平成23年は我が国にとっても未曾有の、まさに苦難の年であったということができましょう。未だにその影響を受け続けている方々がいらっしゃり、心よりお見舞い申し上げる次第です。本NPOには放射線やエアロゾルの研究者も多くおり、放射性物質の輸送なども研究対象の一部となっております。平成23年の測定では山頂には放射性物質は飛来していないことが明らかになりました。今後は山頂以外のところでも影響の確認やメカニズムの解明に当たることになるものと考えています。

平成23年は7月11日より9月1日までの約2カ月間にわたり、3人の常駐管理者のもとに、学術科学関連16件(大気化学関連8件、高所医学関連4件、宇宙線関連1件、永久凍土関連1件、新エネルギー関連1件、その他2件)、活用・登山・教育関連1件の研究・活動が行われ、のべ373人が参加しました。研究・活動への参加者こそやや減少したものの、論文や学会での発表件数は着実に伸びていることは会誌「芙蓉の新風」に報告したとおりです。この、平成23年の成果につきましては、本年1月29日に東京大学小柴ホールでの報告会においてご報告いたします。

本NPO法人が、平成22年4月に旧富士山測候所の借用について、気象庁と契約を交わした第二期3年間の借用期間も平成24年には最終年度に入ることになります。本NPOの本格的活動も5年目を経過し、研究活動は安定的な発展の状態になったと見えますが、安定的な資金源のないNPOの経済的な基盤は非常に脆弱で、各位の献身的なご支援のおかげで、このような研究活動の推進が達成できたものと、心より感謝申し上げます。今後のさらなるご支援を、心よりお願い申し上げます。

来年度以降も高所科学の研究拠点として発展させて参りますことをお約束し、ご挨拶とさせていただきます。

2012年(平成24年) 元旦

NPO法人富士山測候所を活用する会
理事長 畠山史郎  


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山梨百名山 小楢山頂にて