at Day 1, while increased at Day 2 and Day 3 compared with SL throughout the protocol. SpO2, and TOI at both sight decreased at Day 1 to 3 compared with SL but it gradually recovered at Day 2 and Day 3 throughout the protocol. These responses were pronounced at 1 min after exercise. nTHI at right middle vastus lateralis increased at Day 1 to 3 compared with SL throughout the protocol. On the other hand, nTHI at left frontal cortex area increased at Day 1 and Day 2 compared with SL throughout the protocol, whereas it recovered to SL level during supine and standing rest while increased at supine rest after exercise at Day 3. Thus, increased nTHI, which is a measure of tissue blood volume or vasodilation, at brain may be a possible mechanism of headache and acute mountain sickness during stay and exercise at high altitude.


研究成果の発表:

本研究の成果は、2011年度の日本登山医学会で研究発表し、2011年の「登山医学」に論文を投稿する予定。


(参考)
プロジェクト計画:富士山頂短期滞在時の安静および運動時の脳血流・心血行動態に及ぼす影響に関する研究



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