太郎坊のそよ風

認定NPO法人 富士山測候所を活用する会 スタッフブログ

2016年08月

image001
 水銀をサンプリングするジャイアンさん

こんにちは。第2回はジャイアンさんのお仕事についてご紹介します。

彼は、越境大気汚染を調べるため、富士山の頂上で特に大気中の水銀濃度の観測に力をいれています。「きれいな空気がある山の上で、継続して水銀濃度の変動を調べると、大気汚染の増加の有無を診断できる」とジャイアンは力説する。 水銀の排出源の約半分はアジア地域で、中でも中国が全世界排出量の約3割を占める最大の排出国といわれています。

水銀といったら水俣病を連想するのは、日本人特有の思考かもしれません。水銀問題は過去の問題のように考えてしまいますが、ジャイアンは水俣条約についても力説する。「水俣条約とは、水銀規制をするための国際的な条約なんです。法律の整備をすることで製品の製造、輸入や輸出に制限をかけ、水銀の発生量を抑制することが目的なんです。」

この条約は国連環境計画(UNEP)で日本がホスト国なり、2013年10月10日に熊本県で開催された会議で採択されました。 さらに、「その水銀濃度を調べるために北半球には、水銀観測ネットワークがあります。アジアでは Asia-Pacific Mercury Monitoring Network (APMMN)、北米では National Atmospheric Deposition Program (NADP)、ヨーロッパでは European Monitoring and Evaluation Programme (EMEP)が水銀濃度を監視しています。」と彼はいう。

 Lin教授の研究グループは、台湾環境省と協力し、台湾全土に水銀観測のネットワークを形成しています。ネットワークの中には、台湾の山岳である鹿林山(2862㍍)で水銀を観測しています。ジャイアンは、「台湾の鹿林山と日本の富士山といった、アジアを代表する山岳域で水銀濃度の変動から大気環境の状態を診断することを目指しています。だから、山岳域で水銀濃度の変動から越境大気汚染の状態の診断も可能だ」と言う。

ジャイアンさん、お仕事の紹介、ありがとうございました。
(リポーター:島田幸治郎)

biwakoseikei
トライアル公募で初めて富士山測候所を利用した びわこ成蹊スポーツ大学の一行

富士山測候所を活用する会では研究公募や活用公募により参加プロジェクトを選考しているが、3年前から、初めて利用する方にはトライアル利用という公募形式も採りいれ、研究者に試行的に富士山測候所を利用してもらっている。

10年目の夏期集中観測中となった今年の参加21プロジェクトのうち、トライアル利用は実に5プロジェクトを占めており、数字のうえでも富士山測候所利用のすそ野拡大に大きく寄与していることがわかる。びわこ成蹊スポーツ大学の高所登山活動の健康への貢献を明らかにする研究もその一つである。

T03 高所登山活動のヘルスプロモーションへの効果を検証する実践的研究 
 林綾子(びわこ成蹊スポーツ大学)
これまでは主に国内3千㍍前後の山にて調査を実施してきましたが、より高度が高く、また安定した環境で調査を進めることが可能だと思われる測候所にて調査を実施します。具体的には山頂までの登山の過程・滞在中・下山過程・その後の回復過程における生理学的データ収集を行い、その後分析し、登山活動の健康への貢献を明らかにするのが目的です。


昨日13日早朝6時前に富士宮口を出発し、14時過ぎに測候所に到着。まだ山頂で感動も醒めやまぬ皆さんから、熱いメッセージが届きました。

こんにちは!!!
13日から15日にかけて人生初の富士山山頂に立ちました!
今回は先生の研究のお手伝いという事もあり、5合目からスタートし、特別に頂上にある「測候所」に3日滞在させていただきました。そのため、3日分の食料や水を持ちながらの登山となりました。男子には少し多く荷物を持ってもらったので私たち女子は15~16㌕ほどの荷物を持ちました。5㌕ほど男子の荷物の方が重たいです!

それでもとにかく荷物が重くて、高度が上がるにつれて眠気や頭痛とも戦いながら山頂を目指しました。9合目辺りでは限界が近づいていましたが、山頂は目の前だったのでひたすら歩き続けました。今までで一番きつい登山でしたがその分、頂上からの景色は最高でした!

富士山登山者は、外国人や老若男女問わず様々な方が沢山いて面白かったです。ジーパンで登る人やスニーカーで登る人など!それだけある意味ローカルで人気なのだと思いました。世界遺産に登録されたということで、もっと登山者は増えると思いますが、すでに私たちの想像以上にゴミが落ちていて新たに問題が出てくるのでは?と感じました。誰かへの気づきになれば、と、少しだけ私たちもゴミ拾いをしました。これからの富士登山者一人ひとりが少しずつ環境の事も気にかけてくれるようになればいいなと願っています。

杉上早紀・奥野理沙


今回は研究の一環ということで富士登山に挑戦しました。14時ごろに大学を出発し晩御飯やお風呂を経て、0時ごろに富士山5合目に到着しました。まず星の綺麗さにびっくり。みんな感動して涙を……流してはいないのですが感動しまくりでした。富士登山の出発は5時半ごろということで車に6人乗ってたのですが、4人は車中泊、2人は車の外で寝袋泊…。寝袋泊であった河野、田中はこう語る…「正直ぐっすり寝れたのですが、起きたら朝露で顔面がびちゃびちゃでした」…富士山の洗礼を早くも受けました。

そしていよいよ8人で登山開始。一人、約15~20㌔のザックを背負い登山をしてたのですが、これがまたザックの重さと空気の薄さできついどころではありません。意識が飛びそうになったという人やザックの重さでみんなに着いていけない人など様々な苦しみと戦っていました。

しかし、山頂に着くとみんなの嬉しさが爆発し涙を……流してはいないのですが、達成感と景色の綺麗さにこれまた感動。とりあえず写真を撮りまくり感動を分かち合い、富士登山は無事、幕を下ろしました。登山を終えさすが日本一の山だと痛感したのですが、日本一ということもあり登山客も増え、ゴミの多さというのも気になりました。ゴミはしっかり各自で持って帰ってほしいなと思いました。最後に…富士山は偉大な山でした。
田中建哉


びわこ成蹊スポーツ大学総勢8名で、研究のために富士山登山にきましたー!
富士山からみえる雲海や星、ご来光、剣ヶ峰、お鉢巡りなど今までに経験したことのない景色を体験することができてとても楽しいです!
富士山ありがとう!またいこーっと。
桑木一生


8月12日の夜24時に五合目に到着。6名は車中泊、残り2名(河野、田中)は駐車場で寝袋を広げ寝袋泊した。その時の夜を田中、河野は言う。星がこんなに綺麗に輝いているのを初めて見た。僕らも明日、星以上に輝くしかない、と語った。総勢8名で五合目を早朝6時に3日分の食料を入れ、約25㌕ザックを担いで出発した。

だがしかし……富士山の過酷さを味わうことになった。急斜面、ザックの重さ、空気の薄さを身体に感じ、自分自身との闘いだった。早く歩こうとしても、息が荒れ、前に進まない中、8名の仲間で支え合いながら13時半頃登頂した。
最高の景色が待っていた…マウント富士山最高!
河野公寿

image001
台湾から富士山測候所で観測に来ているChiayangさん

台湾から訪問者が今年も富士山測候所にやってきました。当会の理事長である畠山史郎は台湾国立中央大学のGeorge Lin教授と共同して、山岳地帯で越境大気汚染を調べています。そのため、台湾から研究者が今年も富士山測候所にやってきました。

Lin教授の研究チームは、2008年に初めて富士山測候所に訪れ、大気中の水銀やVOCを観測してきました。2008年からチームスタッフで測候所に来ているChiayangさん、彼が今年も富士山に来ました。

Chiayangさんの名前の発音が何度聞いても、ジャイアンとしか聞こえない。中国語でジャイアンはJian(ジーアン)と呼ぶようです。そんなジャイアンさんの研究活動や富士山測候所での生活に注目して、5回に分けてレポートしていきます。

(レポーター:島田幸治郎)

zansho2016

毎年恒例となった当会の残暑見舞い。8月9日(火)に富士山頂郵便局から大河内博・早稲田大学教授に投函していただきました。山頂郵便局の消印スタンプ付きで、早ければ12日には会員の皆様のお手元に届くと思います。

はがきの写真は、7月13日(水)悪天候と高山病と戦いながら観測機材の設置を終えた(左から)早稲田大学の中村恵さんと宮内洋輔さん。そして、設置を手伝ってくれた山頂班の宮城公博さん。

山頂班のみなさま
cc 関係各位

大河内です.
一昨日は設営作業では御手数をおかけ致しまして心から御礼を申し上げます.

暴風濃霧(雲)で,悪天候のなかハイボリュームエアサンプラー,雲水採取機,フォグサンプラーの設営では本当にお世話様になりました.おかげさまで,雲水も順調にとれています.

また,柴田科学のご協力を得て,今年はじめて導入した「サイクロン式ハイボリュームエアサンプラー」で雲水を吸引することなく,PM2.5の採取ができているようです.

この装置はまだ試験段階ですが,雲が発生しているときには非常に有効な装置になるのではないかと期待しています.もともとは,産業医大の先生が柴田科学と共 同開発した粗大粒子をサイクロンで分級してPM2.5を採取する装置として,労働衛生分野での利用目的に開発したものですが,化学分析がうまくいけば今年 の当研究室の目玉になりそうです.

今後は,分級除去した雲水の時間分取をして,雲水の化学分析も行えるようにしたいと考えています.

設営の御礼まで.



中村さんはその後、ポーランドで開催された霧と露の国際会議(FFCD2016)で「富士山の雲水化学」でポスター賞を受賞されたといううれしい知らせがありました。

タイトル:Observation of Cloud Water Chemistry in the Free Troposphere on Mt. Fuji

著 者:Megumi NAKAMURA1, Hiroshi OKOCHI1, Shin OGAWA1, Hiroko OGATA1, Toshio Nagoya1, Naoya KATSUMI1, Yukiya MINAMI2, Hiroshi KOBAYASHI3, Kazuhiko MIURA4, Yoko IWAMOTO4, Mitsuo Uematsu5

所属:1School of Creative Science and Engineering, Waseda University ,2Ishikawa Prefectural University, 3University of Yamanashi, 4Tokyo University of Science, 5Atmosphere and Ocean Research Institute The University of Tokyo

nakamuraz


宮城さんは『外道クライマー』(集英社インターナショナル)の著者。
連日猛暑日のこの時節、この痛快な冒険ドキュメンタリーは一服の清涼剤となること、間違いありません。「山の日」にオススメの一冊です。

gedou





DSC_0476

DSC_0477


8月9日、夏期集中観測も全体行程の3分の2を経過した。心配された台風5号も東方面にずれて、山頂もライブカメラの映像では天気もよさそうだ。気象庁のデータによると午後1時には山頂の気温は9度まで上がっている。

早朝にブルで上がった大河内博・早稲田大学教授グループが14時過ぎ、太郎坊に戻ってきた。今回の登山計画書には、登山目的に「大気化学観測に関する試料採取と機器の保守管理」、作業内容に「エアロゾル・ガス・雲水・雨水の採取」とある。

大河内グループは、来週明けからは御殿場基地をベースにして、富士山周辺部(宝永山・箱根)において火山ガスの調査を行い、18日(木)からは23日(火)まで、連日4、5人のグループで波状的に上山し、大気化学グループの撤収を迎える予定だ。

DSC_0480

なお、今日は山頂郵便局へ残暑見舞いのはがきを投函してくださったそうだ。毎年、どうもありがとうございます。



このページのトップヘ