太郎坊のそよ風

認定NPO法人 富士山測候所を活用する会 スタッフブログ

カテゴリ: 夏期観測


IMG_20180727_124348_745

        台風12号に備えて養生中の測候所(7月27日、岩崎洋山頂班長撮影)
2018/7/29, Sun 13:02 Message body
遠藤周さま、伊藤哲さま

屋外設置している気象測器ですが、
台風を無事乗り越えられたようです。

鴨川仁
7月28日から29日かけて本州の東側から接近、上陸し、西日本を西へ横断するという異例のコースをたどった台風12号。富士山測候所にも少なからぬ影響をもたらしました。それでも台風接近に備えて山頂班が「台風養生」を行ったこともあり、屋外に設置した気象測器は暴風雨を耐え抜き、しっかりと気象データを計測しつづけました。

さて、ニュースリリース(2018.10.01_夏期観測データ2018の公開について)でもご紹介しましたが、ライブカメラ画像や気象データなどの夏期観測データが会員限定ページからダウンロード可能となりました。

 今年の夏期観測では大気化学、放射線科学、大気電気などの観測研究が20件のプロジェクトで行なわれました。それらの観測研究の基本となる、気象データとライブカメラ画像はNPOが担当研究者にお願いして取得していますが、希望者が多いので早めにオープンにしたものです。

気象データ(風向・風速の1分値)、気象データ(雨量、気温、気圧、湿度の10分値)は、それぞれ今年購入した新しい気象測器で計測、ライブカメラも昨年までの東西方向に加えて南方向が新たに加わって広範囲をカバーしています。

秋の学会発表その他でぜひ有効にご活用ください。なお、データの使用にあたっては利用条件のご確認をお願いします。

kansokude-ta
 観測データのダウンロードページ(会員限定ページなのでID,PWが必要)

(広報委員会)

panda
 パンダスタジオ富士山頂ー日本一高い大気科学研究所

富士山測候所を活用する会では、富士山頂から大気科学専門家によるレクチャー動画を2016年から公開し、環境問題の基礎知識のみならず、環境科学研究現場の最前線についても一般市民への啓もうを図っています。2018年は新たに2つの動画レクチャーコンテンツを追加しました。

帝京科学大学・和田龍一准教授による「富士山における窒素酸化物の計測」


yutube-wada

wada3


まず、室内の画面から始まり、精密な測定のための装置の説明(最初にこの装置を見た山頂班の皆さんはレーザーを使う長大な装置に驚いたそうです)があり、窒素酸化物の種類についての丁寧な解説と、測定原理の説明があります。

wada2

次いで、西側の大沢崩れに面した絶壁の上にある外部に出て、取り入れ口の説明です。取り入る過程で、窒素酸化物がどのように化学変化をして、装置に導入されるかが分かり易く説明され、最後に、共同研究者  農研機構の米村正一郎博士と、設定を手伝った山頂班の千田敦司さん、佐藤裕介 さんの紹介もあります。

東京理科大学・森樹大(たつひろ)助教による「大気エアロゾルの粒子濃度測定」

yutube-mori

mori2

全体が1号庁舎の装置の説明です。雲粒子の数の測定装置、過飽和度を利用する粒径装置の説明に続いて、今年から始まった「連続的に化学組成と粒径を検出する装置の説明があり、また、共同研究を行なっている金沢大学のnm(ナノメーター)レベルの小さい粒所を測定できる装置の説明もあります。
最後に、鴨川先生の質問に答える形で:最近の研究成果、社会貢献などへのコメントがあります。

以上が、今年追加されたレクチャーですが、2016年の3件に加えて、レクチャー動画は2017年にも公開していました。
 「 日本一高い大気科学研究所、富士山測候所を利用した自由対流圏高度におけるエアロゾル-雲-降水相互作用の観測」として、早稲田大学総合理工学部・大河内博教授の大学院生の中村恵さんと山脇拓実さん(撮影当時学生)による、「降水、雲水など液体試料」と「フィルター試料」の採取、保存法などの具体的な映像が詳しく紹介されています。

日本一高い大気科学研究所、富士山測候所を利用した自由対流圏高度におけるエアロゾル-雲-降水相互作用の観測

yutube-nakamura

yutube-yamawaki


いずれも、分かり易く解説されている動画です。講演や講義などいろいろな場面で今後広くご利用いただけると良いと思います。

なお、2017年は   東京ガス環境おうえん基金、 2018年はWNI気象文化創造センター「気象文化大賞」助成 の一部として作成させていただきました。また、映像編集は、株式会社アルファ企画の協力を得て行っています。記して感謝申し上げます。
(広報委員会)




DSC_2044
 8月25日5時48分、太郎坊の虹(撮影:増田純夫)


”9月4日16時過ぎ御殿場基地を閉所し,準備期間を含め2個月半拠点にしたモン・ソレイユ201を退去しました.

 これで,太郎坊での観測や山頂での通年観測を除き,本年度夏季観測の山頂および御殿場での活動を終えることになります.
 今年も無事故で終了することができました.伊倉さん,大胡田さん,山頂班および御殿場班の皆様,関係会社の皆様,参加いただいた皆様に御礼申し上げます.今後ともよろしくお願いいたします.  事務局”
 
今年の夏季観測も山頂の閉所に引き続き、御殿場基地の閉所で完全に終了しました。御殿場閉所も台風21号が関西地方に上陸、御殿場線も止まる中で何とか終了しました。今年は、夏季観測全体を通して、台風にたたられた一夏でした。

IMG_20180824_175044_528

台風20号の影響で強風の山頂で撤収作業をする研究者(撮影:加藤俊吾)
IMG_20180824_180015_017
暴風雨の中での撤収作業(撮影:加藤俊吾)

  8月23日に予定していた大気化学などの大量研究機材の荷下ろしは、台風20号の影響が早く出始め、積込ができず、作業のために登った研究者たちの安全のため、全員下山ごく一部の機器だけを下ろす緊急事態になりました。

 その結果、再度25日に再び荷下ろしをすることになりました。このブルの運航は前回のブログのGPS付き遠距離通信で示しましたが、激しい風雨の中でブルを待っていた人たちには、事務局からの画像での確認が大変役に立ちました。

IMG_20180825_100014
 
8月25日、大量の機材をブルに積み込む(撮影:山頂班千田敦司)


DSC_2411
  9月5日、東京事務所に戻ってきた荷物

 台風に何度もたたられ、いろいろ苦戦した夏期観測でしたが、何とか無事終了、事務局には山頂や御殿場から戻ってきた機材が積み上がっています。

 このページのトップに載せた太郎坊の虹は、2度目の下げ荷が完了した時に太郎坊に出たもので、写真には見えないですが3重の美しい虹だったとか、これが来年につながることを祈っています。

(広報委員会)

DSC01701
「今年最後の金曜日、一寸だけ賑わいが戻りました」岩崎山頂班長から、閉所の日の早朝(5時21分)の山頂


10時35分 商用電源切断。
10時53分 閉所。
これから下山します。
山頂班長
8月31日山頂班長から電話連絡があり、これで本年7月1日から62日間の第12回目の夏期観測は無事に終了しました。

今年の利用者は延べ415名で29プロジェクト(継続事業:21、新規事業:8)が実施されましたが、いずれも昨年を上回りました。新規の事業が8件もあり、事業数が拡大傾向にあるのは何よりよろこばしいことです。

graph
2018/09/01 (ニュースリリース) 富士山測候所は8月31日に閉所し、62日間にわたる夏期観測活動を終了

通年観測や火山課に関わる観測が定着したことに加えて、GPSを組み合わせた微小電力による長距離通信の実証実験(ソニーセミコンダクターソリューションズ)が行われ、台風後の実験装置の荷下げ等で活躍するなど、実り多い夏期観測でした。

114620180825x
 暴風雨をついて降りてくるブルの位置が、事務局のパソコンの画像で刻々把握

詳しい内容は今後、研究速報などをホームページに公開し、また、研究内容はそれぞれの研究者の所属する学会やシンポジウムなどで発表されます。
(広報委員会)


 

DSC01579_20180813_144529
 無事測候所に到着したChris Renschler (右) と Sascha Keller(左) 

今年のトライアル研究グループの Chris Renschler Buffalo大学教授(東大併任)は、共同研究者のSascha Keller さんと8月11日山の日に徒歩登山で山頂まで行き、一泊して12日に下山しました。

Integrated mehtods for modeling and sustainable management of regional natural resources and hazards (Mt. Fuji, Japan)
地域資源・ハザードのモデル化と持続可能な管理のための総合的手法の開発(富士山、日本)
というタイトルで、今年は富士山頂で事前調査(トライアル利用)のための登山でした。東大農学部の西村拓教授と共同研究です。

先日、このブログで紹介した国際化に向けて英文ホームページを一新しましたが、早速の利用者で張り切って対応しました。マニュアルに従って「出発時に電話を入れて下さい」とお願いしたところ、突然、当日になって、
「電話では話ににくいので、メールにしてほしい」とのこと。あいにくガラケーの担当者はパニック状態。

日本語の携帯メールも敬遠しているのに、アルファベットを一字ずつ打ち込むのはショートメールでも10分以上かかります。それでも、他にうまい方法がないとのことで、慣れない入力を始めました。

8月11日(土、山の日)
6:45、河口湖で最初のバスに乗ったという連絡
山頂班の携帯へ転送して、「OK」と返信

8:35 8時に5合目を山頂へ向かって出発
山頂へ転送、「幸運を祈る」と返信

入力に苦戦していると、Saschaから、パソコンンへemailが入り、「携帯メールが不調なのでこちらに切り替える」とのこと、これですっかり連絡が楽になりました。(このメールは山頂班や東京事務局へも入るようになりました。この方法を事前に確認しておけばよかったと反省)

10:13 7合目、2790mにいるとのこと。
8合目あたりで連絡くださいと入れました。

12:23 携帯メールに、いま8合目、登り続けていると。
返信はe-mailから送りました。

14:13 吉田口山頂に到着、30分休憩して測候所へ向かうとのメール
「おめでとう!」と返信して山頂へ転送。
岩崎班長から「測候所の玄関に着いたら山頂班携帯に電話するように」とチャットが入り、それを伝えました。

15:32 山頂班に連絡するようにメールを入れたところ、15:50 測候所の前にいる。写真を撮って5分後に連絡するとのこと、トップの写真が山頂班から送られて登山終了。
1時間ほど仮眠して美しい夕日に備えるとのメールで、無事本日のサポート終了でした。

IMG_20180809_183321
 8月11日の夕日(この夏の山頂で見た屈指の美しさと撮影者・横山班長の話です)


8月12日(日)
昨日とは打って変わって山頂は雲の中でした(これが富士山の変わりやすい天気です)。
9:00 昨日のメールを再確認して、お昼に少しせかせすぎたかと反省し、お詫びと、下山については岩崎山頂班長とよく話し合うようにメールを送ったところ、「よく話しあって下山開始の時に知らせる」とのメールでした。(9:03)

11:50 須走5合目を目指して下山開始との連絡が山頂班から入りました。(12:23 Chrisからも携帯へ)
   「山頂に雲はないけど、山全体が雷雲に囲まれているので、二人が上手く抜けることを祈る」というチャットが山頂班から入りました。

12:56 8合目について温かいスープを飲んでいるとメール。ほっとして、山頂へ転送。

13:50 雷雲接近で山頂は商用電源断。昨日登山した小林喬生先生から御殿場は激しい雷との電話が山頂へ。
  (この件をSascha のメールに)

14:40 商用電源復活(これも知らせました)


15:25 砂走り5合目着とのメール。

16:49 須走5合目着。御殿場行のバスに乗った。電源が戻ってよかったとのメール。

無事、下山おめでとうメールと、二人の個人情報を捨てることをメールでしらせ、東京までの良い旅を!と打ちました。
これで何とか、初めての外国人だけの登下山サポートの任務完了でした。

(広報委員会)










 

このページのトップヘ