太郎坊のそよ風

認定NPO法人 富士山測候所を活用する会 スタッフブログ

2011年08月



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8月25日(木)午後の観測機材の積み下ろし作業。作業が始まるのを見計らったように雨が上がった。





8月25日(木)から始まった研究班の観測機材の荷下げ。

初日となった25日は、荷物量の最も多い日。あいにく山頂では激しい雨中の積み込み作業となったが、太郎坊に着いた頃にはその雨も上がり、早稲田大学、東京理科大学、国立環境研究所の荷物の積み下ろしは、慣れたメンバーということもあり手際よく終える。その後、土日をはさんで4日間荷下げがつづいたが、最終日となった30日(火)をもってすべて完了した。


一方で、大型で強い台風12号が海上にあってゆっくりと北上し、1日には伊豆諸島の南西海上、2日には東海道沖へ達する見込みとの台風情報。山頂では9月2日予定の閉所の日程を早めるべく、地上の関係者と連絡を取りあっていた。


そんな、緊迫した8月30日(火)のめまぐるしい一日を当日の御殿場基地担当の大河内先生からのメール報告で追ってみた。


8月30日(火)


午前7:34

昨日、加藤先生から御殿場班を引き継いだ大河内です。

私の背中&首痛のため、加藤先生に急遽変更変わっていただきましたが、おかげさまで背中&首痛もほぼ消えて、通常の生活を行えております。


御殿場、太郎坊とも快晴です。本日、朝5時の御殿場基地からの写真を送ります。

台風12号接近のため、閉所日を9月2日から9月1日に早める方向で準備を進めており、現在、日程調整中とのことで、閉所日を9月1日に早められるかどうかは本日中に決定するとのことです。

9月1日に下山できない場合には、9月3日か4日になるかもしれないとのことでした。

<8月30日の御殿場基地>

3:00 起床

5:00 ゴミ捨て

5:20 太郎坊に向けて出発

6:50 御殿場基地帰着

6:55 山頂班岩崎班長から電話

台風接近に伴い、閉所日を9月1日可能性を検討


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朝5時の御殿場基地からの写真





午前9:43

<8月30日の御殿場基地>

9:30 山頂班岩崎班長から電話

8:50 荷物山頂に到着

9:37 山頂班岩崎班長から電話

9:30 関G(北大)2名、鴨川G(東京学芸大)2名 下山開始



午後3:28

太郎坊から戻りました。

続報です。

<8月30日の御殿場基地>

13:20 関G(北大)2名 太郎坊到着

14:05 荷物到着 計量

14:50 安本先生(東京大)、鴨川G(東京学芸大)2名と太郎坊出発

15:10 御殿場基地到着 鴨川G2名 御殿場基地来訪

15:20 安本先生 御殿場駅を送る

15:30 御殿場基地 帰着

以上で、今年度の研究者の荷下げ作業はすべて終了しました。



午後5:09

台風接近に伴い、測候所の閉鎖日および山頂班の下山日が9月1日に正規変更となりました。



午後6:12

大河内@御殿場基地です。

続報です。

17:40 鴨川G2名 御殿場駅まで送る

御殿場、富士山では雲がでてきました。富士山の頭はすっかり雲のなかです。

山頂では雲海でしょうか。18時の御殿場基地からの写真を送ります。


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18時の御殿場基地からの写真











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今年の7月12日に初めて山頂に設置したライブカメラからの映像。富士山を地上から仰ぐライブカメラは多々あるが、標高3776Mから下方を見据えるカメラは、日本一高所にあることは間違いない。



3秒間隔で更新されるライブカメラの映像は、時々刻々変化する山頂の雲のリアルタイムの動きを見事に映しだすとともに貴重な記録を残してくれた。カメラは8月25日(木)12時35分をもって画像送信サービスを終了し、撤去された。
 

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今夏ライブカメラで最後に撮影された映像。残念ながらあいにくの天気で遠景は全く見えない。 撮影時刻:2011年8月25日12時35分




ライブカメラを設置したのは学術研究目的にある。大気化学の研究にとって、空(雲)の画像は非常に重要なものであるという。ある研究者は、この画像データを雲海のチェックのために科学データの一部として使う予定である。8月2日から24日間にわたって5分ごとにサーバーに保存してきた画像データは、これから解析に供され活用されることになる。

 

一方、ある気象予報士の方は、この画像をほかのデータと合わせて見て専門の気象の研究に活用されている。そして、どうやら仙人のように、雲の上から下界の人間社会を達観されているようでもある。

 







 

富士山山頂のライブカメラ設置、ありがたく思います。

自宅にいるときは、ほとんど毎日見ています。

 

このとき、(地上における)富士山周辺に設置されているライブカメラ画像と比較対照して、雲の種類(形状、濃淡、ちらばりの程度)、高度、流れる方向&速度、そして、時には、甲府地方気象台や静岡地方気象台のウィンドプロファイラー、さらには、浜松の航空基地、水戸地方気象台のエマグラム等の数値データも合わせ見て、雲の形成原因や大気層の温度構造等を検討・推定しています。

 


今後、上記気象庁等の観測データ、さらには、高層天気図(850hPaや700hPa等の高度)に描かれている実況値及び予想値が、どの程度確かなのか、逆にチェック出来るのではないか、と考えています。

 


大変素晴らしいTOOLです!



下界では雲の下で雨、雲の上では晴れ。
こんな時、雲の上に出て、下界の雲海を見渡す。

自然現象で論理としては(紙の上では)理解出来てはいる。

しかし、足元にある雲海から、雨がさらにその下に降っていることを知る。

そこにほとんどの人々が往来を行きし、傘をさし、また空を眺め、川の増水を心配し、、、、。

世の中を観る見方も変わる様な気がします。

蛇足、失礼しました。

 

気象実験クラブ 

佐藤 元

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山頂の朝 2011年8月5日午前6時56分




 
ライブカメラのベストショット集
(画像右下の+をクリックすると拡大してご覧いただけます)


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日の出 2011年8月1日午前4時26分




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早朝の山頂 2011年8月6日午前6時20分

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穏やかに晴れた日の午後 2011年7月17日午後1時58分

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雲に包囲される測候所 2011年8月11日午後4時41分





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吊るし雲 2011年7月27日午後6時31分




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子供たちは富士山への質問をしているときがいちばん目をキラキラさせていました。


「夢」

夢の無い道ほど、退屈な道はないもの。
夢がある道こそ、自分が生きている実感のする道。
そう思うのです。

私の夢は、科学の先端的な研究のような難しいものではありません。
当たり前のことを、富士という山の上で行ってみること。
行った結果を、下界の人々にフィードバックする。
ただそれだけです。

誰でも出来そうなことではあるが、実際には、ほとんどだれも出来ていない。
「そんなことやって、何の役に立つのか」、とすぐソロバンをはじく向きもあるかも知れない。それでもいいのです。

将来を担う子供たちは、好奇心の塊りです。
どんな方向へも向かう可能性を秘めています。
きっと、驚きの心をもって迎えてくれるに違いないと思っています。 
人をそだてる、方向づける一つの道ではないか、と思うのです。
紙の上に書いてあることは、教科書を含め、単なる知識にすぎません。
知識も大事ですが、富士山で、実証実験するのです。

これは、今年の2月3日に気象予報士佐藤元さんから事務局あてにいただいたメール(の一部)です。
あれからちょうど半年。8月4日(木)、佐藤元さんはこの「夢」をいとも事もなげに実現されました!これも、地上での試験、山での試験、そして、多くの関係者との調整など周到に練られた準備があったればこそです。

今回のライブ中継は、気象実験クラブの佐藤元さんが中心になり、パルシステム神奈川ゆめコープの組合員の交流会の一部として気象予報士会サニーエンジェルスの「お天気教室」のなかで実施されました。富士山測候所を活用する会は、その舞台となる測候所を提供する形でコラボレーションが実現したものです。

山頂には佐藤元さんのほか、気象実験クラブの1名と学生の3名が前日から泊まりがけで準備。本番直前になって無線LANがうまくつながらず、急きょSkypeに切り替えて行うことに。でも、富士山頂でのこういったトラブルを想定して、あらかじめ何重にもバックアップ対策をとってこられたのはさすがです。

新横浜にある、パルシステム神奈川ゆめコープ、本部の下界の会場には親子連れが約30人と気象予報士サニーエンジェルスのスタッフの皆さまが6名。会場の大きなスクリーンに映しだされる佐藤元さん、学生さんたちと対話する形で進められました。

「山頂にはトイレがあるのですか」「山頂では電気をどうやってつくっているのですか」「山頂では何を食べましたか」「カミナリがきたらどうするのですか」などなど・・・次から次へと浴びせられる子供たちからの質問とそれに答える山頂の学生とのやりとりは会場を沸かせてくれました。

富士山測候所で科学講座は毎年やってきましたが、このようにインターネットを使って山頂と地上を結んで中継した講座は初めての試み。小学校低学年の子供たちにも富士山測候所の存在が身近なものになったことでしょう。「気象庁の施設でありながら気象の分野でほとんど使われないのは、気象予報士としてはいささかさびしい」とおっしゃっていた佐藤元さん。今後の富士山測候所の活用のあり方にヒントを与えてくれたことは間違いありません。

このイベントに関係された多くの皆さまに、この場をお借りしましてお礼申し上げます。

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「ハーイ!皆さん、今日は。こちらは富士山の頂上の放送局です。」スクリーンの佐藤元さんが下界の会場の子供たちに声をかけます。
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土器屋理事も要所要所でコメントをふられます。これはパルスオキシメーターの説明をしているところ。

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山頂の実験と同じ実験を会場でも行う。


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約1時間のライブ中継が終わり、画面の山頂のスタッフに手を振る参加した皆さん。満足度調査もとてもよかったとのことでした。



[今回のイベントにかかわった団体]

パルシステム神奈川ゆめコープ
産直を通じて安全で安心な食材を届けている神奈川県の生協(coop/コープ)。パルシステム神奈川ゆめコープの理念「生命を愛しみ 自立と協同の力で 心豊かな地域社会を創り出します。」を掲げ、食と農を支える「産直」、資源循環型社会をめざす「環境」を事業の基本として活動しています。

(社)日本気象予報士会サニーエンジェルス
~空を見上げるお母さんを増やしたい!~ ママ向けお天気教室「さいえんすママカフェ」のために集まった女性気象予報士の団体。

(社)日本気象予報士会
気象実験クラブ
「水と空気」が作り出す「自然現象」をよりよく理解し、自然を楽しむことを目的とする気象予報士の集り。佐藤元さんが代表をつとめ、神奈川県内で数多くの出前授業をこなされています。

(社)日本気象予報士会
全国の気象集まって予報士の団体。会員は約3千名。幅広い年齢、さまざまな業種の方々から構成されています。会員相互の親睦および技術力向上、情報交換などを行うことを目的とし、気象を通じての社会貢献を目指しています。

(財)日本気象協会
気象情報の提供及び、防災や環境などに係る調査コンサルティングを通じて、快適な日常生活や安全確保の支援、産業活動の発展や環境の保全に貢献しています。

横浜国立大学教育人間科学部/横浜国立大学大学院 教育学研究科気象学研究室


8月3日(水)午前4時30分からのNHK総合TVの朝のニュース、情報情報番組「おはよう日本」。全国放送のこの番組の中で、『"日本最高"の研究所』と題して富士山測候所での研究活動が紹介されました。


(*)その後、この番組は環境情報動画ポータルサイト「NHKエコチャンネル」に掲載されました。動画はこちらからご覧いただくことができます。


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 番組のタイトルは「”日本最高”の研究所」


富士山測候所の取り壊しが検討される中、研究者たちがNPOを立ち上げたという経緯から始まり、今年の夏の研究観測の様子、そして測候所を新たな観測拠点にしようと研究者たちの努力は続く、といった構成内容。


特に、成果を期待されているものの一つとして国立環境研究所が行っている二酸化炭素濃度の測定をクローズアップ。山頂がCO2測定にとても適しており、夏期だけでなく大量のバッテリーを使って通年で観測し、その結果、冬場は日本上空のCO2濃度が上がることがわかってきたとグラフを使って解説しています。


コンパクトながら、とてもわかりやすくまとまった内容でした。山頂で行われている研究の意義を前面に出して、測候所やNPOの必要性・重要性を訴えていただけたのは、何よりでした。


取材していただいたNHKの皆さま、そして取材にご協力していただきました皆さま、どうもありがとうございました。



番組が終わるやいなや、大河内先生(早稲田大)からメールが飛び込んできました。




2011年8月3日 水曜日 午前5:02

みなさま

大河内です。


いま見ました!


短時間ではありますが、大変分かりやすく解説いただきましたね。


小林さん、当方の学生によるエアロゾルのインパクターサンプリングの様子が映っていました。


須永さんによるCO2の話も大変わかりやすかったですね。夏季には富士山頂とマウナロアでCO2濃度が同程度であるが、冬季には富士山頂でCO2濃度が上昇する原因として、越境汚染の影響があるのではないかということでした。その他の大気汚染物質についても通年観測をなんとしてもおこないたいところですね。




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 小林先生(山梨大)56efb49e.jpg
 レドーム建設のこんな貴重な映像も。

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 「富士山測候所を活用する会」のキャプション

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 測候所の重要性を訴えられる須永先生(国環研)


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[関連プロジェクト]
富士山体を利用した自由対流圏高度におけるエアロゾルー雲ー降水相互作用の観測

雲はエアロゾルを凝結核として生成し,その成長過程で水溶性ガスを吸収する.雲粒径が臨界直径より小さければ,雲粒は消失して気相にエアロゾルを放出するが,この過程を通じてエアロゾル径を増加させるとともに,水溶性成分を増加させる.雲粒径が臨界直径より大きければ,雲粒はさらに液滴成長して併合衝突により雨滴となって地上に落下する.このエアロゾルー雲ー降水相互作用は,地球温暖化とその環境影響の将来予測の観点から注目されている.本研究では富士山測候所を活用し,様々な大気汚染物質のバックグランド濃度を解明するともに,バックグランド汚染の実態解明を行い,エアロゾルー雲ー降水相互作用の解明を試みる.

富士山頂における無人の継続的二酸化炭素濃度測定

2009年より、NIESが開発した遠隔地用自立電源型自動二酸化炭素濃度測定システムを用い、富士山頂にて大気中二酸化炭素濃度の長期観測を行っている。電源自立型の衛星通信システムを備えた耐低温性の小型の装置である。観測されたデータは毎日定時測定後につくばのNIESにe-mailで送信されている。2010年の夏季より2年目の無人の越冬観測に突入したが、通信やメンテナンスの方法など更に改善が期待される部分を残している。観測を継続しながらデータの分析を行うと同時に、長期的観測を見越したシステムつくりを進めていく。測候所の開所中はボトルサンプリングによる大気採取も行い、測定装置により得られたデータとの比較を行う。







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