太郎坊のそよ風

認定NPO法人 富士山測候所を活用する会 スタッフブログ

2010年06月

7月を直前にして事務局から研究班の皆さまにお願いする事項も多くなり、次から次へと飛び込んでくるメールの対応に追われた一日でした。そんな中、たまにかかってくる電話はちょっとした息抜きになります。

池田先生(信州大)から電話があったのは午後4時頃。昨日事務局から送ったメーリングリストの内容の再確認でしたが、しばらく話しているうちに「昨日は、富士山頂に登ってきたよ」と事もなげに言われたたので、山頂の写真をお願いしておきました。

夕方には画像を添付したメールが届いていました。先生は、研究のためよく山に登られているそうで、今回送られてきたのは、5月2日、6月11日、そして6月28日(昨日)と、ほぼ1カ月間隔の3組の写真です。定点での撮影なので、雪解けの進捗状況がよくわかります。

そういえば、今日は変圧器設置工事の配線調査の立会いで測候所に行った山頂班のケータイからも、「雪は例年より少ない」との連絡がありました。

夏山の富士山は、すぐそこまでという感じですね。


富士山の写真を3枚お送りします。いずれも測器の点検に出かけたときに撮ったものです。

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5月2日 地温観測と連動させている気象観測装置が樹氷と化していました。この時点では昨年より雪が多かった模様です。(02May)

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6月11日 測器はほぼ顔を出していたものの、記録装置を入れた箱はまだ氷漬け・・・今年は昨年に比べ積雪の氷化が著しく、砕くのも容易ではありませんでした。(11Jun)

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6月28日(昨日です) 11日の状態から雪融けが急速に進んでいました。ようやくデータを回収できました。(28Jun)

(※)池田先生の研究グループは、永久凍土の直接観測に向けて8月18日から5日間の予定で、富士山測候所をベースにして掘削などを行われます。

36 号柱修理①
ほぼ直角に折れ曲がった架空線の電柱

3か月前の3月20日、富士山麓を襲った落雷を伴う嵐で電柱が折損するなどの被害を受けた送電線。富士山測候所にとっては電力を供給している生命線でもある。

その補修工事が6月21日から23日に行われ、無事終了した。しかし、トランス取り替えなどの後工程は、山頂の積雪量が多いため一週間延期することに。
7月12日の通電・開所には、何とか間に合う予定です。

「極地」の富士山では、自然災害は何でもありだ。

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1.2号柱開閉器取替。

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キュービクルの点検作業

(参考)富士山測候所バーチャルツアー>送電線施設

現地から離れて今はZurichにいますが、標記報告第三弾です。

昨日のアジアセッションで、三浦先生と松木さんが口頭発表を行いました。
朝から快晴で人が少ないんじゃないかと心配していましたが、会場は盛況で、質疑も活発に行われました。ひいき目でなく、最も面白いセッションの1つでした。

セッションの最後には、PSIのBaltenspergerさん、Washington大学のDanielさん、NOAAのSchnellさんが山頂観測施設の重要性をアピールするための文書作りに協力を呼びかけ、皆の賛同を得ました。富士山測候所についても内容を詰めていくことになりますので、よろしくお願いいたします。

当該セッションの写真を3枚添付します。

さて、私は昨日のお昼にZurichに移り、PSIを訪問してセミナーに講演者として招請参加しました。蒸し暑い部屋で1時間以上話したのでバテましたが、何とか全部ノルマを果たせてほっとしています。

というわけで、不十分な内容ですみませんでしたが、現地報告もこれでピリオドを打ちたいと思います。

以上、インターラーケンレポートでした。
保田浩志(Zurichより)


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口頭発表をする三浦会員
Size distributions of aerosol particles measured at the summit and a base of Mt. Fuji

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口頭発表をする松木会員
Size distribution measurement of air ions at the summit of Mt. Fuji during 2009 summer campaign


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日本メンバーで大会長の Johannes Staehelinさんを囲んで

昨日、Lin先生、Schnell先生と夕食をともにし、富士山の応援メッセージを書いて参加者みんなで署名しようという提案がありました。

さきほどSchnellさん本人からメッセージをもらい、土器屋先生に転送して1.直してほしい場所、2.誰に宛てるべきか、を聞いてくれと言われました。

添付をご確認ください。
とりいそぎ。
松木


以下は添付のメッセージ。土器屋先生があっという間に日本語訳をしてくださいました。誰に宛てるかについては、小沢環境大臣 Mr. Sakihito Ozawa Minister of Envronment ということになりました。署名入りの文書は、いずれホームページの「応援メッセージ」にも登録することにします。

To Whom it May Concern:

During the week of June 8-10, 2010, fifty leading atmospheric scientists from around the world shared their research results at the first international symposium on "Atmospheric Chemistry and Physics at Mountain Sites", Interlocken,  Switzerland.  From the data presented, it became clear that high elevation mountain atmospheric observatories provide a unique window on long range transport of air pollution and dust, chemical reactions in the atmosphere, and crucial information on background concentrations of trace gases and aerosols influencing ozone concentrations, and those that drive climate change.  
2010年6月8-10日、スイス・インターラーケンに集まった50人の世界の主導的な大気科学研究者たちは第1回の「山岳における大気化学・物理」国際シンポジウムで夫々の研究成果を共有した。ここで公表された成果から、高所山岳における大気観測が、汚染物質や粉塵の長距離輸送、大気中の化学反応、オゾン濃度に影響を与え、気候変動を引き起こす微量気体やエアロゾルのバックグランド濃度などの解明に、ユニークな「窓」を提供することが明らかになった。

It also became clear that the numbers of high mountain observatories covering the relatively compact area of Europe are barely adequate in number and location/spacing to monitor the atmosphere in that region.  For instance, the recent volcanic ash cloud from Iceland illuminated crucial gaps in the network capable of sampling within the actual ash cloud.
また、ヨーロッパの山岳観測所は比較的狭い地域を観測範囲としているが、観測地点の数、場所/間隔に関しては、十分とはいえないということも明らかになった。例えば、最近のアイスランドの火山噴火による火山灰の雲のサンプリングのネットワークにおいては、決定的な欠測地が判明した。(抜けている部分が明らかになった)

More importantly, presentations showed that the density of high altitude mountain observatories in, and downwind of Asia, is a factor of about 10 less than in Europe.  At present, only the high elevation observatories at Mt. Waliguan, China, and Mount Lulin, Taiwan bear the responsibility for monitoring the high elevation atmosphere from the Tibetan Plateau to the East China Sea, and for a human population well beyond 1 billion people.  One of the more valuable recent observations from the Lulin Observatory is that high concentrations of mercury are flowing east from Asia, the result of mercury rich coal burning that has been increasing at 4% per year for more than a decade.  A second monitoring site is needed to put bounds on the mercury flux into/over Japan and into the north Pacific Ocean.
より大切なことは、アジアとその風下における山岳観測の密度はヨーロッパの10分の1以下であることが明らかになったことである。現在、中国ワリガン山の高所観測所と台湾の鹿林山が、チベット高原と東アジア海域にあって僅かに、10億以上の人間が発生する汚染大気のモニターの責を負っているに過ぎない。最近の台湾鹿林山の研究の重要な発見の一つは、アジアから東に流れる水銀濃度の高い石炭燃焼に起因する汚染大気が観測されたことである。過去10年間に4%の増加率で増え続けている。この水銀の、日本及びそのへのそしてその上空を越えて北太平洋への輸送を調べるために、太平洋の北側にもう一つの観測地点が必要である。

The observatory on Mount Fuji, Japan, is ideally situated for monitoring long range outflow of gases and aerosols from northern-central Asia.  The location of Mount Fuji and the present research infrastructure at the top of the mountain, make this site an international and global treasure for atmospheric science measurements.  The mountain is already a Japanese national cultural treasure.
日本の富士山観測所は北及び北部中央アジアからの微量気体とエアロゾルのモニタリングに理想的な地点にある。富士山の地理的な位置と最近の山頂研究のインフレストラクチャーは、世界の大気科学研究にとってこの地点を国際的に貴重な宝としている。もちろんこの山は日本の文化的な宝でもあるが。

We, the undersigned scientists, strongly urge the government of Japan, its agencies, and its citizens to support and expand long-term atmospheric monitoring at the globally significant Mount Fuji Observatory.  This support would allow for solidifying the embryonic Asian-Pacific Mountain Atmospheric Observatory Network consisting of Mount Fuji; Waliguan; Lulin; Mauna Loa, Hawaii; Whistler, Canada;  and Mount Bachelor, Oregon.
ここにサインする我々一同は日本政府、行政官署及び国民に、この世界的にも重要な富士山における長期にわたる観測をサポートすることを強く要請する。そのサポートは生れつつあるアジア太平洋山岳観測ネットワーク(ワリガン山、鹿林山、ハワイのマウナロア山、カナダのウイストラー山、米国オレゴン州のバチェラー山を含む)をさらに確実なものにするであろう。

現地報告第二弾です。

今日のポスターセッションで、土器屋先生や当方(保田)が発表を行いました。
昼休みの後で、天気が良かったこともあり、最初は閑散としていて悲しくなりましたが、次第に人が増えてきて最後の30分はずっと説明に追われました。

夕食をNOAAのSchenll先生や台湾中央大のLin先生とご一緒し、Mount Fujiでの観測データを生かす為のネットワークをどう構築するか相談しました。プロダクティブな会合になったと思います。

明日の午前中に三浦先生&松木さんの口頭発表があります。
保田浩志

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ポスターセッション風景 1(ホテルのロビーで)

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ポスターセッション風景 2(レストランに向かう廊下で)

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ポスターセッション風景 3(土器屋理事のポスター前)

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