IMG_3820 (2)
 授賞式会場前で戸田先生を囲む研究室の皆さん

 2018年9月12-14日、仙台市の東北大学川内北キャンパスで開かれた日本分析化学会第67年会で、熊本大学・大学院先端科学研究部基礎科学部門の戸田敬教授は、2018年度学会賞を受賞されました。
IMG_3764
   授賞式の戸田先生

IMG_3807 (2)
 今年7月19日の富士山頂からの日没の写真を背景に受賞講演を始められた戸田先生

 受賞講演のタイトルは上のスライドに示すように、「大気物質の動態を明らかにする分析化学」です。2016年以来、大河内グループに参加し富士山頂や宝永火口で観測されたデータも紹介されていましたが、今回の受賞の業績は、フィールド分析装置の開発や、それを駆使しての大気化学の解明への取り組みです。
  マイクロガス分析システムとして、水溶性ガス成分を取り込むスクラバーを改良し、従来法の2万倍の捕集効率の達成と、検出部に蛍光法を採用し改良を行なった先生の研究は、これまで不可能であったモバイルやリモートエリアにおける分析を可能にしました。これは、フィールド分析を行なう研究者の多くが恩恵を受ける素晴らしい技術です。大気化学観測では、熊本市内の森林のほか、阿蘇、箱根、富士山などの山岳域、有明海やバイカル湖などの海や湖などを対象としておられます。また、具体的には、火山ガスH2SがSO2へと大気中の反応で変換される様子の解明等が挙げられており、 宝永火口で行なわれた観測もその一環です。これからのますますのご活躍が期待されます。

 
IMG_3615 (2)
日本分析化学会学会賞の古代エジプトの天秤が図案化されたメダル

 大気環境学会での大河内先生のが学術報受賞と山脇さんのポスター賞に続いて、日本分析化学会でも戸田先生が学会賞を受賞されたことは、富士山測候所を維持管理するNPOの活動が研究のお役にたっている証拠で、裏方としても嬉しい限りです。夏は台風などで苦戦しましたが、実りの秋の到来ですね。
(広報委員会)