氏名:向井人史 / Hitoshi Mukai
所属:国立環境研究所 / National institute for Environmental studies (NIES)
共同研究者氏名・所属:
野尻幸宏、寺尾有希夫、野村渉平 Yukihiro Nojiri, Yukio Terao and Shohei Nomura (NIES)
    
研究テーマ:
富士山頂における長期二酸化炭素濃度観測
Study on long-term CO2 observation at summit of Mt. Fuji

成果の概要:
(1) 目的

二酸化炭素濃度は、全球的に増加の一途を辿っている。その人為発生量や自然の吸収量は地域で異なることから、濃度の変動に地域性があることが知られている。研究の対象とした富士山は、日本列島のおおよそ中央に位置し、その山頂は、自由対流圏に突き出している。そのため、山頂において二酸化炭素濃度の長期観測を行うことは、北半球中緯度の日本やアジア域のバックグラウンド二酸化炭素濃度の変動の解明に寄与すると考えられる。一方、富士山頂は夏期(7-8月)のみ通電する通年観測が困難な場所である。このような地点において通年観測できるシステムを構築することは、今後、電力の整備が未発達な地域において応用できると考えられる。
このように、本研究では富士山頂において、省電力で観測可能な二酸化炭素濃度観測システムの構築をしながら、アジアの中緯度の二酸化炭素の長期観測を行うことを目的とした。

(2) 結果
①二酸化炭素濃度観測システムの構築

CO2計システムの雷対策の一つとして、イリジウム通信アンテナが設置してある3号庁舎北側に位置する貯水タンク基礎鉄骨、3号庁舎基礎鉄骨、2号庁舎基礎鉄骨を電気的に接続した。
②二酸化炭素濃度の長期観測
 2013年8月末から2014年7月末まで1年を通して、2013年夏期に充電した100個の鉛蓄電池から得た電気により、22~24時に富士山頂の二酸化炭素濃度を計測できた。2013年8月末から2014年7月末に計測された二酸化炭素濃度推移は、過去3年間観測された結果と同様であった。すなわち晩夏まで低下し、その後、初夏まで増加し、再び低下した。2014年に観測された最も高い濃度は約406ppmで、最も低い濃度は約396ppmであった。これは昨年の最高値(約403ppm)、最低値(約393ppm)より約3ppm、山頂で観測を開始した2010年の最高値(約396ppm)、最低値(約386ppm)より約10ppm高かった。
落雷の影響により、2014年8月1日から18日の間は、CO2計の観測が停止した。

(英語表記)
Long term atmospheric CO2 concentration measurement on the top of Mt. Fuji (3776m) has been operated by an automatic CO2 measurement system developed by NIES (National Institute for Environmental Studies) since August 2009. The system is designed for remote areas where the environmental condition is harsh from the observational point of view. Now because we concluded that the measurement system became stable and reliable enough, we shifted into a regular operation in summer, 2012.
 During summer, we operate maintenance including charging the 100 Pb batteries to have the system prepared for winter season when the ordinal electricity is not used.

研究成果の公表:

201410月 気象学会発表