富士山測候所の5年間の借受延長が決定
8月23日付の東京管区気象台ホームページ 調達情報>企画競争>公募結果
無人化されている富士山特別地域気象観測所(以下「旧富士山測候所」)は、研究者らで構成する認定NPO法人富士山測候所を活用する会(以下「NPO富士山測候所」)が、2007年7月から12年間、気象庁からその一部を借用して研究・教育に活用してきましたが、2018年9月以降の5年間も引き続き借り受けることが8月23日、正式に決定されました。
旧富士山測候所は 2013年7月1日から2018年9月10日までの5年契約でNPO富士山測候所が借り受けてきたところですが、契約切れとなる2018年9月11日からの新たな貸し付けについては、東京管区気象台が公募していました。NPO富士山測候所は過去12年間の実績をもと応募し、8月24日引き続き借受人となることが正式に決定されました。借受期間は2018年9月11日から5年間(2023年9月10日まで)となり、借受面積については前回と基本的に変更はありません。
これまでの12年間の富士山測候所の利用者は延べ4800人を超え、高度4千㍍級での研究が広く開放されたことで新しい研究分野への挑戦も拡大しています。さらに異分野の研究者が情報・成果を共有し合い、他に類を見ない新しいタイプの研究施設としての評価も定着し始めました。ニーズの高まりに対応し、NPO富士山測候所では開かれた研究・教育の拠点として、より多く利用していただけるように研究環境の整備をはかって行く所存です。
8月9日台風13号が行ったばかりの測候所(岩崎洋山頂班長撮影)
一方、活動の基盤となっている建物や総延長11㌔㍍にわたる送電線施設は着実に劣化が進行してきており、土砂崩れなどの自然災害の影響もあり、ここ数年は中小規模の補修を繰り返しながら機能維持をはかっているのが実情です。借受契約では、これらの補修にかかわる経費は、借受人が負担することになっています。
気象観測と大気観測の長い歴史を刻み、日本の最高峰に存在する二つとない研究環境であるこの貴重な測候所とそれを支える送電線施設がこれからも、新しい科学研究と若手研究者を育てる「砦」であり続けるためには、皆様のご理解とご協力が必要です。引き続き多くの方々の強力なご支援を心よりお願いする次第です。
(広報委員会)
ライブカメラのアクセスが急上昇中…6割以上はスマホから
今年の夏から3台体制になったWebカメラは、日本一高い位置から東西南の3方向をカバーしている
今年から東西2方向に南方向が加わり、3台になったライブカメラ。カメラのカバーする範囲は1.5倍に拡大し、学術科学研究に大きな威力を発揮してくれそうです。
とはいっても、経費を節減するため今年もネットオークションで購入した中古のWebカメラは、突然故障して数日間画像配信を停止させたり、画像の色が滲んだり不鮮明だったりと、必ずしも期待どおりの動きはしてくれていません。
こんなポンコツのライブカメラですが、8月14日(火)台風15号が日本に接近したときは、このページを1日で820人が訪れました。厳密には、重複を除いたユニーク訪問者数は677人ですが、これでも当サイトでは記録的な数字です。
この日のアクセスログを分析したところ、3分の2強の457人がスマホからということがわかりました。どうやら悪天候の中、登山中に雲の上の山頂の様子を確認するのに利用されているようです。
また、このサイトまでどこを経由してきているか(リファーラー)を見ると、「富士山なう(気象情報・ライブカメラ)」からが269人と圧倒的に多く、「富士さんぽ」が36人で続いており、直接当サイトに飛んできているのは201人でした。
*2年前には環境省からの申し出で、富士登山オフィシャルサイト(環境省、静岡県、山梨県による「富士山における適正利用推進協議会」が運営するサイト)からリンクが張られましたが、その後このリンクはなくなりました。
学術研究目的で設置しているライブカメラではありますが、こんなふうに雲で覆われた山頂の様子を登山中に確認できるのに使われているということは、防災面でも貢献しているとも言えなくもないと思います。
剣ヶ峰のライブカメラの一般公開も5年目を迎えますが、多くの研究者に研究データを提供している一方で、「日本一高所のライブカメラ」として登山者を含めて広く定着してきているようです。
そして、想いはすでに来年へ。今年の苦い経験を踏まえ、既存カメラは一斉更新され、4台に体制にすることでほぼ隙間なく山頂から周囲をカバーするようになる、という夢のような構想が・・・。
*なお、今年の3台目のライブカメラはWNI気象文化賞(畠山史郎)で購入したものです。記して感謝申し上げます)
(広報委員会)