太郎坊のそよ風

認定NPO法人 富士山測候所を活用する会 オフィシャルブログ

今回は、富士山環境研究センター・源泰拓・特任研究員による投稿ブログです。

毎年、11月中旬にCTR Wilson Meetingという大気電気研究の会議が英国で開催されます。2022年は、11月24日にオンラインで行われました。本研究会は、大気電気研究にも多大な貢献をした英国の偉大なノーベル賞物理学者C. T. R. Wilsonにちなんで名付けられています。

本NPOからは、2021年は鴨川専務理事、富士山環境研究センター藤原特任研究員、源特任研究員が参加し研究成果を発表しています。昨年(2022年)は、鴨川専務理事が参加し「100 年近く続く柿岡・地磁気観測所大気電場観測の後継事業」について講演しました。これは、1929年から行われていた気象庁による大気電場の観測が2021年2月末に終了したことを受けて後継観測のプロジェクトを立ち上げた、そのいきさつを紹介したものです。

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 気象庁地磁気観測所(柿岡)に設置されていた大気電場観測器。2021年2月末で停止された。
(鴨川専務理事提供)

観測終了の情報を得たのは2021年1月でした。幸い、観測を実行していた気象庁地磁気観測所の協力を得て、静岡県立大学と気象庁との共同研究という形で、観測を継続できることになりました。

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 気象庁地磁気観測所(茨城県石岡市)での後継観測装置設置作業


鴨川専務理事のグループによる大気電場の観測は、富士山頂でも行われています。厳しい条件下で得られたノウハウを活かして、大急ぎで機材とデータ処理の準備を行い、データの中断を免れることができました。

思えば本NPOも、気象庁が観測を終了した富士山測候所の活用を目的として発足したものです。”観測の継続”を続けること自体がなかなかむずかしくなっている昨今ですが、自然現象の観測では、二度と同じデータを得ることはできません。データの価値をあげるためには、研究成果を論文として出すことと、それをわかりやすく紹介すること、両方が必要です。
今年も富士山環境研究センターからの成果を発信できるよう、精進してまいります。

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 Zoomには多数の参加者が。2023年の本会議は対面で行われる予定です。

なお、本研究は、2023年10月に、Geoscience Data Journalにて英文査読論文として発表されたことをご報告申し上げます。
(文責:源 泰拓)

人手不足、コロナ禍などにより縮小される継続観測が増えている昨今です。
地道に続けられた地磁気の観測データが継続され、生かされてていること、
それが世界的な論文誌に認められたことは嬉しいニュースです。
本NPOの活動を通してのこれからの研究の発展が楽しみです。
(広報委員会)

認定NPO法人富士山測候所を活用する会とは

2004年に無人化され、いずれ取り壊しの運命にあった旧富士山測候所。
富士山測候所を活用する会は、この施設を国から借り受け研究・教育の拠点にしようという構想で、2005年に大気化学や高所医学などの研究者が主体となって立ち上げたNPO法人です。

また
富士山頂という厳しい環境の中、その修理費・維持費や、運営費など
年間3000万円という莫大なコストが掛かかるのです。

しかしながら、資金面に関しては、
公的補助もなく研究利用費だけで運営しております。

そこで、皆様からご支援、会員になっていただき未来へ
つなぐ研究の手助けをどうぞよろしくお願いたします。

本NPOは、認定NPO法人(認定NPO法人は全NPOの2%しかない)のです。
ご寄付に関しては、控除もありますので詳しくはウェブサイトなどでご確認ください。

本NPOにとって、夏期観測期間中のライブカメラによる動画配信は、もはや恒例行事と言っても良いかもしれません。CHO&Company社MORECAのカメラを1号庁舎屋根に東向きで設置し、御来光をライブで見れる環境を皆さまに提供できることは設置・運用に携わるスタッフにとって喜びの一つです。

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 設置時の風景。2023年は旧測候所開所の次の日7月2日に設置しました。

このライブカメラは、YouTubeでリアルタイム配信を行なっており、Live  Chatを見ると多くの常連の皆様がしばしば楽しく会話しています。

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 御来校直前の早朝でも、Live Chatにはメッセージが。

YouTubeに配信される動画は、MORECAに内蔵されているLTE回線で動画が配信されています。そして、MORECAにはSDカードも内蔵されており、LTE回線が不通の時も動画は収録されています。またLTE回線が悪天候などで不安定で低画質しか配信されない時でも、SDカードには2K画質の画像が収録される仕組みになっています。我々は夏期観測終了後にこのデータを回収し、運用した約2ヶ月の期間における名場面を切り出し、YouTubeに動画として順次アップしています。

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名場面を切り出しています。皆さんには富士山の多彩な風景を楽しんでいただきたいです。
こちらの映像はどなたでも見ていただけます。
チャンネル登録もお願いします。

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 夏期観測期間中にはYouTube Shortでも配信。多数の御来光動画が。

現在YouTubeの登録者数は2100を超えており、ライブ配信が行われる夏期期間以外でも楽しんでいただくため今後も努力していく次第です。

また、本NPOの会員の皆様には、会員特典として夏期観測中ライブカメラで撮影した24時間フル映像をご覧いただけます。
ぜひ、会員になってご支援をお願いします。
入会のお申し込みはこちらから
https://npofuji3776.org/help/join.html


(広報委員会)


認定NPO法人富士山測候所を活用する会とは

2004年に無人化され、いずれ取り壊しの運命にあった旧富士山測候所。
富士山測候所を活用する会は、この施設を国から借り受け研究・教育の拠点にしようという構想で、2005年に大気化学や高所医学などの研究者が主体となって立ち上げたNPO法人です。

また
富士山頂という厳しい環境の中、その修理費・維持費や、運営費など
年間3000万円という莫大なコストが掛かるのです。

しかしながら、資金面に関しては、
公的補助もなく研究利用費だけで運営しております。

そこで、皆様からご支援、会員になっていただき未来へ
つなぐ研究の手助けをどうぞよろしくお願いいたします。

本NPOは、認定NPO法人(認定NPO法人は全NPOの2%しかない)です。
ご寄付に関しては、控除もありますので詳しくはウェブサイトなどでご確認ください。

松代群発地震は1965年8月3日に3回の体に感じない地震から始まりました。地震活動は次第に活発になり、翌年の1966年4月17日には震度1以上の地震が1日に585回観測されました。期間中に発生した地震は1966年4月5日に発生したマグニチュード5.4のもので、最大震度は5を観測しました。一連の群発地震により、地すべり、地割れ、家屋の倒壊・損壊、湧水による農業被害などが発生しました。
この群発地震では幸運な事に死者はでませんでしたが、度重なる地震により住民に多大な心理的不安をあたえました。松代群発地震は1966年をピークに地震活動は次第に沈静化していき、一般的には5年半継続したと言われています。
ちなみに無感地震を含めた総地震発生回数は74万回を超え、現在も完全に収束したとは言えない状況です。この群発地震活動は気象庁が観測を開始して以来、最大規模のものとなりました。

松代地震発生数
松代地震の月別地震回数(気象庁ウエブより再掲)

地震の原因としては、地下の水の挙動が大きく関係していると考えられており、これを水噴火説といいます。水噴火説は『地下深部の高圧な地下水が,割れ目に沿って上昇・拡散する過程で岩石の 破壊強度を低下させて地震を引き起こす』というものです。

実は能登半島先端付近でも2020年12月以降、現在でも群発地震活動が続いており、2023年5月にはマグニチュード6.5という規模の地震が発生しました(令和5年奥能登地震)。この群発地震も地下の流体(地下水の可能性が高い)が関与している事がわかってきました。

松代群発地震については、2015年に群発地震開始から50年という事で、「松代群発地震50年特設サイト」というものが開設されています。

この松代群発地震で特筆すべき出来事として、地震発光現象が松代町東条の栗林亨氏により初めて撮影された事です。さらに「地鳴り」も録音されています。筆者も実際の地鳴りは聞いた事が無く、松代を訪問した時に初めて録音を聞かせて頂き「こんなに大きな明瞭な音がするのだ」と非常に感銘を受けました。ちなみにこの松代のサイトで「地鳴り」を聞く事ができます(画面の一番下に再生のボタンがあります)。

地震時の発光現象は、洋の東西を問わず報告が存在します。最も古い記載の一つとして、紀元前 373 年にギリシャの南部のアカエア地方で地震があり ました。この地震によってアポロン神殿が壊れ、この3年後に建て直されました。地震は確かにあり、大きな被害が出たことは間違いありません。このときアカエア地方で発光現象が見られたのとの記録が存在します。歴史的史料に関しては中国なども非常に多く、これは西暦 292 年の史料には四川省の成都で、火の光が輝き、すぐあとに地震があったという記述も存在します。

次の写真は筆者の共同研究者である信州大学の榎本名誉教授が栗林氏から頂戴したもので、1966年9月26日、午前3時25分に撮影されたものです。この発光の継続時間は1分以上続いたと報告されており、最も明るい時は、満月の明るさの3倍ぐらいだったと思うと述べています。腕時計の秒針がはっきりと読めたと栗林氏は報告されています。

栗林氏提供196609260325
松代地震の地震発光(栗林亨氏提供)

戦時中に戦況の状況が悪くなり、大本営が松代に移転を考え巨大な地下壕を作りました。戦後この場所に気象庁が最先端の地震観測所を開設した直後に、この現時点で日本最大の群発地震活動がまさに同じ松代で開始したのです。なんという偶然でしたが、この群発地震活動によって日本の地震学は極めて大く発展したのです。
(文責:長尾年恭)

(広報委員会)

認定NPO法人富士山測候所を活用する会とは

2004年に無人化され、いずれ取り壊しの運命にあった旧富士山測候所。
富士山測候所を活用する会は、この施設を国から借り受け研究・教育の拠点にしようという構想で、2005年に大気化学や高所医学などの研究者が主体となって立ち上げたNPO法人です。

また
富士山頂という厳しい環境の中、その修理費・維持費や、運営費など
年間3000万円という莫大なコストが掛かるのです。

しかしながら、資金面に関しては、
公的補助もなく研究利用費だけで運営しております。

そこで、皆様からご支援、会員になっていただき未来へ
つなぐ研究の手助けをどうぞよろしくお願いいたします。

本NPOは、認定NPO法人(認定NPO法人は全NPOの2%しかない)です。
ご寄付に関しては、控除もありますので詳しくはウェブサイトなどでご確認ください。


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