太郎坊のそよ風

認定NPO法人 富士山測候所を活用する会 オフィシャルブログ

2020年12月


データ検討会プログラム

2020年の最後を飾るイベントとして、
データ検討会がzoomで23人の参加者で行われました。

例年は夏に富士山頂で行われた観測研究の総まとめや生データを出し合って、
いろいろ情報交換をする大切な集まりで、昨年もブログに入れています。

 しかし、今年は山頂が使えなかったため、観測研究は太郎坊と御殿場に限られました。
その代わりというか、8月から12月までの長い期間の観測研究が行われました。

 そのため、データも「なま」も「なま」湯気の
立っているような「生データ」を場合によっては計算しながら、
スライドを作りながら、お互いに検討しあうという
ホットな検討会になりました。
 
 三浦理事長が司会した前半は
今年の太郎坊と御殿場で行われた観測研究の総まとめで
比較的ゆったりと、
今年の気象の特徴(石川県立大)
富士山南麓で増えていると考えられる特徴的な豪雨イベント(早大)、
ガスセンサーを用いた長期測定データ(都立大)、
窒素酸化物と並行して御殿場で
初めて市街地のCO2測定を始めた(帝京科学大)などの報告があり

 10分の休憩をはさんで、
地上偏光OPC(山梨大)と
粒子関係の講演が理科大学生3人によって行われました。

 特に、山梨大小林准教授の本題とは離れて
山頂から南へたなびく雲と降雪について話された部分が面白く、
「12月19日の半分白い」ブログをどう思いますか?」とチャットを入れたら、
「やはり、上空の風による雲の成長、降雪が関係しているような気がします」
というお返事をいただきました。

 前半はゆったり時間を取って16時ごろまでかかりましたが
後半のドローン観測については、
理科大・森助教の司会でピッチが上がり、大河内副理事長他の
7件(8件のうち1件割愛)の講演がほぼ2時間で無事終了したようでした。

 最後の総合討論は失礼してしまいましたが、
ドローンについても予想を上回る成果が上がっていることがわかりました。


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日の出と共に、準備を開始!!

 太郎坊のドローン観測は12月7日から始められました。
気温0℃近い寒い現場からは、
大河内先生と学生さんたちの観測の実況が毎朝FBに出ていました。

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左から南齋先生と大河内先生。ドローンでの観測準備の様子。

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太郎坊でのドローンを使った冬期集中観測。


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  ドローン観測について説明する大河内副理事長

その成果が実に見事にまとめられていると感じました。
山頂が使えなくても太郎坊と御殿場を使って、
観測研究を行った富士山研究者たちの面目躍如の検討会でした。

詳しい結果は、
来年の成果報告会で報告されることになっています。

年末の最後の大きいイベントが終わって、29日は今年最後の運営委員会です。

コロナ禍ですべて変則的だった2020年が何とか無事終了。
来年は山頂での観測が再開されることと、
それによって今年の成果がさらに深化されることを祈ります。

(広報委員会)


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   2020年11月に新しくなったホームページのトップ


野中至・千代子夫妻の孫にあたられる野中勝氏より、
野中夫妻が1895年の山頂滞在直前に
中央気象台(現気象庁)から貸与された気象測器の借用書など
貴重な画像を提供いただき、資料として新たに追加しました!!


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野中至が中央気象台へ送った借用書が、物品返却とともに戻されたものです(野中勝氏所蔵)


今年の夏
7月12-19日のJpGu-AGU Joint meetingでは、下記のWeb発表を行いました。
『芙蓉日記の会』の新たなメンバーとして、
『日本百名山』(深田久弥、新潮社)の英訳者・Martin Hood氏(スイス在住)や
仁愛大学非常勤講師『芙蓉日記』の英訳を大学の紀要に載せておられる
フッド晴美氏(福井在住)も加わりました。

野中夫妻の協力者・和田雄治氏のご子孫や
藤村郁雄・元測候所長の関係者の方からもご連絡があり、
展示内容について
専門家の立場から貴重なアドバイスをいただくなど、
資料館の輪は着実に広がっております。

2020年はコロナ禍のため
対面での集会は難しくなりましたが、


事務所の数名と海外(スイス)を含む遠隔地の各会員をつないだ
「Zoom+事務所」会議を2回持つことが出来ました。

Zoom会議やメールによる議論を経て、
2020年11月20日、
『野中至(到)・千代子資料館』として看板を付け替えました。

今後も
英文の説明などを加えて、資料館の充実を図って行く予定です。
ご期待下さい。

(芙蓉日記の会)


「今日は富士山の積雪が多いな~」など と眺めておりましたら
こんなニュースを発見いたしました。


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ウエザーニュースのHPより


富士山が・・・「半分、白い」??(しかも某朝ドラのタイトルでは・・・)

『百聞は一見に如かず』ということで、
東海道新幹線通勤の鴨川専務理事に
富士山の写真をお願いしました。
(撮影日 2020/12/17早朝)


まずは・・・富士山の東側にあたる
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新横浜駅~小田原駅からの富士山

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小田原駅付近からの富士山

裾野まで大雪が降った様にみえます。

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三島駅付近からの富士山
こちらも裾野まで積雪。

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新富士駅付近の富士山
???まったく山頂には積雪がないように見られます。

続きまして
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富士川からの富士山

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最後は、静岡県立大学からの富士山


雪にも見えますが、
雲がかかっているだけのようです。

なんと写真からもわかるように
富士山の積雪量は方角によって違っていたのです。

山のプロフェッショナル
富士山頂班の岩崎班長によると
「無いことはないけど、珍しい現象ではないですか。」
との、お返事が。


考えてみると、
富士山は標高も高く、裾野も広いので
この様な現象が観測される・・・

4000mかつ独立峰・・
やはり研究対象として、魅力が満載の
富士山に驚かされました。

(広報委員会)


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2020年11/27(金)14:00より
「ELTRESが切り開いた新時代の富士山火山噴火監視」
鴨川事務局長がオンライン講演しました。

   ELTRES™ とは??
IoTネットワークにご利用いただける新しいLPWA(Low Power Wide Area)の無線通信規格です。
長距離安定通信、高速移動体通信、低消費電力という3つの大きな特徴を活かして、
様々なセンサーで取得した情報を広範囲に効率よく収集することができ、
新たなユースケースにもご利用いただけます。
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鴨川事務局長(静岡県立大学)と加藤理事(東京都立大学)の
ELTRESを使用した富士山測候所での研究について講演しました。

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講演中の鴨川事務局長。

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自己紹介から始まり、
富士山測候所の活用意義、運営危機状況、
また
富士山頂という同じフィールドで
研究が
学問の垣根を越えて活動している団体、当NPOについてわかりやすく説明しました。

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ここからが
今回の講演の主題、

ELTRESを使用した富士山測候所での研究を説明。


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富士山に登らなくても
昨年、富士山頂に設置した高精度ライブカメラの映像を
自宅から見ることが可能に!!

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冬になると電力供給ができずに困っていたところ
非常に低電力なELTRES(単1の電池6本で運用)を活用することで
過酷な環境の富士山頂からでも

通年、火山性ガスのデータを送り続ける事が出来たことを実証!!

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2019年8月に
ELTRESを使って富士山頂で地磁気測定をしたところ
データがしっかり取れたことや、


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(今年は富士山頂はコロナ禍で実験ができなかったので)
2020年10月には
太郎坊での地磁気観測に成功したことも
紹介しました。


最後に
ELTRESが地球科学計測にもたらす貢献度が大きいと
話しました。

わかりやすい説明かつ内容盛り沢山で
来年度以降の研究が、益々楽しみとなる講演でした。

(広報委員会)






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大気環境学会 功労賞のメダル
(風神雷神が彫刻されている素敵なメダルです!!)


認定NPO法人富士山測候所を活用する会には、東京と御殿場に事務所が2か所あります。

御殿場事務所は、ブログでもご紹介しましたが、
登山準備拠点、観測サイトとして活躍しています。

東京事務所は、千代田区麹町にあります。
(官公庁に申請などが多いので・・・)

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東京事務所の外観。こちらの1室を借りております。


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事務室のドアには『認定NPO法人 富士山測候所を活用する会』と
『富士山環境研究センター』の表札

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東京事務所。壁にクラウドファンディングのご支援者の名前のポスターが。

2020年6月1日、そこに、横田久司東京事務所長が着任しました


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奥に写っているのが横田さんです。

横田さんは元大気環境学会の事務局長としての長年の勤務実績があります。
今年の9月の大気環境学会の総会で「功労賞」受賞のニュースが入りました。

令和2年度 大気環境学会
   功 労 賞
「自動車排出ガスの実態把握・対策評価研究と大気環境学会の運営に係る長年の功績」
                   横田 久司 殿

あなたは、大型ディーゼル車等の排出ガスの実態把握ならびに対策評価に関する研究を長年にわたり行い、自動車排出ガスの分野で大きな業績をあげてこられました。一連の研究成果は、ディーゼル車走行規制等の大気環境対策に活用され、我が国の大気汚染の改善に大きく貢献されました。
また、本学会で常任理事を歴任されるとともに、事務局長に長く従事されるなど、学会の運営に尽力されました。
特に、本学会の公益社団法人への移行を推進され、また、その後は事務局長として学会の安定的な運営に貢献されたことは特筆されるものです。
 本学会および、地域・社会の環境保全施策の推進に貢献されてきたことに敬意を表し、ここに大気環境学会功労賞を贈ります。

令和2年9月17日 
公益社団法人大気環境学会
会長 大原 利眞


横田さんに無理を言って
メダルの写真を入手しました。
(メダルはブログの一番上に掲載)


(予算が限られているのでスタッフの数は少ないのですが・・・)
当NPOには、(役員、研究者はもちろんの事)
縁の下の力持ちである
山頂班、事務所のスタッフに支えられて
毎年夏季観測の研究活動を無事に
送ることが出来ています。

(広報委員会)





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