国際シンポジウム ACPM2017 の目的
山岳域における大気や水に関する 物理・化学などの研究分野に携わる 世界の研究者が参集し、山岳域の汚染、山岳域での観測による地球環境の監視など、山岳を中心とした自然環境での大気や水に関する研究成果を共有し、大気や水に関わる環境問題の解決の方針を探ることを目的とする。

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会議には12の国・地域から101人が参加した。このうち研究者・学生は77人(日本47人、海外30人)。世界中でこれだけ多くの研究者が山岳で研究・観測を行っており、また、国内でも富士山以外にも、丹沢、立山、八方尾根など多くの山々を研究観測のフィールドにしていることを知ったのは新鮮な驚きであった。

テクニカルプログラムは5日間の会期のうち実質的には3日間であったが、研究成果の発表と討論を通じて、またセッションの合間合間に設けられたコーヒーブレイクなども活用し、十二分な意見交換が行われ、所期の目的を達成することができたのではなかろうか。

講演に関しては事前に作成したプログラム集にある口頭発表は41件、ポスター発表に関しては1件を除く33件がすべて予定通り行われたが、この予定通りというのは国際会議では稀なことらしい。直前の出席キャンセルなどに対して柔軟にプログラムを練り直したプログラム委員の尽力に依るところが大である。また、広報委員が Announcement や Reminder などをこれでもかこれでもかとメール発信し続けたことも参加者の定着率向上に寄与したことにつながったと思う。
pbq12ACPM2017 Program Book
会議の準備段階ではウェブサイトの不備や問い合わせに対する初動遅れなどで、少なからぬ海外からの参加者にご迷惑をおかけした。今後の反省材料としなければならないであろう。一方、会議の当日運営に関しては、多少のトラブルは発生したものの、会場委員がホテルや東部地域コンベンションビューローの協力を得て迅速に対応し、その影響を最小限にとどめることができた。

全体的には、参加者から「家族的な」「convivial(陽気な)」といった声が聞かれた。同じ会場で5日間通して顔を合わせていたことで、初対面なのにずっと前から知り合いのようなとても打ち解けた雰囲気であった。100人という規模ならでは、だったのではなかろうか。

このような国際シンポジウムを運営したという実績は、その中心となったNPO法人にとって新たな前例を作ったともいえる。これにかかわったメンバー、特に若手研究者や学生には、この経験を財産にし、自信につなげるようにしてもらいたいものである。

さて、新年早々の1月3日、Johanes Stahelinから土器屋先生あてに「次のACPMの準備に着手するため ACPM2017 のウェブサイトを見ようとしたがアクセスできない(*1)。会議プログラムと参加者リストを送ってもらえないか」というという依頼があった。

3年後、2020年の第4回ACPM開催に向けた準備の動きは、すでにヨーロッパで始まった。ACPMと山岳域における大気化学・物理の研究がさらに発展することを願っている。
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 会議終了の翌日の11日、参加された小林喬郎様からメールに添付して送られてきた富士山の画像

[件名:見事な国際会議でした] 2017年11月11日(土)
素晴らしい国際会議をご苦労さまでした。長年の準備と見事な連携活動でお疲れだったと思います。私も大いに刺激を感じて有意義で楽しい時間を過ごすことができまして、感謝いたしております。
小林 喬郎(福井大学名誉教授)

(*1)
ACPM2017の公式ウェブサイトについては、契約が終了したことにより以前のURLでは見ることはできないが、現在はそのクローンをNPOのホームページのサーバーに残してあるので、以下のURLで参照することができる。
URL:http://npo.fuji3776.net/acpm2017_website_clone/acpm2017.jp/index.html


(国際シンポジウムの舞台裏から 終わり)