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 故障したO3計のポンプを持参した別のポンプに交換する首都大学東京の学生

今年は、ライブカメラの多点化に加えて、微量ガスのリアルタイムデータの公表にも力を入れていますが、今回は首都大学東京の加藤俊吾准教授と学生さんの仕事をご紹介します。

加藤俊吾・准教授は2007年から、オキシダントなどの微量気体のモニタリングを行っており、そのデータは山頂の大気化学観測の基本的なものとして、12年間の観測研究に貢献しています。今年も、7月7日の霧と強風の中で最初の荷上げ、13日に調整に登って、7月14日から測定が開始され、順調にCO,O3のデータが、ホームページに(1日遅れの準リアルアイム)で公表されていました。

ところが、7月16日に、「オゾン計おかしいですよ」という連絡がはいり、加藤先生と学生は19日に急遽日帰り登山で調整しました。


その結果下の図の上の画面が下のように改善されました。

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 2018年7月18日(上)と19日のCO, O3のグラフ(下)・・・O3の測定は19日の9時から回復している

山頂の観測は、このような思いがけないトラブルが避けられません。

なお、加藤先生のグループは2015年から東京学芸大学鴨川研究室の協力を得てシステム構築を行い、SO2の10分ごとのリアルタイムデータを公開しています。

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 二酸化硫黄(SO2)リアルタイムモニタリングの画面


二酸化硫黄(SO2)ガスは、主に石炭燃焼が発生源で、汚染大気が運ばれてくると濃度が高くなります。夏の富士山頂では、SO2濃度が増加するほどの汚染大気の輸送イベントはあまりおこらないので、通常はほとんど濃度はゼロになりますが、遠方の火山噴火検知や富士山噴火の事前検知に貢献することが期待されています。

また、昨年からは、富士山頂の多くの地点でのSO2濃度の調査を行うために、移動式のガスセンサーを試作し、背負って歩く試験も始めています。

トリミング
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  ポータブルのガスセンサーを山頂で準備し(上)、背負って下山しながら大気を測定(下)・・・キティちゃんの袋のなかに測器がはいっています

大気汚染の研究者として、排気ガスなど、人為起源のSO2の測定を行っていた加藤先生は、2013年の山頂のデータの中に、桜島など火山噴火の影響を発見しました。SO2は火山噴火によっても放出されますが、はっきり桜島の影響であるをすぐ判定できたのは、COや、O3を同時に測定している加藤先生だからできたことです。

一酸化炭素(CO)は化石燃料などの燃焼から放出されます。富士山頂では近くに発生源がないため、汚染大気が発生源地域から輸送されてきているときにはCOが高濃度になります。オゾン(O3)は地表に近い対流圏では汚染大気が光化学反応をすることによって生成します。これらの微量気体の相互関係や、風のデータから、桜島の影響が判定されたのです。

このような背景があったため、最初に書いたような火山ガスの検出の仕事が始まっています。測定結果にはこれからも目を離せません。

(広報委員会)