太郎坊のそよ風

認定NPO法人 富士山測候所を活用する会 スタッフブログ

2012年09月


東京学芸大学教育学部阪井陸真さんが、日本大気電気学会第86回研究発表会で学生発表賞を受賞しました。
阪井陸真さんは鴨川仁研究室の卒業生で現在北海道大学大学院に所属しています。
富士山で観測される地方時型晴天時大気電気変動を山頂のみならず太郎坊、御殿場市内での大気電場観測および雲カメラを並行して行い発生機構を解明しました。

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2011年12月オランダで行われた欧州宇宙機関学生気球観測最終プレゼンテーションでの様子。左から2人目が阪井さん。

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1012年1月に東京大学小柴ホールで開催された成果報告会でのポスター。(+をクリックすると拡大できます)



阪井陸真(B4,東京学芸大)、鳥居建男(原子力機構)、保田浩志(放医研)、大河内博(早稲田大学)、鴨川仁(東京学芸大)

「山岳で観測される地方時型晴天時大気電気変動の発生機構」
日本大気電気学会
http://www1a.comm.eng.osaka-u.ac.jp/~saej/







氏名: 土器屋由紀子 Yukiko Dokiya
所属: NPO法人富士山測候所を活用する会 NPO Valid Utilization of Mt. Fuji Weather Station

共同研究者氏名・所属:

佐々木一哉(東海大学)  Kazuya Sasaki (Tokai University)

安本勝(東京大学)    Masaru Yasumoto (the University of Tokyo)

大胡田智寿(NPO法人富士山測候所を活用する会) Tomohisa Ogoda (NPO Valid Utilization of Mt. Fuji Weather Station)

 
研究テーマ:

富士山測候所雷対策に関する調査研究

Research on the elimination of lightning damage at Mt. Fuji Weather Station

 
研究結果:

富士山頂の落雷頻度は高く、安定な太陽光発電等の電源確保のため、また安定な観測・研究を可能にするためにも外部観測機器等への落雷対策は必須である。今年度は雷電流の直接測定のための予備的な調査として、7月15日から8月30日に、主な雷電流路になる山麓からの電源・接地線に流れる電流を図に示すような雷電流検出装置を設置して調べた。

その結果については現在解析中であるが、観測期間中に山頂での直接の落雷事象がなかったが、近傍および遠方の事象がある程度検出されている模様である。


 
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英文:


The frequent strike of lightning at the summit of Mt. Fuji is known to be one of the most severe problems in the logistics of the weather station.  It is to eliminate the lightning damage in order to establish a safe solar electric system and also for the safe observational researches at the station.

   In this summer, direct measurement of electricity affected by the struck of lightning was tried during July 15 to August 30, 2012 as shown in the fige.   The results are now under examination.Even though no direct attack of the lightening was recorded during the period,   we expect to see some effect of lightening near bye and of some distance.

 
研究成果の公表:

富士山測候所接地系統のインダクタンスと経路の調査

○安本 勝(東大),高橋浩之(東大),佐々木一哉(東海大),土器屋由紀子(富士山測候所を活用する会)

2012日本電気設備学会 全国大会8月22-23日(名古屋)(すでに発表済み)

このほか日本電気学会、大気電気学会などへの公表を予定している。




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6回目となった夏期観測は、7月13日から8月31日までの53日間、16グループ延べ366名の研究者らが参加し、富士山測候所において実施されました。以下は6月の設営準備から9月の撤収までの活動の記録です。


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6月 JUNE



6月7日 送電線設備の点検を実施
開所前に毎年実施している送電線設備の点検結果、大きな異常は認められなかったものの、送電線直下に立ち木の枝払いを実施。架空線に電柱腕金の発錆が進行しており来年開所前の取替が必要。

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錆ついている送電線電柱の腕木



6月8日「よみがえる富士山測候所 2005-2011」出版

富士山測候所を活用する会のこれまでの活動と研究成果に関して、会の構成員ら48名による「よみがえる富士山測候所2005-2011」(土器屋由紀子、佐々木一哉編著)を成山堂書店より出版。この本の反響は大きく9月18日第2版が出版された。


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「よみがえれ富士山測候所2005-2011」の表紙と推薦文ちらし




6月8日 畠山理事長が日立環境財団平成24年度「環境賞」を受賞

畠山史郎理事長(東京農工大学)が環境保全に貢献する技術開発、実践活動などを対象とした日立環境財団平成24年度「環境賞」表彰式で優良賞を受賞した。

6月8日 Facebookに参加
情報発信力強化の一環として、従来のホームページ、スタッフブログに加え、ソーシャルメディア Facebookページを立ち上げ。


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Facebookページ
 
6月11日 富士宮口、須走口のマイカー規制確認証の申請

登山シーズン中の交通渋滞緩和のため富士宮口と須走口で実施されるマイカー規制に対応し、管轄の富士宮市、小山町に「学術研究目的」として確認証の一括申請を行った。登山口までマイカーを使う場合は利便性が高まった。

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富士宮市が発行した「富士山スカイライン」確認証

6月15日 御殿場基地事務所を確保

夏期観測期間中、研究者、山頂班などの登山基地として、また、山頂との無線LAN設備のアンテナ基地として、御殿場市内に昨年と同じ場所にアパート(3DK)を短期間借り上げた。


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御殿場基地の場所の選定にあたっては山頂からの無線LAN受信のため測候所を見通せることが必須条件となっている。




6月18日 笹子悠歩・山本正嘉両氏(鹿屋体育大学)が第32回日本登山医学会で受賞
福岡市で開催された第32回日本登山医学会学術集会で笹子悠歩・山本正嘉両氏(鹿屋体育大学)が富士山測候所で行った研究で学会賞を受賞しました。

6月25日 プレス発表会で夏期観測2012の概要を発表

東京理科大で開催されたプレス発表会で、今年で6回目を迎えることになった夏期観測の概要を発表。

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会場は東京理科大学のPORTA神楽坂の会議室をお借りした。

6月27日 山頂班が御殿場基地に入場開始

山頂班2名が御殿場基地に入場。7月12日の測候所開所に向けて2週間にわたり山頂の点検を含めた事前準備にあたった。


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山頂班が7月4日に点検で山頂に上がる。例年になく残雪が多く、御殿場ルートの登山道の開通遅れが懸念された。



 
6月29日 開所に先立ち地元関係箇所にあいさつ回り

7月13日の富士山測候所開所に先立ち、地元富士宮市内の警察署、消防署、市役所各部署、浅間大社など関係箇所に夏期観測の概要の説明と期間中の協力を要請した。


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御殿場市内からはどこにいても富士山が間近かに見える。





7月 JULY


月6日 第9回山頂庁舎利用検討委員会が開催され第3期貸付契約の方針を決定

気象庁が次期(第3期)の山頂庁舎一部貸付公募にあたり貸付方針を審議するため、第9回山頂庁舎利用検討委員会を開催。当NPO法人からは「第2期借受契約期間における取り組み」について資料で説明した。

日 損保ジャパンちきゅうくらぶ様からの寄附でレインウェアを購入
昨年12月に損保ジャパンちきゅうくらぶ様からいただいた寄附金で、山頂での安全な研究活動に資するものとして山頂班用のレインウェアー上下セットを購入。

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新調したレインウェアを着用した山頂班

月13日 悪天候のため一日遅れで測候所開所

当初予定の12日は強風雨の悪天候となったため、翌13日にスライドして山頂班、電気主任技術者が上山、商用電源を通電して測候所を開所、夏期観測のスタートを切った。御殿場基地は山頂班に代わり12日から駐在担当1名が常駐を開始。13日午後は雨も上がり、第一陣として上山する早稲田大、東京学芸大、KDDIなどの研究グ ループの機材の前日積込を行った。

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雨も上がった7月13日午後、太郎坊で荷物の前日積み込み作業

月14日 大河内グループ(早稲田大)がエアロゾル、ガス、雲水、雨水の観測を開始

山頂でこの日から8月24日まで、エアロゾル、ガス、雲水、雨水の観測を行った.さらに,今年度は新たに構築した酸性ガス自動モニタを用いて、山頂および富士山南東麓太郎坊における酸性ガスの連続観測も試みた。

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先陣を切って大河内グループ(早稲田大)が日帰りで山頂へ(7月14日)


7月14日 気象測器を取り付け

気象測器の調整と気象データの取得・解析は今年も永淵グループ(滋賀県立大)にお願いした。

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今年は3号庁舎のダクトに気象測器とACG電磁界アンテナ(電通大)を取り付け



7月15日 安本グループ(東京大学)が雷電流の測定を開始
雷電流検出装置を設置し、山麓から電源・接地線に流れる電流計測を開始した。

7月17日 加藤グループ(首都大東京)が一酸化炭素(CO)およびオゾン(O3)の連続測定を開始
加藤グループ(首都大東京)が山頂で大気中の一酸化炭素(CO)およびオゾン(O3)の連続測定を開始。月22日まで観測データを無線LANを介して会員限定ページを使い準リアルタイムで配信した。

7月20日 山頂のライブカメラ映像配信を開始


富士山頂からのライブ映像の配信を開始。カメラは大気化学の研究観測用に雲(空)の映像を捉えるために設置した

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1号庁舎屋根に取り付けたWebカメラ



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ライブカメラが捉えた雲の映像(撮影日:2012年8月7日午前7:33から5分間隔で表示




7月24日-26日 向井グループ(国研)二酸化炭素濃度観測システムを改良
二酸化炭素濃度を計測してきた機器の制御基板が、2012年月初旬に(雷?を受け)損傷していたが、新たな機器に交換するとともにシステムを改良し、次年度の計測を開始した。

月27日-29日 野口グループ(鶴見大)が登山

山頂での酸化ストレス上昇に対する口腔内装置と高濃度溶存酸素水の効果について評価することを目的に、被験者の方を含め10人で泊3日の登山。

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野口グループ(鶴見大)一行と古田先生(立教新座中学高校)

7月30日 庁舎屋根にスカイモニターを設置
今年初参加の坂本グループ(日本スペースガード協会)が1号庁舎屋根にスカイモニターを設置し天体観測を開始。


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1号庁舎屋根に取り付けたスカイモニター



月30日-日 3号庁舎にインレットを新設
3号庁舎に新しいインレットの取り付けを行った。具体的には月30日に大河内・早大教授立会いの下に、丸勝工務店が号庁舎外側の工事を施工、7月31日に小林・山梨大准教授が室内分岐部の取り付けを行い、終了後通気テストを行い、試験観測を開始した。


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3号庁舎ダクトに取り付けたインレット(上)と工場で製作中の写真(





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3号庁舎内部のインレット分岐部(山梨大・小林拓准教授提供)



8月 AUGUST


日 気象実験クラブの震災復興祈念ライブ中継が途中で通信途絶

気象実験クラブが富士山頂といわき市、横浜市の出前講座会場
3か所をインターネットで結んで同時中継することを試みたが、実験途中に突然3G回線が途切れて送受信ができなくなり、期待して地上会場に集まった子供たちを落胆させることになった。山頂にアンテナを設置している通信会社が同時間帯に富士山頂向けアンテナの工事を行ったことがあとで判明、工事施工のあり方に課題を残した。


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静岡新聞(8月5日)に掲載された記事




日 アルパインツアーガイドによる見学会

7月24日に引き続き、2回目となるツアーガイド付きの見学会に15名が参加した。

月10日-13日 浅野グループ(筑波大)が安静及び運動の動脈系血行動態に及ぼす影響を測定


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仰臥位安静時の頚動脈血流量を測定





月10日-13日 古田グループ(立教新座中学校・高等学校)が山頂で理科実験

小・中学校、高等学校の理科教材開発を想定した事前調査のため理科実験器具を山頂に運び、空気、放射線、風、雨、雷、光、音など、実験対象の確認と予備実験を行った。古田先生は
この登山を含め期間中に3回の登山

8月11日 Hilary Costelloさんと面会を果たす

6月11日、ケンブリッジ大学でcable dynamics and aeroelasticity を研究しているPhDの学生からメール。「
8月に約一週間富士山周辺で実験に参加する予定NPOの富士山測候所での研究活動にはとても興味があり、夏期研究計画の公募のことはHPで知った(間に合わないことも承知)。自分の研究と重なる部分がありそうなので教えてもらいたいことがある土器屋理事が何回かメールや電話でやりとりの後、富士山での実験の後、帰国を前に東京へ来たところを捉えて月11日に東京で面会を果た


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富士山での実験を終えて東京にきたときに面会。築地にて



月15日-16日 山頂が夜間12時間にわたり停電

8月15日夜21時43分山頂が停電となり、翌16日朝9時55分に復旧するまで約12時間にわたり電源となった。原因は太郎坊にある1号柱キューピクル配電盤にネズミが侵入し、電気回路に接触して短絡を引き起こしたためと判明。

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小さいネズミが入り込んでいた1号キューピクルの内部(撮影は2010年)



月17日-20日 三浦グループ(東京理科大)が太郎坊で気球を打ち上げ集中観測
富士山周辺の大気鉛直構造を調べるため、太郎坊(標高1400㍍)で時間ごとのGPSゾンデ観測と日中の係留気球観測を行った。



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東京理科大グループは太郎坊で気球による観測を行った

月18日 富士山学校科学講座を開講

富士山測候所で開催された富士山学校科学講座に横浜市立大学青ゼミの学生一行29名が受講。講師は浅野理事(筑波大)、皆巳先生(石川県立大)が担当。


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高山病の講義をする浅野理事。その右は引率の青教授(横浜市立大)

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熱心に聴講する横浜市立大学青ゼミの学生。このあと活発な質疑応答が交わされた



 8月19日 会員見学会を実施

会員向けに今年から始めた富士山測候所見学会に3名が参加した。庁舎内の見学案内および講師は浅野理事(筑波大)、皆巳先生(石川県立大)が担当。

月23日-27日 池田グループ(筑波大)が山頂地中の温度センサーを回収
2年前(2010年)に山頂付近の深さ10mの観測孔に設置し、連続モニタリングを続けてきた温度センサーの回収を行った。同時に探査深度を30 mまで拡張した電気探査を実施し,掘削孔が及ばなかった深度の永久凍土も調査した。



9月 SEPTEMBER


月3日 測候所の商用電源を遮断し閉所、山頂班下山。


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山頂から撤収する荷物




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夏期観測終了後も次年まで山頂庁舎に観測機材を残置する場合は、所定の場所に梱包しその所在がわかるようにしておく。



日 御殿場基地事務所を閉所

月12日 三井物産環境基金2012年度上半期助成団体交流会に参加

福島県郡山市で開催された三井環境基金助成団体交流会に鴨川理事(東京学芸大)が参加し他団体との交流をはかった。


月14日 日本大気電気学会第84回研究発表会で学生発表賞を受賞

東京学芸大学教育学部阪井陸真さんが、日本大気電気学会第86回研究発表会で学生発表賞を受賞。富士山で観測される地方時型晴天時大気電気変動を山頂のみならず太郎坊、御殿場市内での大気電場観測および雲カメラを並行して行い発生機構を解明した。
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ポスター(左)と受賞した阪井さん(右写真左から2人目)


月28日 夏期観測反省会を実施


学術科学委員会が主催し、今年の夏期観測の反省会を東京理科大で開催し、夏期観測の関係者が出席した。




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