太郎坊のそよ風

認定NPO法人 富士山測候所を活用する会 オフィシャルブログ

2012年05月

5月13日(日)は、東京神楽坂では富士山測候所を活用する会の通常総会が開かれていた日です。

この日、富士山頂に登山しておられた二人の方から、素晴らしい貴重な写真とメッセージが届けられました。

ひとりは元富士山測候所職員西島昇さん(熊谷気象台)。
今年は山頂の雪は多く、2号庁舎が氷で覆われていたとのことです。

5月13日(日)に登りましたが熟れた場所でしたが、奇妙な事に下山でガスに包まれ道をロストしました。
使っていない古いブル道で惑わされて右往左往しました。
翌日伊倉さんが亡くなられたので今思えば見舞いに来いと呼ばれていたのかもしれません。
懲りずに登っていますのでまた何かありましたらご連絡いたします。
西島 昇
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いずれも2012年5月13日西島さん(熊谷気象台)撮影



もうお一方は池田敦さん(筑波大学)。

私が撮ったものですので,よろしければ皆様にも転送してください。
雪に埋まった2号庁舎の上に登山者が乗っているのが分かるかと思います。
今年は(現時点では)雪がものすごく多いと思います。測器が一部壊れていたので先週木曜にも行ってきましたが,その時点で富士宮口五合目直上にも,いまだ雪が残っている状況で,驚きを禁じえませんでした。
送電設備にダメージがないことを祈るばかりです。
池田 敦
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2012年5月13日池田さん(筑波大)撮影。この写真はしばらく富士山測候所を活用する会HPのトップに使わせていただいています。


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岩坂先生による特別講演会「3000m上空で見つかった納豆菌について思う:北東アジア域の大気監視・管理

5月13日(日)富士山測候所を活用する会の総会に引き続き、15:40から東京理科大学総合研究機構山岳大気研究部門との共催による特別講演会が行われました。

「3000m上空で見つかった納豆菌について思う:北東アジア域の大気監視・管理」という大変興味深いタイトルで岩坂泰信先生(前金沢大学フロンティアサイエンス機構特任教授)が約1時間にわたってご講演。聴講者は37名で満席となりました。

バイオエアロゾルの長距離輸送という大気科学のホットな話題を金沢大学で製品化した納豆と絡めて、ユーモアたっぷりのわかりやすいお話でした。講演後の質問では、黄砂に微生物が付着するメカニズムや納豆の味に関する質問なども出て、楽しく有益な講演が終わりました。

ちなみに、「いちばん美味しかった納豆はどこで採取された納豆菌か」との質問には、「立山上空」とのこと。大陸からはるか上空を渡って飛んでくるロマンいっぱいの納豆菌・・・その納豆を賞味してみたい気持ちに駆られたのはわたしだけでしょうか。


【講演概要】

金沢大学の研究・教育活動の中で能登半島が大変重視されている。能登は海流、風系、水循環の面からみて大気科学や大気環境を勉強するものにとって大変魅力的な所である。能登で観察される黄砂は微生物の運び屋と考えられる。

バイオエアロゾルを考える上で大切なことは、滞空中の温度の問題である。例えば微生物については1972年-2~-4℃にが報告され、2007年に-7~‐11℃に耐える微生物が報告されている。一方、上空の鉱物は-13~-20℃であり、こちらのほうが低い。

バイオエアロゾルの対流圏広域拡散による環境影響調査から、グローバルスケールで砂塵嵐があった時に空気中の微生物が増加することが知られている。

能登半島の人口2万の珠洲市に観測サイトを置いて観測し、同時に中国敦煌市にも観測サイトを置いている。気球を使って採取した両市上空のエアロゾルサンプルのDNA分析を行っている。微生物の種を同定すると、納豆菌と近縁のバチルス属がたくさん含まれている。

以上をまとめると①バチルス属がしばしば見つかる、②黄砂イヴェント時は大気中に微生物濃度が上昇、③黄砂に微生物が付着した粒子は見つかるが、微生物単独では検出されていない。"


なお、金沢大学の生協で黄砂試料から分離したSi-37株より「すかいなっとう」「フロンティア納豆」など・・・と名付けて売っている。



講演資料ダウンロード:





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総会会場となったPORTA神楽坂。飯田橋B3出口を出て斜向かいにあるが、繁華街に面し1階が店舗なので通り過ぎる方も少なくない

5月13日(日)新宿区神楽坂PORTA7階会議室において、第7回目となる通常総会が開催されました。

冒頭、中村徹会長から「富士山測候所を活用する会の活動の重要性は高まってきているが、一方でその運営は厳しい状況にある。将来計画を検討する委員会を立ち上げ、その中でどのようにして活動を継続していくか検討をしていくということであるので、会員の引き続きのご支援をいただきたい」とのご挨拶をいただきました。

総会には正会員総数119名中、出席者14名、書面表決者55名で合計出席者69名となり、①平成23年度事業報告及び決算②平成24年度事業計画及び収支予算③役員の退任及び選任の件の3議案はいずれも満場一致で可決されました。

なお、今期は役員改選期にあたりましたので、引き続き理事会を開催し、役付役員の互選、会長および顧問の委嘱が承認されました。出席役員にはおひとりずつ抱負を述べていただき、予定時刻に終了しました。

今年度の事業計画も、総会での承認を経てスタート。
夏の富士山での研究観測の準備も始動し、本格化します。

会場づくりにあたっては、東京理科大学の三浦先生、上田先生はじめ学生の皆さまに大変お世話になりました。
この場をお借りしましてお礼申し上げます。


関連リンク:
ニュースリリース「役員異動のお知らせ」2012年5月13日





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