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29号柱付近で下から伸びた樹木が電線に接触している

夏期観測2013の計画が一昨日19日に報道各社に対してリリースされた。測候所の開所は7月16日に決まり、それに向けて登山計画書の受付も始まった。

開所までに準備しなければならない事項は多々ある。気象庁から借用している特別高圧の送電線の保守点検はそのひとつである。太郎坊から山頂まで電気を送る送電線は、測候所の研究活動を支える重要なインフラ設備であり、いわば測候所の生命線だ。先日6月17日に続き、2回目の点検が昨日20日実施された。

太郎坊から総延長4キロメートルに及ぶ架空送電線は、常に自然の脅威にさらされている。数年前には風の微振動で電線が切れたり、雪害で電柱が数本倒れた年もあった。しかし、これらの脅威のほかに、この山麓一帯では生い茂る樹木が送電線にとってはあなどれない脅威となっている。

送電線付近の樹木の枝が伸びて送電線にかかったり、枯れた樹木が倒れたりするため、毎年、開所前のこの時期に点検し、枝払いや倒木の伐採処理を行なっている。今年の点検結果、送電線の真下から伸びてきた木が大きくなり過ぎ、送電線に接触しはじめているという。しかも、その数は数十本。半端ではない。来年のこの時期には、これらの樹木の伐採は避けてとおれない状況になりそうである。当然のことながら、そのためのコストも余計にかかることになる。

富士山は、あらゆる種類の災害が待ち受けている「自然災害の宝庫」である。意外と思われるかもしれないが、送電線にとっては昨年の動物(ネズミ)と同様、植物(樹木)もまた、厄介もののひとつなのである。

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同上の場所を別の角度から撮影したもの。樹木の枝が悪魔の触手のようにも見えてくる。