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 NPOの英文名を指さしながら、ポスターを説明する瀬口さん(防衛大学校)

日本気象学会の2019年秋季大会が、10月28日から31日の日程で福岡国際会議場で開催され、本NPO関係では、10月31日の午後に下記の2件のポスター発表がありました。

P440 Xバンドレーダーを用いたJumping Cirrusの発達過程の観測
瀬口貴文、岩崎杉紀、鴨川仁、牛山明来、岡本創
  
P433 野中到・千代子による1895年富士山頂気象観測値の検討 
山本哲、佐藤政博、土器屋由紀子、中山良夫

気象学会プログラム上半分
   日本気象学会2019年度秋季大会プログラム

瀬口貴文さん(防衛大学校)たちの富士山での研究「Xバンドレーダーを用いたJumping Cirrusの発達過程の観測」の一部はすでに論文化されていますが、今回は2019年夏季の情報を加えた新しい発展が報告されています。富士山頂での観測が生かされたこの研究は、今でも旧富士山測候所が気象学で役に立っていることを示しています。

一方、山本哲さんのポスター発表「野中到・千代子による1895年富士山頂気象観測値の検討」は測候所の生みの親・野中到・千代子夫妻に関するものでした。ポスター発表は部屋の中央部分でしたが、コアタイムの11時45分―12時45分は部屋全体が混みあい、熱気にあふれていました。
191031気象学会ポスター
 山本哲ほかの ポスター
ポスターの後ろでは、
「山岳観測の結果は日本の気象学の発展にどれだけ寄与したのかね?」
という二宮洸三・元気象庁長官のシビアなご質問に、
「私は気象学者ではなく化学屋ですが、ハワイのマウナロア観測所ももとは小さい測候所だったのがいま世界の温暖化問題のメッカになっています」と応戦してみました。NPO発足の当初はむしろ反対意見をお持ちだった二宮元長官が、来てくださったのが嬉しかったです。「気象学者がバカだから」という過激なご発言もあったりして、隈健一東京大学シニアプログラムアドバイザー(東京管区気象台長時代に富士山測候所を見学されました)や、日本気象学会の理事長をしておられる東北大・岩崎教授も加わって、にぎやかな議論と談笑になりました。

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ポスター会場で談笑する二宮元長官、隈東大シニアプログラムアドバイザーと土器屋

実は、今回の福岡への旅行には「芙蓉日記の会」としてはもう一つの目的がありました。福岡は黒田藩のお城があり、野中到・千代子夫妻ゆかりの地。

8月末にリニューアルしたばかりの『野中到・千代子資料館』と関連する研究発表がこの地で行われる偶然に感謝しながら、到と千代子が子供時代を過ごした土地を訪れることで、「富士山頂の観測」という稀有壮大な発想とそれを実行する気概が生まれた秘密を探れないかと考えていました。
(以下続報「その2」に続きます)
(広報委員会)