太郎坊のそよ風

認定NPO法人 富士山測候所を活用する会 オフィシャルブログ

2023年05月

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 新幹線からの富士山(撮影:鴨川仁専務理事、2023年5月24日、8:00)

インスタグラムの3枚目でもご紹介していますが、鴨川専務理事が新幹線から写した
5月24日の富士山を見た、岩崎洋山頂班長からコメントが入りました。
 以下、岩崎班長(岩)と鴨川専務理事(鴨)のチャットをご紹介します。

(岩)3枚目の画像は足柄あたりからですか?
(鴨)小田原手前な感じです
(岩)成る程、中央たぶん不浄沢辺りに雪崩の跡が見えますね。
(鴨)なんと、そんなことがわかるんですか?
(岩)積雪が薄いからデブリは下に見えないですけど、色が変わっていますよね。
   雨が降ってスラッシュ雪崩が出たのかも知れません。
(鴨) なるほど。
・・・・・・
翌日、(岩)お早う御座います。先日も3000m以上は雪だったとの話ですね。
北側の方が積雪が多かったみたいです。

下の写真はこの会話の次の日(5月25日)の富士山です。

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 鴨川専務理事が新幹線から撮影した富士山(5月25日、12:23)

(鴨)3000mくらいのところまで雪でしょうか?

ところでスラッシュ雪崩については、昨年12月6日の本ブログでもご紹介しましたが、登山家の最も恐れるものの一つです。

雪が飛ばされアイゼンが効かない
スラッシュ雪崩の跡。2022.12.6のブログ「白い魔境・冬富士」が再放送されました

5合目付近の山開きが近いとはいえ、山頂付近はまだ危険と隣り合わせの雪の状態だということがわかって頂けたでしょうか?
(広報委員会)

認定NPO法人富士山測候所を活用する会とは

2004年に無人化され、いずれ取り壊しの運命にあった旧富士山測候所。
富士山測候所を活用する会は、この施設を国から借り受け研究・教育の拠点にしようという構想で、2005年に大気化学や高所医学などの研究者が主体となって立ち上げたNPO法人です。

また
富士山頂という厳しい環境の中、その修理費・維持費や、運営費など
年間3000くお願いいたします。

本NPOは、認定NPO法人(認定NPO法人は全NPOの2%しかない)です。
ご寄付に関しては、控除もありますので詳しくはウェブサイトなどでご確認ください。



 私と鴨川専務理事が長年直接の指導を受けた東京大学名誉教授(日本学士院会員)の上田誠也先生が1月19日逝去されました。93歳の大往生でした。

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 私は大学院時代から40年以上、鴨川理事も30年以上の付き合いでした。ここ20年以上は、上田先生と3人4脚で研究を続けてきました。

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2007年 イタリア・ペルージャにおけるIUGG総会にて

 上田先生の業績として、まず第一に挙げられるのがプレートテクトニクスの確立だと思います。特に顕著な業績として、プレート運動の原動力の大部分は周囲より重たいスラブが重力によって沈み込む事が支配的である事を初めて示しました(Forsyth and Uyeda, 1975)。この論文はGoogle Scholarで調べますと、1700件近くの論文で引用されています。この論文は当時博士課程の学生であったフォーサイスさんを指導し出版されたものです。

Forsyth, D. and S. Uyeda, On the relative importance of the driving forces of plate motion, Geophys. J. R. Astron. Soc., 43, 163-200, 1975.

 また、上田先生は英語の達人で、アメリカ人が書いた英語を添削する事もよく行っていました。「どうやって英語を勉強したのですか?」と聞いた事もありました。その答えは「英国留学のチャンスがあり、その前に(半年ぐらい)集中的に英語を勉強した」と仰っていました。やはり天賦の才能があったのだと思います。

 上田先生は地震学、地球熱学、地球電磁気学、さらには地質学にも造詣が深く、日本の地球科学の研究者として、最も国際的に広く認知されていた研究者でした。そのため、世界最大の地球物理学の国際団体である「国際測地学・地球物理学連合(IUGG), 1919年設立」の日本代表理事に就任されたり、4年に1回開催される総会を2003年、アジアで初めて札幌で開催する事に成功しました。そしてこの札幌大会の大会組織委員長が上田先生でした。開会式は天皇陛下・皇后陛下のご臨席もあり、大会は成功裏に開催されました。


地震予知研究開始のきっかけ

 1980年当時、上田先生はTectonophysicsという学術雑誌の編集長を努めておられました。そこで上田先生の人生を変える論文と出会う事になったのです。これがギリシャのVANグループとの出会いでした。

 当時、地電流を用いたVANグループの地震予知に関する論文が掲載判断を2年間保留されていました。その理由は「予知の結果が良すぎる」というものでした。上田先生は実際にギリシャを何度も訪問し、VANグループと議論を行ない、「結果が良すぎる事は掲載拒否の理由にあたらない」「この論文は世の中に出すべきである」という結論に達したのです。そしてそこからの約40年間は地震予知研究に全精力を費やされる事になりました。

 また、2001年には、「電磁気学的な地震予知研究を国際的に推進すべき」という固い信念のもと、IUGG内に「地震・火山に関する国際ワーキンググループ(EMSEV)」を設立させ、初代委員長に就任しました。長尾はEMSEV設立当初から事務局長(Secretary)を努め、2019年からは委員長を務めています。

 5月10日に長尾も執筆に加わった日本地震学会ニュースレターに掲載された追悼文を以下にお示しします。ニュースレターは非営利であれば、再掲可能という事ですが、日本地震学会からも正式に転載許可を頂いております。

 出典:第76巻 第NL1号 May 10, 2023, NL-1-4〜5ページ。

上田先生追悼1
上田先生追悼2

 ちなみに上田先生は88歳まで科研費を獲得されており、まさに生涯研究者を具現した研究者でした。改めてご冥福をお祈りいたします。

(文責:長尾年恭)
(広報委員会)




認定NPO法人富士山測候所を活用する会とは


2004年に無人化され、いずれ取り壊しの運命にあった旧富士山測候所。
富士山測候所を活用する会は、この施設を国から借り受け研究・教育の拠点にしようという構想で、2005年に大気化学や高所医学などの研究者が主体となって立ち上げたNPO法人です。

また
富士山頂という厳しい環境の中、その修理費・維持費や、運営費など
年間3000万円という莫大なコストが掛かるのです。

しかしながら、資金面に関しては、
公的補助もなく研究利用費だけで運営しております。

そこで、皆様からご支援、会員になっていただき未来へ
つなぐ研究の手助けをどうぞよろしくお願いいたします。

本NPOは、認定NPO法人(認定NPO法人は全NPOの2%しかない)です。
ご寄付に関しては、控除もありますので詳しくはウェブサイトなどでご確認ください。


5月13日(土)中野サンプラザ会場とオンラインでの参加者をZoomで繋いだハイブリッド形式で、
2023年夏期観測キックオフミーティングが開かれました。

タイトル

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「コロナ」が2類から5類に移行した初めての週末で、雨の土曜日でしたが
会場参加15人、Zoom参加31人と今年の夏の観測に向けてのスタートとして
熱気のある集まりでした。

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三浦理事長の挨拶に続いて加藤俊吾・学術科学委員長の司会で、今年のプロジェクト担当者の自己紹介、夏期観測全体の説明、安全マニュアル、さらに「コロナ」対策についての今年の対応など皆巳副事務局長からの説明があり、具体的な細かい対応について熱心な質疑応答が、時間ぎりぎりまで続きました。
今年初めて、キックオフミーティングに参加した富士山環境研究センターの小室悠紀・特任研究員からは下記のような感想と写真が届きました。

まず、研究者の方々だけではなく、山頂班や企業の方々も参加されていたということで、
富士山の観測活動が、様々な方々の協力のもとで運営されているということが改めて感じられた会でした。

富士山関係のコミュニティに入って日が浅い自分としては、まだ顔を見たことが無い方もいらっしゃったので、観測が始まる前に関係者方々の顔を合わせることができる、とても良い機会であったと思いました。

ミーティング内容については、観測手続きの仕方から説明されていて、今年から観測に参加する自分にもとっつきやすい内容だったと思いました。
また、観測中はコロナ対策を厳しめに行うということで、なるべく関係者の方々が感染せず、観測活動に支障が出ないよう、配慮している印象を持ちました。

様々な方々の努力に基づいて運営されているということを再認識したことで、関係者の方々と協力し、今年度の観測から良い成果が出るよう尽力したいと、改めて思いました。

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今年で18年目(17回目)の富士山頂夏期観測がいよいよ本格的に始まりました!
(広報委員会)


認定NPO法人富士山測候所を活用する会とは


2004年に無人化され、いずれ取り壊しの運命にあった旧富士山測候所。
富士山測候所を活用する会は、この施設を国から借り受け研究・教育の拠点にしようという構想で、2005年に大気化学や高所医学などの研究者が主体となって立ち上げたNPO法人です。

また
富士山頂という厳しい環境の中、その修理費・維持費や、運営費など
年間3000万円という莫大なコストが掛かるのです。

しかしながら、資金面に関しては、
公的補助もなく研究利用費だけで運営しております。

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無題
インタビューに答える大河内副理事長
(主婦の友社が運営するウェブサイト「暮らし二スタ」より)

 
 プラスチック問題というと、海辺にある大量のプラスチックゴミや、
「魚の胃袋からプラスチック片が出てきた」といったニュースが思い浮かびますが、これらは目に見える「マクロプラスチック」の話。
 実は目に見えない「マイクロプラスチック」や「ナノプラスチック」が、健康被害を起こす可能性があるプラスチックとして、今、問題になっているのです。

 
みなさまの
ご興味、関心の多いプラスチック問題について
当NPO 大河内副理事長が取材をうけ、
~多くの人がまだ知らない、本当の「プラスチック問題」~
と題して、
その記事が “暮らし二スタ” に掲載されました。

 
 暮らしニスタとは?

 毎日が楽しくなる生活のアイデア宝庫! 料理、収納、DIY、ハンドメイド、家事のコツ…などアイデアが満載!
 毎日の暮らしがもっと便利に、もっと快適に、もっと楽しくなる情報をみんなでシェアするコミュニティサイトです。



 端的に考えると“プラスチック”が問題であれば
プラスチックを地球上からなくしてしまえばいいのでは?…と、
お考えの方もいらっしゃると思います。
しかし!!




プラスチックは完全な「悪」ではない。正しく怖がる知識が必要




と、大河内副理事長は述べております。

その理由や、私たちが “今” この問題について正確な情報をキチンと把握して
日頃できる行動や心がけた方が良いことは、どんなことなのかをしめした
知りたい情報が満載のおすすめ記事です。

なお富士山とプラスチック問題について知りたい方は、
こちらのブログもご覧ください。






(広報委員会)


認定NPO法人富士山測候所を活用する会とは


2004年に無人化され、いずれ取り壊しの運命にあった旧富士山測候所。
富士山測候所を活用する会は、この施設を国から借り受け研究・教育の拠点にしようという構想で、2005年に大気化学や高所医学などの研究者が主体となって立ち上げたNPO法人です。

また
富士山頂という厳しい環境の中、その修理費・維持費や、運営費など
年間3000万円という莫大なコストが掛かるのです。

しかしながら、資金面に関しては、
公的補助もなく研究利用費だけで運営しております。

そこで、皆様からご支援、会員になっていただき未来へ
つなぐ研究の手助けをどうぞよろしくお願いいたします。

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5月9日(火曜日)山頂班の長門敬明班長と坂本健二班員による、恒例の旧測候所庁舎周りの調査が行われました。

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 浅間大社の鳥居と山小屋・山頂富士館はほとんど雪の中
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 2号庁舎の雪囲いも雪に埋まっています。
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 お鉢の雪もかなり残っています。

下から見た富士山から考えると山頂付近の積雪はずいぶん多く見えますが、
岩崎洋班長によると「これで平年並みですよ」とのこと。

4月12日のブログでもご紹介しましたが、富士山頂の積雪は4月からこの時期に一年で一番多い積雪量を示します。

なお、「雪のサンプリングは大河内先生の依頼で実施しました」と岩崎班長。
4月の大黄砂の影響やマイクロプラスチックに関する大河内副理事長グループのの観測値が楽しみですね。

なお、5月13日~14日の降雪で、富士山は6合目までまた雪化粧に代わりました。
山頂の積雪量は増えている模様です。
(広報委員会)


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