太郎坊のそよ風

認定NPO法人 富士山測候所を活用する会 スタッフブログ

2019年05月

 CCI20190525_0001
    小山真人教授(「ブラタモリ・富士山、東京駅、上田・沼田」KADAKAWA,2016より)

本NPOのトップページのイベント情報でもお知らせしていますが、来る6月2日(日)の定期総会に引き続く特別講演会で、富士火山研究の第一人者であられる静岡大学・小山真人教授が「火山がつくった世界遺産・富士山」と題して講演されます。
   
今回、小山先生が来て下さることになったのは、2015年10月のNHK総合テレビの人気番組「ブラタモリ」がご縁です。この時の放送では、山頂までタモリさんを案内して行った小山先生から本NPOの鴨川理事が引き継いで、測候所の内部と雷観測の説明をしました。「ブラタモリ」の富士山シリーズ3回ににほとんど出ずっぱりだった小山先生のおかげで、富士山の「火山としての面白さ」が全国的に知れ渡ったとも言えましょう。

無題
 2015年10月30日放送の「ブラタモリ」の一画面。タモリさん達が説明を受けている測定用モニターには、小山先生が屋外カメラの外側にひょっこり現れ、一同を驚かせる場面もあったそうです。

番組の中で、麓の地形から始まり、美しい富士山がどのように形成されたか、有史以来でも10回の噴火を繰り返した富士山の成立の過程、宝永火口で見る富士山成立の謎を解く鍵などについて、わかりやすく解説されたうえで「信仰と科学の世界」である山頂へと案内されたのが小山先生でした。その構成は実に見事で、よくまとまった富士山紹介でした。

なお、この一連の富士山シリーズでNPOの関係者もかなり現場でお手伝いしましたが、小山先生は相当の時間を使われたかと思います。台風の進路をにらみながら、ブルの手配や人の配置など、現場でなければわからない裏方の苦労話なども今では懐かしく思い出されます。

6月2日のご講演ではもしかしたらそんなお話も聞け来るかもしれません。
多数の皆様のご参集をお待ちしております。入場は無料です。


特別講演会「火山がつくった世界遺産・富士山」

講 師: 
小山眞人氏(静岡大学教授,学術院教育学領域 理科教育系列)

日 時: 2019年6月2日()15:00-16:00
会 場: 東京理科大学神楽坂キャンパス 1号館17階 大会議室
新宿区神楽坂1-3
(交通)地下鉄有楽町線/南北線/東西線/大江戸線 飯田橋駅 B3出口徒歩1分/JR飯田橋駅 西口下車徒歩3分
rikadai-1gou-17Fx

共 催: 東京理科大学総合研究院大気科学研究部門/ 認定NPO法人富士山測候所を活用する会 


IMG_1552
 小山真人「富士山:大自然への道案内」(岩波新書1437、2013)
 富士山について、分かり易く内容が豊富な名著「富士山:大自然への道案内」は小山先生の多数の著書の一つですが、本NPOの山頂研究者にとっても、素晴らしい入門書となっています。

(広報委員会)











 


IMG_1550

13876112_329144234092423_5879837430500105870_n
    澤田実さん(Facebook より)


まさか、というニュースが飛び込んできました。
ロシア・カムチャツカ半島の地元政府によると、同半島中部のカーメニ山(4575㍍)で17日、日本人男性1人が登山中に滑落し、死亡した。1968年生まれの「サワダ・ミノル」さんだとしている
という朝日新聞デジタルニュース(5月18日、20:59)が事務局から送られてきました。

 誤報であってほしいという、一縷の望みは絶たれ、本日(5月20日)の東京新聞にも「ロ極東滑落死は登山家・澤田さん」という記事が載り、悲しいニュースは確定されました。

 山頂班員としての澤田実さんは2016年の夏季観測から富士山測候所に来られました。ベテランの山岳ガイドでもある澤田さんは、ご出身が火山学とのこと、北大で学生時代学ばれた「火山岩」の見分け方を、仕事の合間にインスタ用の写真として送って下さっていました。

IMG_0332
  紡錘状火山弾 (撮影:澤田実、2017.8.14)

 ちょうど、事務局がPRのためにインスタグラムの入力を始めた2017年7月には、山頂から見事な「紡錘状火山弾」の画像を「噴火で溶岩が飛び散る時に、ちぎれ飛んで固まった岩塊です」という説明を付けて送って下さり、引き続いていろいろな火山岩の写真を頂きました。

IMG_0349
パン皮状火山弾。これも飛び散った溶岩ですが、先に固まった表面を中の柔らかい溶岩が割るため、パンの表面のようにひび割れができます。(撮影+説明、澤田実 2017.8.14)


IMG_0376
火山の痕跡。上部の横に繋がっているグレーの岩の帯が1枚の溶岩流。その上下が赤くなっているのは、流出後、空気に触れて酸化した部分。クリンカーと言います。(撮影+説明、澤田実、2017・8・13)

 この夏の火山岩関係の写真3枚は、11月に行われた国際シンポジウムACPM2017(山岳大気化学・物理国際シンポジウム)において、富士山頂の観測環境の説明スライドとして使われ、高い評価を得ました。英文スライド作成に当たっては、出身の北大研究室の後輩である現役の火山学者に英語名のチェックを頼んで下さるという真面目な澤田さんには頭が下がりました。

 また昨年2018年7月25日のブログでは「山頂には火口が2つ? …富士火山について」というタイトルで、大内院と小内院について解説をして下さいました。 澤田さんは、富士山測候所で観測する研究者やNPOの関係者にとって、高所の生活のお世話になるやさしくて頼もしい山頂班員としてだけでなく、火山を教えて下さる先生でもありました。

 今回の事故でこのような有能な山頂班員を失ったことはNPO関係者一同、誠に悲しみに耐えません。

 上の写真が載っているご本人のFacebookによると、5月9日にご家族に感謝を述べながら、「20年ぶりの海外遠征。ロシア・カムチャッカにあるカーメン峰に登りに行ってきます。帰国は6月1日の予定です」というメールを残しておられます。澤田さんのお帰りを待っておられたご家族の悲しみは察するに余りあります。
心からご冥福をお祈り申し上げます。
                                                            (広報委員会)

このページのトップヘ