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2012年度の活動報告をする三浦和彦・東京理科大学総合研究機構山岳大気研究部門部門長


3月29日(金)は今年度最後の(営業)日。
東京理科大学総合研究機構山岳大気研究部門の第2回成果報告会が神楽坂の森戸記念館で開催された。

東京理科大学の総合研究機構山岳大気研究部門は2011年4月に発足。設立目的は、これまで個々の研究機関、プロジェクトが日本国内の山岳地域で行ってきたそれぞれの成果を交換し、さまざまなノウハウを共有することで共同研究をすすめることと、山岳大気観測のネットワーク化をめざすこと。

成果報告会には日本全国から73名が参加。口頭発表19件、ポスター発表27件があり、和やかな雰囲気の中にも真剣な討論が交わされた。
注目したのは放射線医学総合研究所の矢島先生の発表。2007年から富士山測候所で宇宙線観測実験に着手しているが、2010年度からは常時監視するための遠隔モニタリングシステムを開始。その後、2シーズンは約4~5ヶ月間の連続測定に成功していたが、昨年2012年夏に測定回路の改良と新バッテリーを追加して冬季測定に臨み、現在も測定が継続中という。これで、富士山測候所での通年観測は、国立環境研究所の二酸化炭素の測定に次いで2例目となりそうなのはうれしいニュースだ。

国内では、富士山をはじめ、乗鞍岳、立山、木曽駒ヶ岳、榛名山、丹沢など多くの山で、バックグラウンド大気、中国大陸からの長距離輸送、大気質の物理・化学特性雲過程、宇宙線、雷放電時に発生する放射線、電磁波、大気電場、大気伝導率など多岐に及んで観測されているという。富士山測候所を活用する会も連携を一層密にさせていただき、さらに成果を上げていって貰いたいものと思う。

最後に、3名の外部評価委員の講評をご紹介します。

「前回(昨年の第1回)に比べ格段に充実した発表会であった。PM2.5が一般にも注目されるようになったが越境大気汚染に取り組んできたこの研究会は先見の明があったといえる。(発表の前半については)富士山関係のデータがまとまってきたという感じで、これからが楽しみである。」(江戸川大学名誉教授・土器屋由紀子氏)

「(口頭発表はベテランの方なので別として、)若い人たちのポスター発表内容に特に興味をもった。非常に発展性を感じられたので、これから伸ばして行ってもらいたい。」(東京農工大教授・畠山史郎氏)

「松木先生(金沢大学)が各地の観測をまとめた一枚のスライドが印象に残った。それぞれの発表は自分の地域別に研究しているが、同じ時期に行なっているものをまとめたものはない。次回はこれをシンセサイズし是非一枚の絵にしてもらいたい」(東京大学大気海洋研究所教授・植松光夫氏)

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