2010年度富士山測候所 研究報告書(速報 その1)

氏 名: 加藤俊吾、梶井克純   Shungo Kato, Yoshizumi Kajii       
所 属: 首都大学東京   Tokyo Metropolitan University   
共同研究者氏名・所属:  NPO関係者の皆様   

       

研究テーマ:  富士山頂でのオゾン・一酸化炭素の測定 (富士山頂を利用した越境大気汚染の観測システム構築と観測)



研究結果:

富士山山頂において一酸化炭素(CO)とオゾン(O3) の測定を行った。

富士山頂のような高度が高い地点では、比較的近い地点からの大気汚染物質発生源の影響をうけず、離れた地点からの汚染大気の輸送の影響を観測するのに適している。そのため、富士山頂は東アジア地域全体の大気汚染の状況などを知るのに重要な観測地点である。


一酸化炭素は化石燃料や森林火災などの燃焼の過程で発生し、大気中で1ヶ月程度存在するため、汚染大気が輸送されてきているかどうかの指標として役に立つ。比較的高度の低い地点(対流圏)でのオゾンは植物(食料生産)や人体にも有害な物質であり、近年都市域だけでなく、遠隔地域においても濃度上昇しており、将来的な挙動が心配されている。オゾンは発生源から直接排出されるのではなく、汚染大気が光によって化学反応を起こすことで生成する。


2010年の夏季の観測結果を図に示す。一酸化炭素とオゾンが同時に高濃度となる期間は汚染大気が輸送されてきていることがわかる。一方、一酸化炭素だけ高くなる期間はオゾンが十分に生成するたけの輸送時間がたっていなかったか、日射が不十分であったことが予想される。さらに、オゾンは高濃度だが一酸化炭素は低い期間は、オゾンが高濃度に存在する大気の上空から空気塊が輸送されてきたことが考えられる。


富士山頂で取得した測定データ・機器を東京の研究所からリモートで受信・制御しすみやかに観測データをウェブサイトに公開した。

英文:
Atmospheric carbon monoxide (CO) and ozone (O3) were observed at the top of Mt. Fuji during summer in 2010. CO is produced by combustion process and it can work as indicator of polluted air. O3 is produced by photochemical reaction of polluted air. Generally the observed CO and O3 showed similar concentration change with significant variation. It is suspected that the air was influenced by long-range transport of polluted air from remote polluted area.


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