太郎坊のそよ風

認定NPO法人 富士山測候所を活用する会 スタッフブログ

カテゴリ: 夏期観測

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 今年の夏から3台体制になったWebカメラは、日本一高い位置から東西南の3方向をカバーしている

今年から東西2方向に南方向が加わり、3台になったライブカメラ。カメラのカバーする範囲は1.5倍に拡大し、学術科学研究に大きな威力を発揮してくれそうです。

とはいっても、経費を節減するため今年もネットオークションで購入した中古のWebカメラは、突然故障して数日間画像配信を停止させたり、画像の色が滲んだり不鮮明だったりと、必ずしも期待どおりの動きはしてくれていません。

こんなポンコツのライブカメラですが、8月14日(火)台風15号が日本に接近したときは、このページを1日で820人が訪れました。厳密には、重複を除いたユニーク訪問者数は677人ですが、これでも当サイトでは記録的な数字です。

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この日のアクセスログを分析したところ、3分の2強の457人がスマホからということがわかりました。どうやら悪天候の中、登山中に雲の上の山頂の様子を確認するのに利用されているようです。

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また、このサイトまでどこを経由してきているか(リファーラー)を見ると、「富士山なう(気象情報・ライブカメラ)」からが269人と圧倒的に多く、「富士さんぽ」が36人で続いており、直接当サイトに飛んできているのは201人でした。

*2年前には環境省からの申し出で、富士登山オフィシャルサイト(環境省、静岡県、山梨県による「富士山における適正利用推進協議会」が運営するサイト)からリンクが張られましたが、その後このリンクはなくなりました。

学術研究目的で設置しているライブカメラではありますが、こんなふうに雲で覆われた山頂の様子を登山中に確認できるのに使われているということは、防災面でも貢献しているとも言えなくもないと思います。

剣ヶ峰のライブカメラの一般公開も5年目を迎えますが、多くの研究者に研究データを提供している一方で、「日本一高所のライブカメラ」として登山者を含めて広く定着してきているようです。

そして、想いはすでに来年へ。今年の苦い経験を踏まえ、既存カメラは一斉更新され、4台に体制にすることでほぼ隙間なく山頂から周囲をカバーするようになる、という夢のような構想が・・・。

*なお、今年の3台目のライブカメラはWNI気象文化賞(畠山史郎)で購入したものです。記して感謝申し上げます)
(広報委員会)




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 無事測候所に到着したChris Renschler (右) と Sascha Keller(左) 

今年のトライアル研究グループの Chris Renschler Buffalo大学教授(東大併任)は、共同研究者のSascha Keller さんと8月11日山の日に徒歩登山で山頂まで行き、一泊して12日に下山しました。

Integrated mehtods for modeling and sustainable management of regional natural resources and hazards (Mt. Fuji, Japan)
地域資源・ハザードのモデル化と持続可能な管理のための総合的手法の開発(富士山、日本)
というタイトルで、今年は富士山頂で事前調査(トライアル利用)のための登山でした。東大農学部の西村拓教授と共同研究です。

先日、このブログで紹介した国際化に向けて英文ホームページを一新しましたが、早速の利用者で張り切って対応しました。マニュアルに従って「出発時に電話を入れて下さい」とお願いしたところ、突然、当日になって、
「電話では話ににくいので、メールにしてほしい」とのこと。あいにくガラケーの担当者はパニック状態。

日本語の携帯メールも敬遠しているのに、アルファベットを一字ずつ打ち込むのはショートメールでも10分以上かかります。それでも、他にうまい方法がないとのことで、慣れない入力を始めました。

8月11日(土、山の日)
6:45、河口湖で最初のバスに乗ったという連絡
山頂班の携帯へ転送して、「OK」と返信

8:35 8時に5合目を山頂へ向かって出発
山頂へ転送、「幸運を祈る」と返信

入力に苦戦していると、Saschaから、パソコンンへemailが入り、「携帯メールが不調なのでこちらに切り替える」とのこと、これですっかり連絡が楽になりました。(このメールは山頂班や東京事務局へも入るようになりました。この方法を事前に確認しておけばよかったと反省)

10:13 7合目、2790mにいるとのこと。
8合目あたりで連絡くださいと入れました。

12:23 携帯メールに、いま8合目、登り続けていると。
返信はe-mailから送りました。

14:13 吉田口山頂に到着、30分休憩して測候所へ向かうとのメール
「おめでとう!」と返信して山頂へ転送。
岩崎班長から「測候所の玄関に着いたら山頂班携帯に電話するように」とチャットが入り、それを伝えました。

15:32 山頂班に連絡するようにメールを入れたところ、15:50 測候所の前にいる。写真を撮って5分後に連絡するとのこと、トップの写真が山頂班から送られて登山終了。
1時間ほど仮眠して美しい夕日に備えるとのメールで、無事本日のサポート終了でした。

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 8月11日の夕日(この夏の山頂で見た屈指の美しさと撮影者・横山班長の話です)


8月12日(日)
昨日とは打って変わって山頂は雲の中でした(これが富士山の変わりやすい天気です)。
9:00 昨日のメールを再確認して、お昼に少しせかせすぎたかと反省し、お詫びと、下山については岩崎山頂班長とよく話し合うようにメールを送ったところ、「よく話しあって下山開始の時に知らせる」とのメールでした。(9:03)

11:50 須走5合目を目指して下山開始との連絡が山頂班から入りました。(12:23 Chrisからも携帯へ)
   「山頂に雲はないけど、山全体が雷雲に囲まれているので、二人が上手く抜けることを祈る」というチャットが山頂班から入りました。

12:56 8合目について温かいスープを飲んでいるとメール。ほっとして、山頂へ転送。

13:50 雷雲接近で山頂は商用電源断。昨日登山した小林喬生先生から御殿場は激しい雷との電話が山頂へ。
  (この件をSascha のメールに)

14:40 商用電源復活(これも知らせました)


15:25 砂走り5合目着とのメール。

16:49 須走5合目着。御殿場行のバスに乗った。電源が戻ってよかったとのメール。

無事、下山おめでとうメールと、二人の個人情報を捨てることをメールでしらせ、東京までの良い旅を!と打ちました。
これで何とか、初めての外国人だけの登下山サポートの任務完了でした。

(広報委員会)










 

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 富士山測候所北側の貯水槽の上で行った風力主体ハイブリッド発電機の実証実験(Youtubeへリンク)

ネパール高所非電化農村地帯向け風力主体ハイブリッド発電機の実証実験
桐原悦雄,三沢一浩(産業技術大学院大学)
ネパールの電源確保のため再生エネルギー発電の有効活用を目指して、風力を主にしたハイブリッド発電機を設置した。今後は3千㍍級山村の電力供給に向けて無電化農村地帯の課題である「突風で羽根破損がないか」の試験・実験を日本の富士山頂で実証して、ネパール山村に展開する。

ネパールの高度3千㍍級の山村地帯は、まだ電化されていないところも多いそうです。この非電化農村地帯に電力を供給するという社会課題の解決のために、産業技術大学院大学・村越教授研究室が持ち運び可能な風力発電と太陽光発電システムを組み合わせたハイブリッド発電システムの開発に取り組んでいます。

プロジェクトの代表者・桐原悦雄氏は昨年の夏、トライアル利用で参加し山頂で設置場所などを現地調査。今回の山頂での実証実験にあたっては、チューター(産総研・兼保直樹研究グループ長)のアドバイスも受けて安全性を高めるための改良を重ね、地上での入念な試験を行って臨みました。

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 地上での準備風景。安全対策として安全柵の設置,土台をアイボルトによる固定に改良

発電システムは、7月23日から24日にかけて測候所北端の旧水槽の上に取り付け。作業は約1時間で完了。風力と太陽光による発電を行い、小型のバッテリーに蓄電できることが確認できました。今回の試験結果では、予定していた内容をすべてクリア。持ち運びが可能で簡単に電力が使えることで、社会課題解決の可能性は広がりそうです。

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 発電試験を監視するコントローラにより記録機材は,天候を考慮しクリアBOXに収納

また、試験状態を無線WEBカメラによりインターネットを利用して地上から遠隔監視しました。5分間隔(撮影間隔は設定により変更可能)で状況写真を自動的に撮影し、撮影データをクラウド上に保管する取り組みにも成功しました。

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(上)持ち運びできる風力発電と太陽光発電システム手前のBOXにWEBカメラを設置(下)Webカメラが自動撮影した画像。左から7月24日の10:05、12:00、15:20に撮影

これにより,運転状態の確認に加えて,気象の変化も遠隔で状況把握が可能になることから,各方面での利用用途に可能性が広がります。今後は、より発電効率の向上を目指し改良を加え、試作品の設計情報の公開も目指して行くそうです。

さらにこの秋には富士山麓太郎坊(標高1,300㍍)で約1ヶ月間の地上試験を行う計画も浮上しているとか。富士山体をフルに活用したプロジェクトの成果に期待も高まります。

(関連記事)
ネパールで風力発電の伝道師に 富士通を定年退職の横浜・桐原悦雄さん(東京新聞)

(広報委員会)


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180809葉書裏

先日の山頂からの「消印付スペシャル暑中見舞い」には御殿場の環境協会からも反響がありました。

案内所のお客様には今年のライブカメラご紹介しています。珍しい角度でびっくりされます。
開かれた研究は山頂への魅力と観測タワーへの理解が進みますね。
引き続き、みなさまのご活動を下から応援させていただきます。

との有難いご返事です。
なお、この観光協会案内所にはNPOのパンフも置かせていただいています。

(広報委員会)


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 1990年代の測候所(佐藤政博撮影)


1990年代まで富士山レーダーを擁して「台風の砦」であった富士山測候所は、当然のことながら、台風に襲われることが多いところです。上空の大気の動きが速いため、山頂では台風の影響は地上より数時間早く現れます。

立平良三・元気象庁長官は、富士山測候所勤務を経験された方ですが、「富士山測候所との10年」(変わる富士山測候所、春風社、2004)の中で次のように書いておられます。


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・・・・・・期待通り、富士山レーダーは南方洋上から接近する台風を、500~600kmもの遠方から監視する役割を果たしてきました。富士山のレドームは秒速100mの強風にも耐えることのできる設計でしたが、一度だけ、レドーム(レーダードーム)のフレームに取り付けられている強化プラスチック(一辺2m程度の三角形)が破損したことがあります。1966年台風26号が富士山の西側を通過した時のことです。このとき、山頂の風速計は最大風速91.0mを記録、その後壊れてしまいました。


強風はベルヌーイの定理が示すように、レドーム内の静止空気より気圧が低いため、内部の空気は破損部分から吸い出され、床に張られていた防水用のゴムシートは膨れ上がり、裂け目が生じました。雨水が裂け目から降りかかり、危険を避けるために送信を停止せざるを得ない状況にい陥りました。この時台風の中心は既に山梨県付近まで移動、ほかのレーダーに観測を引き継ぐことで富士山レーダーは任務を全うすることが出来ました。破れたプラスチックパネルはレドームの下部に取り付けられていたもので、風によってではなく、飛ばされた岩石が衝突して破れたものと推察されます。風だけなら、設計通り十分に持ちこたえたでしょう。

   ・・・・・・・・・・


その後、大型パネルに強大な風圧が直接かかり、ねじれて掛け金が外れ、内側に倒れ掛かってきました。80kgもあるパネルを5人がかりで必死に支え、重い箱や心張り棒に少しずつ置き換え、一時間ほど耐え抜きました。パネルが倒れていたら、塔内のレーダー機器や地上観測機器は水浸しになり、大損害はまぬかれなかったでしょう。・・・・ 


NPOが夏の2か月、管理運営するようになってからも、台風による影響は多く出ていますが、会報誌『芙蓉の新風』の中から、台風関連を拾ってみると:2007の開所時の台風のあと、2009年長澤先生グループが登山中止、2011年見学会見合せ、2014年7月に大型台風8号接近で一時閉所下山(生越班長)、2015年、大気化学の荷揚げと重なったり、ブラタモリの撮影がぎりぎりだったり、2016年は7.8でブルが断念して下山(大河内研、8.21)など。

これらは、山頂班の岩崎班長が「通常業務の範囲です」といわれるものがほとんどですが、今年はどうやら、それ以上の「当たり年」のような予感があります。前回の台風12号は東から西へ動く異例のコースをとり、仮設庁舎の雪囲いにも被害をもたらしましたが、今回の様子は(岩崎班長のチャットによると)

徐々に風が強まっています。風が前回と同じNNEなので、雪囲いが無くなった所からの吹込みが強く、仮設(庁舎)ー4号(庁舎)間の連結部分が脆弱で、危険だったので応急処置をしていました。
相変わらず風圧でドアの開け閉めが大変です。酔っぱらっている訳では無いのですが、小刻みに仮設が揺れています。(笑)長い1日になりそうです。まあ、いつものことですが、気持ちよくはないですね。
仮設はあちこちから風が吹き込んで結構寒いです。最近床下からも吹き上がって来ます。


とのことで、一昨日(8月7日)、研究者たちを急きょ下山させた山頂班の判断に感謝して、台風13号が12号で傷んだ仮設庁舎を吹き飛ばさないことを祈って長い一日が過ぎました。何とか無事にやり過ごしてほっとしていますが、南海上には台風14号が発生したとか・・・心配の種はつきません。

(広報委員会)




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