太郎坊のそよ風

認定NPO法人 富士山測候所を活用する会 オフィシャルブログ

Alpinist78

雑誌『Alpinist』は2002年にアメリカで創刊された世界的に有名な山岳関係者の季刊誌です。この度 Martin Hood氏が "Eighty-Two Days on Mt. Fuji" (富士山頂の82日間)と題して野中至・千代子の山頂観測を最新号である2022年夏号に発表しました。Martin Hood氏は2020年に、本NPOの同好会「芙蓉日記の会」に入会、本ブログにも過去に情報提供をされたことがあります。

1895年(明治28年)1月4日、(日本のみならず世界的にも)初めて冬富士に挑んだ野中至の失敗(山靴に打ち込んだ釘や、持参した鳶口が富士山の堅い氷に歯が立たなかったため)と2月末の再挑戦のと、奇跡的な登頂成功が詳細に語られることからスタートします。その後の素晴らしい展開は、雑誌に載った記事でお楽しみください。

至の著作『富士案内』と千代子の著作『芙蓉日記』を引用する形で示されます。両者著書を覆刻した大森久雄編『野中至_富士案内・野中千代子_芙蓉日記』(大森久雄編、平凡社ライブラリー、2006)が記事の主要な情報源です。

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山頂の生活では、和歌が随所に挿入されていますが、英訳に当たっては英詩としての韻を踏むなどの、工夫が凝らされており、単なる記録というよりは文学作品としての『芙蓉日記』の紹介が行われています。
芹沢写真ページ
気象庁時代に山頂からの写真を写真集にした芹沢早苗氏の写真も謝辞とともに引用されています。

 気象庁時代に山頂からの写真を写真集にした芹沢早苗氏の写真も謝辞とともに引用され、また現在、富士山測候所が本NPOによって夏期に研究利用されていることも記されています。

『Alpinist』のWebサイトの 「About Alpinist」 に ”we continue to produce stories that are carefully edited, beautifully illustrated and thoroughly fact-checked”(入念に編集し、美しいイラストと徹底した事実確認がなされた記事を作り続けます)という編集方針が紹介されているとおり、洗練されたデザインもさることながら、記事の内容については執筆にあたった Martin Hood氏も発行に至るまでは何度も事実確認を求められたとのことです。文末には、『芙蓉日記』の完全英語翻訳版が晴美Hood氏によって近く上梓されるということも記されています。

野中至の孫にあたる野中勝氏からも「淡々と二人の著述に沿って書かれている事に好感を持ちました。救援隊による救出の様子もていねいに書かれており、海外にまでこのような形で祖父と祖母を紹介していただいたことを感謝します」とコメントが寄せられました。

Marin Hood氏の論考は、大森久雄氏を中心とした「芙蓉日記の会」での議論も生かされています。野中至・千代子の1895年の壮挙が新たに世界的な視野での注目を浴びることになったことは「芙蓉日記の会」にとっても喜ばしく、さらなる研究のきっかけとなる出版です。

(芙蓉日記の会)






認定NPO法人富士山測候所を活用する会とは


2004年に無人化され、いずれ取り壊しの運命にあった旧富士山測候所。
富士山測候所を活用する会は、この施設を国から借り受け研究・教育の拠点にしようという構想で、2005年に大気化学や高所医学などの研究者が主体となって立ち上げたNPO法人です。

また
富士山頂という厳しい環境の中、その修理費・維持費や、運営費など
年間3000万円という莫大なコストが掛かるのです。

しかしながら、資金面に関しては、
公的補助もなく研究利用費だけで運営しております。

そこで、皆様からご支援、会員になっていただき未来へ
つなぐ研究の手助けをどうぞよろしくお願いいたします。

本NPOは、認定NPO法人(認定NPO法人は全NPOの2%しかない)です。
ご寄付に関しては、控除もありますので詳しくはウェブサイトなどでご確認ください。

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