太郎坊のそよ風

認定NPO法人 富士山測候所を活用する会 オフィシャルブログ

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    富士山観測のスライドを使って講演する鈴木智幸・学芸大・個人研究員

令和元年度第2回「高高度発光現象の同時観測」に関する研究会(通称「高校生のスプライト研究会」)が静岡県立大学・もくせい会館で1月25-26日に開かれました。

本ブログでも過去に3回ご紹介しましたが、この研究会に参加した意欲的な高校生が富士山観測と一緒に同時スプライト観測に参加する可能性があるな、本NPOにとって大切な会議です。

夏期観測2019に学生公募で参加した伊藤有羽さん (ブリティッシュコロンビア大学・現在慶應大学大学院修士1年生)も輩出OB/OGのひとりです(このブログの最後にリンクがあります) 。  

今回は静岡県立大の鴨川仁特任准教授(本NPO事務局長)がホストとなる会議であり、充実した講義や実習が行われました。

将来、この高校生の中から、富士山研究に参加する研究者がたくさん出ることを期待しています。

(広報委員会)




 



 




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表紙写真について
表紙の写真は、富士山頂近くから見た富士山測候所です。富士山測候所は近くに他の山がない独立峰の山頂にあり、地表の影響を受けることなく大気の観測を行えるという特徴を有しています。当財団は、このような特徴を有する富士山測候所を研究拠点として活用するための調査研究を認定NPO法人富士山測候所を活用する会と協力して進めてまいりました(本誌4頁参照)
(写真提供:認定NPO法人富士山測候所を活用する会・山頂班)  


昨年1月のブログに入れましたが、何時も助成金や受託研究でお世話になっている一般財団法人新技術振興渡辺記念会(以下渡辺記念会)の広報誌の表紙に、私たちNPOの関係する旧富士山測候所の写真が再び採用されました。

その上、今回は基金の成果報告の中で本NPOが受託した「富士山頂に於ける通年観測の実用化と登山者への火山噴火警告のためのシステム構築に関する研究」を取り上げて頂いています。なかでも、背中に背負って歩きながらSO2ガスを測定するシステムの構築や、低消費電力センサーによる越冬観測などに関する首都大学東京の加藤准教授の仕事が、非常にわかりやすい文章で紹介されています。

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 携帯型測器を背負って富士山登山道を移動中の加藤俊吾理事

まず、調査結果として、夏季2か月しか商用電源が使えない富士山頂で独立電源関開発に関するこれまでのNPO の研究成果と現状が紹介され、ついで、省エネルギーで火山性のSO2ガスを検出できるシステムの構築については、電気化学ガスセンサーによるSO2測定により低消費電力で測定できるようにしました。その結果として、2018年9月から2019年6月の富士山頂のSO2濃度が示されています。

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(上)2018年9月から2019年6月の低消費電力SO2ガスセンサーによる越冬観測結果
(下)箱根・大涌谷での火山ガス測定例 (2018年10月29日)


本NPOのスタート時から常に受託研究や助成金でサポートしていただいている渡辺記念会ですが、今回、このような形でも応援していただけることを心から感謝して、益々良い成果をださなければと思います。

(広報委員会)


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 富士山からの雷の観測について話す学芸大の鈴木智幸さん

日本大気電気学会での研究発表会は鴨川仁先生を中心とした静岡県立大学がホスト役で大会が行われ、富士山関係の講演が活発に行われました。
裏方を引き受けた大会運営メンバーは終盤の講演を引き受けていましたが、最後の講演も運営メンバーの鈴木さんでした。

〇鈴木智幸(学芸大)、鴨川仁(静岡県立大) 
高高度放電発光現象と夏期雷雲の解析(その3)

講演では富士山頂でとらえた、雷の画像が多く紹介されました。
また、同じく鴨川グループの源さんは、富士山環境研究センターにの特任研究員として初めての研究発表で、南極観測時ののデータを中心とした講演でしたが、今年の富士山観測で使える手法についての発表でした。

〇源泰拓(NPO富士山測候所を活用する会)、鴨川仁(静岡県立大)、門倉昭(極地研)、佐藤光輝(北大)、
南極域におけるオーロラ活動の相互作用の研究

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 富士山頂の新粒子形成の講演を行う東京理科大の五十嵐さん

もちろん富士山を利用した講演は最初の日のエアロゾルセッションにも多数ありました。

〇五十嵐博己,森樹大,三浦和彦(東京理大),岩本洋子(広島大),和田龍一(帝科大),加藤俊吾(首都大),大河内博(早稲田大)、
富士山頂における日中と夜間の新粒子生成イベントの長期観測

〇大藪良祐,五十嵐博己,森樹大,三浦和彦(東京理大),大河内博(早稲田大), 皆巳幸也(石川県立大) 、
富士山麓太郎坊に輸送された二次粒子の成長過程に関する研究

〇田中賢人,乾諒介,森樹大,三浦和彦(東京理大),矢吹正教(京都大),桃井裕広(千葉大)、
富士山山頂およひ山麓におけるエアロゾルの散乱係数

〇新沼拓(東京理大),桃井裕広(千葉大),安齊真央,田中賢人,森樹大, 三浦和彦(東京理大),青木一真(富山大),大河内博(早稲田大),鴨川仁(静岡県立大)、
富士山頂と山麓太郎坊で観測した気柱全体のエアロゾルの光学特性

(以上は第一日目、1月10日に東京理科大・三浦和彦教授から頂いた情報です。)

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 大会組織員が東京へ帰る新幹線からの富士山

上の写真は大会を無事終了した大会運営メンバーの皆さんが帰りの新幹線から写した写真です。
インスタにも入れています。

今回の大会では45講演のうち、富士山に関連する論文は6つですが、早稲田大学の大河内研究室の“2014年6月24日の降雹セルと非降雹セルの雷活動について”というテーマの発表もあり、合計7つの講演が本NPO関係者によるものです。
とても嬉しいことですね。

来年もこの中からまた受賞者が出るのではないかと美しい夕映えの富士山を見ながら夢を膨らませています。

(広報委員会)



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