太郎坊のそよ風

認定NPO法人 富士山測候所を活用する会 スタッフブログ

2012年10月


氏名: 古田 豊 Yutaka FURUTA
所属: 
学校法人立教学院 立教新座中学校・高等学校  Rikkyo Junior & Senior High School

共同研究者氏名・所属:
古田ゆかり Yukari HURUTA

学校法人立教学院 立教大学 Rikkyo University

研究テーマ:

「理科準備室へようこそ」-富士山頂での教材開発

研究結果:

測候所の状況を把握し、小・中学校、高等学校の教材開発を想定した本活用計画を進めるための事前調査を行った。富士山頂の自然の振る舞いに応じた実験を想定し、理科実験器具等を山頂に運び、空気、放射線、風、雨、雷、光、音など、観察し得る対象の確認、また観測、利用する予備実験を行い、富士山を理解する教材開発の方法と範囲につき可能性を探った。器具類の動作確認と調整、実験操作環境、実験場所の選定、データ取得等を通じ、より体感でき、より定量的な教材開発を進める見通しをつけた。主に次の4項目の実験を行った。


(1) 富士山頂の大気の圧力が平地の約3分の2で空気が薄いことを調べた。

 (a)プロペラで浮上する装置が運べる重量を計り、平地と比較した。

 (b)軽い紙製カップの落下時間を計り、平地での落下時間と比較した。

 (c)空気入りボールを落下させ、弾んだ高さを測り、弾む高さを平地と比較した。

 (d)ヘアドライヤーからの空気の流れの中に浮かしたピンポン球の高さを平地と比較した。

 (e)山頂で袋に詰めた空気の体積が、低地でどの程度変わるかを調べた。

(2) 霧箱内を通る放射線の飛跡を記録した。

(3) 空気の動きを探る仕掛けを工夫した。

(4) 実験の記録方法を複数試みた。 

研究成果の公表

NPO法人ガリレオ工房例会での口頭発表と通信(月刊)への掲載。

本校紀要、物理教育学会等への論文投稿を予定している。

【参考】プロジェクト計画:
「理科準備室へようこそ」―富士山頂での教材開発
富士山頂における自然環境を描写し、教材開発に取り組む。特に、自然現象と理科実験装置とを繋げ、気圧、風、日照、紫外線、放射線、身体計測、天文現象などの学びを促す理科実験教材を開発する。






氏名: 矢島 千秋 Kazuaki Yajima
所属: 
独立行政法人放射線医学総合研究所 National Institute of Radiological Sciences

共同研究者氏名・所属:

保田 浩志 (独)放射線医学総合研究所 h_yasuda@nirs.go.jp

松澤 孝男 (独)放射線医学総合研究所 matsuzawa_2000@yahoo.co.jp

徳丸 宗利 名古屋大学太陽地球環境研究所 tokumaru@stelab.nagoya-u.ac.jp

東又 厚  三樹工業株式会社  sanki@chiba.email.ne.jp

Hiroshi YASUDA, National Institute of Radiological Sciences

Takao MATSUZAWA, National Institute of Radiological Sciences

Munetoshi TOKUMARU, Solar and Terrestrial Environmental Laboratory, Nagoya University

Atsushi HIGASHIMATA, Sanki Kogyo Co. Ltd.

研究テーマ:

宇宙線被ばく線量評価の信頼性向上を目的とした富士山頂での放射線測定

Radiation Measurements at the Summit of Mount Fuji to Improve the Reliability of Cosmic Radiation Exposure Assessment

研究結果:

我々のチームでは、航空機乗務員の宇宙線被ばく線量評価研究の一環として、富士山測候所における宇宙線モニタリングシステムの整備を進めている。本システムは、エネルギー拡張型の中性子レムカウンタ、特注のデータロガー、長距離無線LANユニット、電源ユニットから構成されている。測定データは長距離無線LANにより富士山測候所から富士山麓の施設のパーソナルコンピュータ(PC)へ転送される。富士山麓施設のPCはインターネットにも接続されているため、我々は千葉(放医研)から測定データを取得することが可能である。本年は、新しいバッテリーを電源ユニットに追加した後、8月27日より連続宇宙線モニタリングを開始した。8月27日から10月12日までに得られたレムカウンタ計数率(カウント/時:3時間平均値)をFig. 1に示す。9月中旬以降に得られた値に比べて測定開始直後数日間の計数率のレベルは2倍以上になっている。現時点では、この計数率レベルの差異は、物理的な要因ではなく、ノイズ等が原因ではないかと推察している。今後も数ヶ月間はモニタリングとデータ解析を続ける予定である。

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Fig. 富士山測候所での宇宙線中性子モニタリング結果(8/27-10/12)



3時間毎の計数値平均から求めた計数率(カウント/時)を示す。



表記:

As a part of study on the cosmic radiation exposure assessment for aircraft crew, we have started to develop a system for continuous monitoring of cosmic radiation at the top of Mt. Fuji. The system consists of an extended energy-range rem meter, a custom-made data logger, a wireless local area network (WLAN) unit, and a power-supply unit. The measured data is transferred from the data logger at the Mt. Fuji Weather Station to the host PC at a facility built at a foot of Mt. Fuji via the WLAN unit. Because the host PC is also connected to the Internet, we can acquire the data measured at the top of Mt. Fuji from Chiba (National Institute of Radiological Sciences). In this year, after having added new batteries to the power-supply unit, we started continuous monitoring of cosmic radiation from August 27. The rem meter count rates in count per hour averaged for three hours from August 27 to October 12 are shown in Fig. 1. The level of count rate obtained during several days just after start of the measurement is two times higher or more than that obtained after the middle of September. At the moment, we guess that it is not a physical factor but a noise which caused the discrepancy in level of count rate. Monitoring and the data analysis are going to last several months in future.

研究成果の公表:

次年度開催の日本保健物理学会、あるいは日本放射線安全管理学会等での発表を予定している。

【参考】プロジェクト計画:
宇宙線被ばく線量評価の信頼性向上を目的とした富士山頂での放射線測定

我が国で実施されている航空機乗務員の被ばく線量評価の信頼性を高めるため、日本最高峰に位置する富士山測候所において宇宙線を常時監視する体制を構築し、そのデータから上空の線量を迅速かつ正確に推定できるようにする。本年度は、昨年度の試験運用で5カ月の連続データ取得に成功した経験を踏まえ、ソーラーシステムの導入など電源部の改良を図ることで通年観測の実現を目指す。







氏名: 浅野 勝己  Katsumi ASANO
所属: 
筑波大学名誉教授 Emeritus professor of Tsukuba University
 
共同研究者氏名・所属:

岡崎 和伸・大阪市立大学(Kazunobu OKAZAKI, Osaka City University)

堀内 雅弘・山梨県環境科学研究所(Masahiro HORIUCHI, Yamanashi Institute of Environmental Science)

研究テーマ:

富士山頂短期滞在時の安静及び運動の動脈系血行動態に及ぼす影響に関する研究

Studies on the effects of rest and exercise on arteriovascular hemodynamic responses during short staying at the summit of Mt.Fuji (3,776 m)

 
研究結果:
【背景】

近年、登山ブームによって国内外の高峰への登山者が増加しており、それに伴い、登山中に急性高山病を発症するケースが急増している。急性高山病は、頭痛に加え、食欲低下や吐き気、全身疲労感や脱力感、めまいや立ちくらみ、睡眠障害のいずれかの症状がある状態である。通常、2,000m以上の高所(気圧の低い場所)に到着後、数時間から3日程で発症し、重症化すると肺水腫や脳浮腫を経て死に至る場合もある。また、滑落など登山中の事故の主な原因であることも指摘されている。したがって、急性高山病の発症機序を解明し、その改善策を確立することは急務である。

急性高山病の原因は、高所への滞在による動脈血中の酸素分圧の低下であるが、その発症の詳細なメカニズムは未だ不明な点も多い。2010年度および2011年度、我々は、富士山頂短期滞在時の研究から、動脈血中の酸素分圧の低下に起因した交感神経系の亢進によって、脳の血管の拡張と血流量の増加が引き起こされることを報告し、それらが頭痛や急性高山病の原因と考えられることを示唆した。しかし、これまでの研究で用いた近赤外分光法による脳の酸素化動態の評価、および、経頭蓋ドップラー法を用いた中大脳動脈の血流速度評価は、脳の血流量を正確に反映していないことも考えられた。そこで今年度は、脳への血流量をより正確に測定することを目的とし、超音波ドップラー法を用いて脳への血流量(頸動脈血流量)を正確に測定することとした。特に、安静および運動時の脳の血流量を測定し、急性高山病の発症との関連を検討した。

【方法】

1)被験者:成人男性3人とした。平地(御殿場、標高:500m)、富士山頂(標高:3,776m)到着の後、滞在2~3日目に測定を行った。

2)プロトコール:測定に先立ち、急性高山病の症状を急性高山病スコアによって評価した。仰臥位および立位安静時の測定をそれぞれ5分行った後、踏み台昇降運動を3分間行った。その後、仰臥位安静回復時の測定を5分間行った。踏み台昇降運動は、頻度15回/分、台高30.5cmであり、推定酸素摂取量は17.3 ml・kg-1・分-1であった。

3)測定項目:心拍数(HR)、収縮期および拡張期血圧(SBPおよびDBP)、動脈血酸素飽和度(SpO2)を1分ごとに測定した。左前頭部および右大腿(外側広筋)中央部の血行動態および酸素化動態を近赤外分光法(NIRS)によって連続測定し、組織酸素飽和度を示す組織酸素化指標(TOI)、および、組織血液量を示す組織ヘモグロビン指標(nTHI)を評価した。また、仰臥位安静時において、超音波ドップラー法を用いて左総頚動脈および椎骨動脈の血流量を測定した。

【結果】

仰臥位安静時の総頚動脈血流量について、3名のうち、富士山頂到着後1日目より急性高山病の症状を呈した1名の結果を図1に示す。御殿場では276 mL/分であったが、山頂滞在2日目には358 mL/分に増加し、さらに、山頂滞在3日目には465 mL/分に増加した。このように、高所滞在によって脳血流量は増加するが、その増加は滞在3日目においても認められた。脳血流量の増加は、高所滞在によるSpO2の低下に起因した心拍数および血圧の上昇、また、脳血管の拡張によって引き起こされ、高所での頭痛や急性高山病を引き起こす原因であると推察される。

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図1.平地および富士山頂滞在時の仰臥位安静時の総頚動脈血流量の変化。1名の代表例を示す。



英語表記:

To investigate the mechanisms of acute mountain sickness (AMS), in this year, we elucidated the effects of high altitude exposure on cerebral blood flow (CBF) measured by the ultrasonic Doppler method during short staying at Mt. Fuji (3,776 m). Three adults participated in the study. They underwent a 3 days of experiment, sea level (SL, Gotemba, 500 m), at 2nd to 3rd day during staying at the summit of Mt. Fuji (Day 2 and Day 3). After 5 min data during supine and standing rest was collected, subjects performed a stair stepping exercise (step height, 30 cm; stepping rate, 15 steps/min) for 3 min. After exercise, 5 min data was collected again during subjects kept supine rest. We measure heart rate, systolic and diastolic blood pressure, arterial oxygen saturation, and also tissue oxygen index and tissue hemoglobin index at left frontal cortex area and at right middle vastus lateralis. In addition, we measured blood flow by using the ultrasonic Doppler at common carotid and vertebral arteries during supine rest before exercise. We found in a representative subject who developed AMS that blood flow at common carotid artery increased from 276 mL/min at SL to 358 and 465 mL/min at Day 2 and 3, respectively. Thus, CBF increased by staying at high altitude and remained elevated during staying at the summit of Mt. Fuji for 3 days. The increased CBF would be a possible mechanism of headache and AMS at high altitude.

研究成果の公表:

本研究の成果は、2013年度の日本登山医学会で研究発表し、2013年の「登山医学」に論文を投稿する予定。






氏名: 佐藤 元
所属: 一般社団法人日本気象予報士会気象実験クラブ

 
テーマ:「富士山頂実験室」 


結果:


気象実験クラブは、昨年度の頂上~地上の2元中継に引き続き、富士山及びもと富士山測候所を活用して、頂上と地上の出前講座会場とをインターネットで結んで、気象の実験を行った。ここでいう「実験」とは、地上で発現する現象が、気圧や密度が低い高所においていかに発現するかを実際に見ることにある。この時、地上の出前講座の会場の子供たちに地上で実験に参加してもらうのである。今回は、特に山頂と地上の2か所の会場の合計3か所を同時にインターネットで結んで同時中継することを試みた。

また、登山時、気象記録計を山小屋に設置しつつ登山し、下山時順次回収し、気象データを取得した。

2回登頂したので、以下①と②とに区別して報告する。


実験①

登山日程: 2012年7月20日~22日

天候:    霧、雨

講座:    7月22日午前09:30~11:30

地上会場: 東京都目黒区、中目黒青少年プラザ(7月22日)

登山メンバー:7名

地上スタッフ:東京会場5名

実験②

登山日程: 2012年8月02日~05日

天候:    晴れ

講座:    8月04日午後13:00~15:30

地上会場: いわき市湯本、福島パルシステム、横浜市旭区、南希望ヶ丘ケアプラザ(8月4日)

登山メンバー:7名

地上スタッフ:いわき会場:5名、横浜会場 :8名



通信システム:

下記のいずれも、音声と画像は3G回線を使用し、送受信した。

適宜携帯電話で、頂上~地上間で、状況の連絡確認を行った。

①頂上と地上の中目黒会場とをインターネットで結んだ。

②頂上と地上のいわき会場とをインターネットで結び、横浜会場へは、さらに、いわき会場~横浜会場の間のコミュニケーションがとれるよう回線網を構築し、3か所同時に画像と音声でコミュニケーションができるようにした。さらに、地上同士(いわき会場~横浜会場)を別回線でインターネットで結んだ。これは、頂上からの通信が断絶しても、地上同士のコミュニケーションが取れるようにしたものであった。


実験の結果:


浮沈子の実験では、地上と頂上とで、まったく同じ装置(器材)を用いて、気圧の相違による発現する現象の違いを、同時に相互に見ることができた。


事前に子供たちからリクエストがあった、スーパーボールの落下実験も行った。
①実験アイテム:浮沈子、スーパーボール、竜巻(地上会場のみ)

天候は良くなかったものの、通信状況は比較的安定していた。

画像、音声とも、耐えられる範囲内で送受信できた。

地上でビンの底に浮沈子を沈めて、ふたをして、封入し、頂上まで運んだ。

頂上で、ビンのふたを開けた途端、浮沈子が浮上した。予期した通りの現象(結果)となった。

また、スーパーボールの弾み具合が地上と頂上ではどうなるか 実際に行ってみたところ、実験条件(特にボールの反発面)を同じにすることができず、有意の差がでず、比較するには至らなかった。しかし、地上会場の来場者には、ほぼ満足していただけたことと思われる。
②実験アイテム:浮沈子、色つきの水(地上会場のみ)等

通信状況は、天気も良く、山頂の風景などを地上へ送ることができ、最初の30分程の間は、順調に見えたが、実験途中に突然3G回線が途切れた。時間が経過する中、回復しなかった。3地点同時中継できるべき仕組みを

構築してあったが、肝心の山頂側の回線断のため、当初考えた3地点同時中継は満足な送受信ができず、地上会場の来場者には大きな期待のあった中、落胆させてしまうこととなり、多大な迷惑をおかけすることとなった。 

気象データ:

①②とも、須走口ルートの5合目(東富士山荘)、7合目(大陽館)、 8合目(江戸屋)、10合目の山小屋(扇屋)、10合目の浅間神社、及び剣ヶ峰の測候所において、気象記録計を設置した。取得したデータは、気圧、気温、湿度の3種であり、期間中1分間隔で計測記録した。目下データ解析中である。

問題提起:

実験結果②の問題は、事前に工事の予定が知らされていれば対応は十分にできたと考えられる。しかし、突然途切れたので、途切れた原因の特定に手間取った。このため、地上同士の回線の有効活用化が十分できなかった。

繁忙時期の山小屋に、気象記録計を設置させていただくことができたが、迷惑ではないか、との危惧がある。

来季へ向けて:

限られたスタッフ、器材、スキルではあるが、特に3G回線については複数の異なる通信メーカーの通信機器を持っておくことが望ましい。障害時対応のため、事前に障害対応訓練を実施しておく必要を痛感した。言わずもがなのことではあるが、早期にプロジェクトを立ち上げ、関係者の事前の十分な検討と理解が必要と考えられる。

このプロジェクトは、ボランティアで参加してくださった皆様の費用、時間、エネルギー等莫大なものによって成り立った。これに応えるべく、何とか、最小の努力で、最大の効果を上げることができないか、評価の仕方を含め、議論が必要である。

メディア:

①東京都目黒区の取材があり、翌日目黒区のWebに掲載された。

②山頂で、静岡新聞、山梨日々新聞の実況取材があり、翌日の新聞に掲載された。

謝辞:

この夏のプロジェクトを実行するに当たっては、以下の方々に大変お世話になりました。ありがとうございました。

・一般財団法人日本気象協会、

・NPO法人富士山測候所を活用する会の皆様、

・横浜国立大学教育人間科学部気象学研究室の皆様、

・日本気象予報士会サニーエンジェルスの皆様、

・日本気象予報士会気象実験クラブの皆様







氏名: 向井人史 Hitoshi Mukai
所属: 
独立行政法人 国立環境研究所 地球環境研究センター
National Institute for Environmental Studies (NIES), Center of Global Environmental Research (CGER)


共同研究者氏名・所属:
野尻幸宏・寺尾有希夫・野村渉平

 (独) 国立環境研究所 地球環境研究センター

Yukihiro Nojiri, Yukio Terao, Shohei Nomura (NIES, CGER)

技術サポートして紀本電子工業(株)が作業を行う


研究テーマ:
富士山頂における長期二酸化炭素濃度観測

(英文) Study on long-term CO2 observation at summit of Mt. Fuji

 研究結果:
1) 目的

二酸化炭素濃度は、全球的に増加の一途を辿っている。その人為発生量や自然の吸収量は地域で異なることから、濃度の変動に地域性があることが知られている。研究の対象とした富士山は、日本列島のおおよそ中央に位置し、その山頂は、自由対流圏に突き出している。そのため、山頂において二酸化炭素濃度の長期観測を行うことは、北半球中緯度の日本やアジア域のバックグラウンド二酸化炭素濃度の変動の解明に寄与すると考えられる。一方、富士山頂は夏期(7-8月)のみ通電する通年観測が困難な場所である。このような地点において通年観測できるシステムを構築することは、今後、電力の整備が未発達な地域において応用できると考えられる。

このように、本研究では富士山頂において、省電力で観測可能な二酸化炭素濃度観測システムの構築をしながら、アジアの中緯度の二酸化炭素の長期観測を行うことを目的とした。

2) 結果
①二酸化炭素濃度観測システムの構築

富士山頂の二酸化炭素濃度は、2011年8月末から2012年4月初旬まで、2011年夏期に充電した100個の鉛蓄電池から得た電気により、計測できた。二酸化炭素濃度を計測する機器の制御基板が、2012年4月初旬に(雷?を受け)損傷したため、その後、二酸化炭素濃度の計測は行われなかった。2012年7月末に、新たな機器に交換し、次年度の計測を開始した。

今年度から、夏期観測に用いるバッテリーの電力が、常に機器の稼働に必要な量を保持するために、6時間毎に充電を開始する自動充電器を用意した。これらを、冬期観測時に電力を供給するバッテリーと機器との間に取り付け、機器への電力供給源(冬期観測に用いるバッテリーと夏期観測に用いるバッテリー)をスイッチ一つで変更できるようにした。
②二酸化炭素濃度の長期観測

二酸化炭素濃度を計測する機器は、2012年4月初旬に停止したものの、それ以前は正常に二酸化炭素濃度の計測が行えた。正常に計測できた2011年8月から2012年4月の結果は、観測を開始した2009年8月から2010年4月、2010年8月から2011年4月と同様に夏期から冬期にかけて、二酸化炭素濃度は上昇し、その後、春季から濃度が低下する傾向が示された。
③連続計と富士山頂に設置した機器の計測結果の比較(図1)

富士山頂における二酸化炭素濃度の日変化を調べるために、連続計を設置した。その濃度(1分平均値)は、連続計の結果によると、富士山頂における二酸化炭素濃度の日変化は大きく、また日により変動は、異なっていた。また富士山頂のCO2計の濃度(計測頻度:4回/日)と、ほぼ同様の推移であった。

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図1 連続計と富士山頂に設置した機器の計測結果の比較




3) 今後


落雷の対策を行うとともに、観測結果が3年分蓄積されたため、富士山頂の二酸化炭素濃度の解析を行う。


英語表記:

Long term atmospheric CO2 concentration measurement on the top of Mt. Fuji (3776m) has been operated by an automatic CO2 measurement system developed by NIES (National Institute for Environmental Studies) since August 2009. The system is designed for remote areas where the environmental condition is harsh from the observational point of view. Now because we concluded that the measurement system became stable and reliable enough, we shifted into a regular operation in summer, 2011. During summer, we operate maintenance including charging the 100 Pb batteries to have the system prepared for winter season when the ordinal electricity is not used.

【参考】プロジェクト計画:
富士山頂における長期二酸化炭素濃度観測

2009年より、NIESが開発したバッテリーによる自立電源型自動二酸化炭素濃度測定システムを用い、富士山頂にて大気中二酸化炭素濃度の長期観測を通年で行っている。衛星通信システムを備えた耐低温性の小型の装置であり、観測されたデータは毎日定時測定後につくばのNIESにe-mailで送信される。装置の開発・改善段階を終了し、2011年7月から本格運用を開始した。

夏期において100個のバッテリーの充電を含む装置のメンテナンスを行い、通年での観測を行なえるようにすることで、観測を年間行えるようにし、二酸化炭素の季節変動を含む長期的な変動や濃度増加を捉える。 同時に,夏期においては連続的なデータを山頂や地上で取り、高度による違いを調査する。また、ボトルサンプリングによりその他の成分も測定する。






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