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10月6日(木)さいたま市で開かれた埼玉県環境科学国際センター主催のシンポジウム「埼玉発 PM2.5の今を知る」を聴講会場の小ホールはほぼ埋まる盛況(約90名)。

埼玉県環境科学国際センターでは2013年から日中韓の3カ国でPM2.5の同時観測を行ってきており、今回はその第一線の研究者による国際シンポジウムである。折から韓国南部を直撃した台風18号の影響で、韓国の研究者が急遽来日できなくなるというハプニングがあったものの、その抜けた穴を感じさせない充実した講演と討論会であった。

都道府県や市町村には「環境科学センター」や「環境科学研究センター」といった環境の試験研究機関が置かれているが、その名称に「国際」をつけミッションに「国際貢献」を前面に掲げているのは、ネットで調べた限りでは埼玉県環境科学国際センターだけのようだ。
地方環境研究所である当センターの基本的な使命である①環境に関する試験研究、の他に、②環境面での国際貢献、③環境学習、④環境情報の収集・発信、の4つの機能を有しています。これらを有機的に結びつけ、県民の暮らしに直結する身近な環境問題に県民自らが取り組むための手助けとなる環境学習や環境情報の発信を進め、また県の環境にも影響を与える広域の環境問題、さらには地球規模の環境問題にも取り組み、国際的な協力の下、その解決を目指していきます。
埼玉県環境科学国際センターが、国境を越えた環境課題であるPM2.5の日中韓同時観測で中心的役割を担っていることに敬意を表するとともに、富士山測候所がそのなかで観測地点の一つとして使われていることに意を強くした次第である



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基調講演を行った畠山史郎・総長は当NPO法人の理事長でもある。長年にわたり大気汚染の原因究明に取り組み、特に2013年に中国からの汚染大気でにわかに注目されるようになったPM2.5については、20年も前から航空機による観測を行ってきたオーソリティPM2.5とオゾンの現状の問題に言及した後、「今後とも国際協力による越境大気汚染の低減と合わせ、国内起源の光化学大気汚染の低減対策に努めていくことが必要」と結んだ。

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米持真一・主任研究員は日中韓同時観測の中心となって活躍されている。PM2.5の同時観測は、2009年度の中国上海から始まり、2012年度に北京、2013年度に韓国済州島がそれぞれ加わり、日本国内は新宿(早稲田大学)、加須(センター)、富士山頂の3地点で夏冬各2週間を基準に採取を行っているという(富士山だけは夏季のみ)。


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 最後は聴講者からの質問に答える形の総合討論で締めくくった。