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 太郎坊ではこの日、ドローンや気象ゾンデを使って大気化学グループの集中観測

今年も、山頂の集中観測と合わせて、南山麓1300mの太郎坊でもドローンと、気球を用いた観測が行われていました

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     久しぶりに晴れ上がった富士山(県道23号線「国立中央青少年交流の家」付近から)

今夏は、富士山頂で観測史上歴代2位となる高温であった昨夏とは一転して天候不順が続き、前日まで富士山麓では激しい雨に見舞われました。しかし、当日朝は快晴で、麓から富士山頂がはっきりとみえました。



ドローン

富士山頂と富士山麓では、7月22日から26日まで早稲田大学・大河内研究室,東京理科大学・三浦研究室,熊本大学・戸田研究室、京都大学・矢吹先生が大気集中観測を行っていました。当初、7月27日までの観測を予定していましたが、台風6号の接近により、1日短縮して観測を終了しました。7月25日は、まさにこの時にしかないという絶妙のタイミングでした。

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 ドローンの観測準備で忙しい7月25日早朝の太郎坊

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早朝6時前からグリーンブルー株式会社4名がドローンによる大気観測準備を開始し、7時から夕方5時まで合計8回のフライトを行いました。産業用中型マルチコプターMatrice 600に大気中の微小粒子状物質(PM2.5)、二酸化窒素(NO2)、オゾン(O3),ブラックカーボン(BC)および気象(風向・風速、温度・ 湿度、気圧)観測を行いました。BCモニターは東京ダイレック株式会社より借用しました。

ドローンの飛行状況
  ドローン飛行実験

観測高度は地上 0m から 150m までの 30m刻みとし、各高度で最短 3 分間、ホバリングしながら測定しました。また、同時に小型マチルコプターPhantom 4を用いて、静岡理工科大学南齊先生が雲粒中硫酸イオン濃度の個別分析を行うため、雲粒の採取を行いました。

観測中、電力中央研究所・速水先生・板橋先生・田中先生,埼玉県環境科学国際センター・米持先生が視察に訪れました。
現在、観測を終えたばかりであり、これから分析・データ解析を行います。乞うご期待!

R05 富士山体を利用した自由対流圏高度におけるエアロゾルー雲ー降水相互作用の観測
大河内博(早稲田大学)

大気中水溶性ガス・エアロゾル連続観測システムを開発して自由対流圏高度に位置する富士山山頂で観測を行い,日本上空のバックグランド濃度を明らかにする.また,越境汚染あるいは夏季の斜面上昇流に伴う山麓の汚染気塊(国内汚染)の流入に伴うによるバックグランド大気汚染の特徴を明らかにする.さらに,雲水の観測を行い,エアロゾルー雲ー降水相互作用をフィールド観測により解明する.

R11 地上と富士山頂における一滴ごとの雨水・雲水定量分析
南齋勉(静岡理工科大学) ※トライアル研究

雨滴中成分の詳細な時間変化を捉える【一滴ごとの雨滴成分の定量分析手法の開発】を目指す。一般的に,雨や霧などの湿性沈着物中の化学組成の分析を行う際,採取装置に回収したサンプルに対して行われるため,これらの成分は時間・空間的に平均化され,その詳細情報は失われている。したがって,雲中への大気汚染物質の沈着過程や,雨や雲中における物理化学的な反応の解明には一滴ごとの成分分析が重要である。本研究ではゲル薄膜に含まれる溶質と雨中の成分による結晶生成を利用することで,一滴の雨滴の成分を簡便に定量する手法を開発する。また,【実環境試料のフィールド測定】として,地上と富士山山頂において雨水と雲水のサンプリングをそれぞれ行ない,濃度分布を比較する。

ラジオゾンデ

山頂への大気境界層エアロゾルの影響を調査するために、気象ゾンデを放球して、気温、湿度、風の鉛直分布を測定しました。気象ゾンデは8時からおよそ1.5時間おきに7発放球することができました。

これにより大気境界層高度の日変化がわかると思います。今後、早大大河内先生らがドローンで測定したPM2.5、オゾンなどの濃度や、京大矢吹先生が計測したライダーとの結果を比較します。

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 バルーンにヘリウムガスを詰める

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R03 富士山体を利用したエアロゾルの気候影響の研究

三浦 和彦(東京理科大学)

基礎生産性の高い海域から放出される生物起源気体は、海洋エアロゾル粒子の重要な起源である。粒子数が増加することにより、雲は大気の負の放射強制力を増すが、大気境界層には海塩粒子が存在するので新粒子生成は起こりにくく、自由対流圏で生成されると思われる。富士山頂は年間を通して自由対流圏内に位置することが多いが、大気境界層内の影響を無視することができない。山頂および太郎坊において同時に、エアロゾル粒子の粒径分布、雲凝結核数、小イオン濃度、ラドン濃度の測定、個々の粒子の元素分析を行い、それらの関係について調べる。


(広報委員会)

(参考)大気化学関係プロジェクト2019
プロジェクト2019-06-30_大気化学2019