太郎坊のそよ風

認定NPO法人 富士山測候所を活用する会 オフィシャルブログ

2014年07月

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富士山測候所の歴史を語る上で避けて通ることができないのが、民間気象学者、野中到である。死を覚悟してまで、富士山頂剣ヶ峯に観測所を建て越冬して気象観測をしようとした、いわば富士山測候所の生みの親である。そして、その夫を追って厳冬期の富士山に挑んだ妻の千代子。1895年(明治28年)というから今から120年前のことになる。

実話にもとづく物語の原作は新田次郎の小説「芙蓉の人」。そのテレビドラマが7月26日(土)から始まった。キャストは主役の野中到と千代子に佐藤隆太と松下奈緒。到の母に余貴美子、弟に三浦貴人と脇役が固める。時代設定は明治であるが、御殿場からの富士山の姿が見れるも、御殿場訛りの言葉が聞けるのも、夏の間、御殿場を本拠として活動している我々には、なぜか懐かしさを感じさせる。これからの展開を期待させる第1回の放送であった。

この放送の翌朝、御殿場基地駐在の土器屋理事から、「みなさま」で始まる『山頂讃歌ML』が関係者に届いた。
みなさま

お早うございます。御殿場は今日も快晴、洗濯日和です。
アパートからも山頂が雲の上にきれいに見えました。
今朝もライブカメラでご来光と影富士を鑑賞しました。今朝は特に影富士がくっきり見えましたが、西側の屋根の下に隠れるまで、30分近く楽しめます。on line userが11名でした。見て下さる方が増えたのでしょうか?http://npo.fuji3776.net/index.html

(中略)

昨夜のNHKテレビドラマ「芙蓉の人」を見た方も多いでしょうか?、今朝は数名の方からメールで感想が届きまし た。「実話ですか?」とか「ついでに”よみがえる富士山測候所”をみなおして、今年もプロジェクトを続けていることに敬意を表します」という有難い先輩の コメントもありました。
ドラマの後の小さい字幕に「山岳指導:岩崎洋、長門敬明」という文字を見つけた方はあったでしょうか? NPOの山頂班も「全国版」ですね。

土器屋
ロケの撮影は今年の3月から6月まで富士山で行われたという。そのときに登山指導にあたったのが、山頂班の岩崎さんと長門さんである。また、後半の撮影に際しては、堀井昌子・副理事長が医療指導の依頼を受け担当した。

放送は毎週土曜 午後9時から。連続6回というのでちょうど富士山頂で行われている夏期観測の期間中放送されることになる。土曜の夜もTVから目が離せなくなりそうだ。

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 抽選で選ばれた400名で会場はぎっしり満席の盛況。事前申し込みは700名を超えたという。

7月5日(土)、江戸東京博物館で開かれた東京新聞主催のフォーラム「富士山の魅力-登ったり、眺めたり」。富士山の
世界遺産登録一周年を記念して開かれた。今年は群馬県の富岡製糸場で騒がしいが、富士山の決定で沸き立ったのが一年前だったのかと改めて思う。

スピーカーは、山本正嘉・鹿屋体育大学教授、土器屋由紀子・当会理事、そして田代博・明治大学非常勤講師の3名。
三者三様の富士山の楽しみ方をそれぞれの専門の立場からお話いただいた。固い話は一切抜き。満席の会場は終始驚きのため息と笑い声が絶えず、肩の凝らない実に楽しい講演会であった。

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山本先生のスピーチは、富士山を“のぼり方”。スポーツとしての登山を安全快適にするには、というのがテーマ。実は先生も富士山測候所を活用する会のメンバーで、これまでも高所医学の研究のため、度々富士山測候所を利用されている。高山に登るための具体的な指導や注意には説得力があった。

田代先生の話は富士山を”見る楽しみ方”について。カシミールというフリーソフト を駆使して、どの場所からどの時刻に富士山が見えるかを割り出し、現場に行って撮影したり。そのうんちくにはただ驚かされ、こんど富士山 を見る時は少しは見方が変わりそうだ。

土器屋理事は「富士山測候所からー山頂の研究・教育活動」と題して、富士山頂にある無人化された測候所の”活用のし方”についての話。測候所の歴史にはじまり測候所を活用する会ができた経緯、その後の研究・教育での成果まで、スライド70枚にも及ぶ熱演であった。

講演のあったこの日の朝、富士山頂でライブカメラの取付工事を行っていた鴨川仁・東京学芸大学助教から「ライブカメラ画像を配信することができました
」とのメールが入った。講演の中でもタブレット端末でHPの山頂の画像を紹介し、タイムリーな最新のニュースも取り込んでのまさに「いまの測候所から」を伝えることができた。

7月1日に開所したばかりの山頂の富士山測候所では、インフラ関係の準備も着々と進み、本格的な観測活動を迎えようとしている。今年は過去最長の観測期間となり、新規に数プロジェクトも参加する。富士山の活用方にまた新たな成果が加わることを期待したいものだ。


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 入場者全員に配られた「岳人」特製の記念の手ぬぐい。

今年の4月から6月の3ヶ月間にわたり、NHKラジオ第2放送カルチャーラジオで放送されてきた「水と大気の科学ー富士山頂の観測から」は6月27日(再放送7月4日)の最終回をもって終了しました。

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取材慣れしておられるとはいえ、ラジオ出演は初めてのチャレンジ。短期間での準備はさぞかし大変なことと思っていたのであるが、担当のパワフルな女性編集者にもひっぱられながら、全13回分のテキストの書き下ろし、読み合わせからスタジオでの録音まで、こともなげに済まされたようだ。

番組の中では富士山測候所を活用する会の活動も、何回もとりあげて紹介していただいた。公共放送だけあって「全国あまねく」はもちろん、いまやネットのらじるらじるで全世界で受信できるのであるから、そのPR効果は絶大。事務局にも各方面から声援が寄せられたが、著者からのメッセージをもってお礼に代えさせていただきます。


カルチャーラジオ「水と大気の科学ー富士山頂の観測から」を3カ月にわたって聞いていただき、有難うございました。

富士山の世界文化遺産決定に背中を押されるように、短い時間に急いでまとめたものですが、多くの方から、「面白い展開だ」「現在的な問題を自分の経験を通して扱っている」などと温かい励ましを頂いたりしました。

また、著者の間違いについても懇切で有難いご指摘をたくさんいただきました。正誤表にまとめましたので、テキストに挟んでいただければ幸いです。

今後とも、富士山測候所を活用する会の活動にご理解とご援助をお願い申し上げます。

土器屋由紀子 


NHKカルチャーラジオ 科学と人間「水と大気の科学-富士山頂の観測から」
正誤表

訂正箇所

15、11行目

宇宙では酸素は窒素の次に多い・・・

宇宙では酸素はヘリウムの次に多い・・・

19、最後の行

原子番号が81~92の間にある元素はすべて天然の・・・


原子番号が81~92の間にある元素はほとんど天然の・・・

202-5行目

その大部分はβ線(電子)を放出して半減期125000万年でアルゴン40も変わります

その大部分はβ線(電子)を放出して半減期125000万年でカルシウム40に、一部は電子捕獲でアルゴン40に変わります


3610-11行目

フィリピンのエルチチョン火山・・・


メキシコのエルチチョン火山・・・

P528-9行目

陸地(平均高度840m)をすべて沈めたとしても2960mの深さという計算になります。

陸地の平均高度は840mなので、海洋と陸地の比(2.42:1)を使って計算すると、2440mの深さになります。


6611-12行目

(陽子が一つ中性子に変わり、・・・)


(中性子が一つ陽子に変わり、・・・)

P125、後から2行目

元気象研究所応用気象研究部長


元気象研究所環境応用気象研究部長

P126、後から4行目

放出された


なお、事故の全期間を通して放出された

143、図12-2

[溝口勝提供]


[文部科学省のデータを用いて溝口勝作図]

 

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