富士山測候所は周知のように2004年に閉鎖されたが、元気象研究所の土器屋由紀子さんらの奮闘でNPO法人「富士山測候所を活用する会」が結成され、07年から毎年の夏期2ヶ月間、全国から集まる多種多様な人々の研究・教育活動の場として活用されている。


そこには高所医学の分野もあるので、私は近隣の退職サラリーマン仲間8人と共に、昨夏、鹿屋体育大学の山本正嘉教授や大学院生笹子悠歩氏の被験者として、血液中の酸素濃度などの測定をしながら登り、懐かしの山頂庁舎にも宿泊した。30歳前後に6年間在籍して以来、約40年ぶりである。現役時代には登頂の晩から翌朝にかけ、必ず高山病の頭痛が出たので、73歳の今、どんな事になるかとオッカナビックリだったが意外や意外、体調はすこぶる良かった。


とは言え、これには後日談がある。山本教授によれば高所生理学で次のような仮説が提唱されている由。「高所での頭痛は、低酸素の影響で脳の血管が拡張し、血液がたくさん流れこんで、頭蓋骨内の圧力が高まることで起こる。ところが歳をとると脳細胞が減ってくるので、脳内の圧力が高まりにくくなる、云々。」

要するに老化で鈍くなったのであろう。唖々。


なお、付記すれば、このNPO法人「富士山測候所を活用する会」への参加者は年々増加し、2010年度は21グループ、延べ467人となった。研究成果の報告会が毎年1月、東京大学で行われる。今年も盛会であった。ただし、ご多分に漏れず、運営資金が容易ではない。富士山に愛着をもつ人達のご支援を期待する。


櫃間 道夫




(註)この短文は、気象庁OBで組織する「気象旧友会」の機関誌『旧友会たより』(月刊)の最近号に載ったもので、ご本人の承諾を得てご紹介しました。櫃間さまの昨夏の登山についてはこちらを参照ください。






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三分咲き。1月28日に近くの麹町学園から剪定した桜の枝をもらってきたもの。