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 水銀をサンプリングするジャイアンさん

こんにちは。第2回はジャイアンさんのお仕事についてご紹介します。

彼は、越境大気汚染を調べるため、富士山の頂上で特に大気中の水銀濃度の観測に力をいれています。「きれいな空気がある山の上で、継続して水銀濃度の変動を調べると、大気汚染の増加の有無を診断できる」とジャイアンは力説する。 水銀の排出源の約半分はアジア地域で、中でも中国が全世界排出量の約3割を占める最大の排出国といわれています。

水銀といったら水俣病を連想するのは、日本人特有の思考かもしれません。水銀問題は過去の問題のように考えてしまいますが、ジャイアンは水俣条約についても力説する。「水俣条約とは、水銀規制をするための国際的な条約なんです。法律の整備をすることで製品の製造、輸入や輸出に制限をかけ、水銀の発生量を抑制することが目的なんです。」

この条約は国連環境計画(UNEP)で日本がホスト国なり、2013年10月10日に熊本県で開催された会議で採択されました。 さらに、「その水銀濃度を調べるために北半球には、水銀観測ネットワークがあります。アジアでは Asia-Pacific Mercury Monitoring Network (APMMN)、北米では National Atmospheric Deposition Program (NADP)、ヨーロッパでは European Monitoring and Evaluation Programme (EMEP)が水銀濃度を監視しています。」と彼はいう。

 Lin教授の研究グループは、台湾環境省と協力し、台湾全土に水銀観測のネットワークを形成しています。ネットワークの中には、台湾の山岳である鹿林山(2862㍍)で水銀を観測しています。ジャイアンは、「台湾の鹿林山と日本の富士山といった、アジアを代表する山岳域で水銀濃度の変動から大気環境の状態を診断することを目指しています。だから、山岳域で水銀濃度の変動から越境大気汚染の状態の診断も可能だ」と言う。

ジャイアンさん、お仕事の紹介、ありがとうございました。
(リポーター:島田幸治郎)