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 多摩川・浅間神社から見た富士山(撮影:超泰勇・2019年4月11日朝)


「花冷え」で日本列島が震え上がった一昨日(4月10日)、富士山も雪化粧を改めました。

東京都の多摩川浅間神社から11日の朝、趙泰勇さん(昨年、山頂のライブカメラでお世話になったCHO&CompanyのCEO) がスマホで撮影して送って下さった上の写真では手前の丹沢まで雪が付いていることがわかります。

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 静岡県立大から見た富士山(撮影:鴨川仁、2019年4月11日昼)

一方、こちらは4月11日昼、静岡県立大学から鴨川仁・特任准教授が撮影した富士山ですが、この角度から見るとそれほどはっきりわかりませんが、積雪量は着実に増えています。

ところで、富士山の積雪量はいつが一番多いでしょうか?

気象庁が有人観測をやっていた72年間の記録をまとめた「富士山頂:有人観測72年の歴史(2004)によると



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 富士山頂の気温は低く、月平均気温がプラスになるのは6-9月の期間にかぎられる。このため、降雪の期間が長く、初雪は9月14日で終雪は7月10日である(平年値)。一般的に「根雪」と呼ばれる積雪は上図に示すように4月下旬が最深となり2m弱の深さが平年値である。厳冬期を中心に降る雪は雪片密度が小さく、平均風速が15m/sを越える西(北)風によって山頂部の積雪は飛ばされ、富士山体の東から南斜面に多く積もる。
 春先になると冬型の気圧配置はゆるみ、日本海や東海地方の南岸を温帯低気圧が北東進する頻度が高くなる。気温が高く十分に水分を含んだ雪片は、山頂部にも大量の降雪をもたらす。積雪深が増し、古い降雪と、新しい降雪との固着強度、または山体と積雪との固着強度が何らかの原因で弱まると、平均斜度22°、山頂部で30°を超える斜面では、雪崩の危険性が高くなる。・・・・
「2003年11月地質ニュース591号」より抜粋


このように、富士山頂付近の積雪量はこれから増え始めます。今年も、第13回目の夏の観測に向けて、NPOの学術科学や活用委員会では研究テーマの選定などの作業が大詰めで、NPO事務局は大忙しですが、積雪量の増加は、雪崩や送電線の事故につながることが多く、気がもめる時期です。

ここ数年は積雪が少なく、比較的スムーズに開所できたのですが、過去には積雪が多くて、7月半ばになってもブルによる荷物運びに苦戦したことがあり、これ以上積雪が増えないことを祈っています。

(広報委員会)