太郎坊のそよ風

認定NPO法人 富士山測候所を活用する会 スタッフブログ

カテゴリ: 講演

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  前列中央がラス・シュネル博士(2006年3月4日、NPO主催の国際シンポジウム@学士会館で)

  ラッセル C. シュネル博士は、2006年以来、NPOの主催する国際集会に出席して、その後、台湾などいくつかの共同研究に参加するなど、本NPOの富士山測候所を活用する仕事を精力的に応援してくださいました。本NPO法人が富士山測候所の国際的有効利用に向けて2006年にアピール宣言を提出しましたが、その英文はシュネルさんにお願いしました。

  昨年11月に御殿場市で開催したACPM2017には、いち早く参加の意思を示され、NOAAの研究発表を予定しておられました。こちらも10周年を迎えたNPOの成果を見ていただけると張り切っていたのですが、この時は直前になって体調不良で欠席されました。

  今回は、韓国への出張の途中で日本に立ち寄って、この特別講演を引き受けてくださいました。シュネルさんはポスターでご紹介したとおり、大気ベースライン観測の専門家で、Natureなど160報の原著論文を含めて300報以上の論文があり、受賞歴も19件に上ります。特にオゾン層の研究では、1988年ノーベル化学賞の受賞者、Paul Crutzenとの共同研究のような、第一線の研究を長年続けてこられ、いまでも、2018年に既報2、印刷中5、投稿中1、の現役の研究者です。  2007年にアル・ゴア氏とともにIPCCがノーベル平和賞を受賞したときのメンバーの一人でもあります。

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         シュネルさんと作品の「Little Free Libraries」(2018)

  シュネルさんはこのような素晴らしい科学者ですが、旅行が趣味で南極大陸を含めて世界91カ国を旅しながら研究を続け、今回の日本訪問のもう一つの目的は、45年前シベリア鉄道を旅した仲間に、会うことも含まれるとか。

  趣味は木工細工、写真に示すような「小さい木製の図書館」をたくさん作って、設置することで、既に4カ国に21個設置したとか、富士山にも一つ・・・というお話もあり、楽しみにしています。

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日  時: 2018年10月26日(金)15:00-17:40
会  場: 東京理科大学神楽坂キャンパス 2号館 2階 221号室
プログラム:
15:05-15:30 
Trace gas observation at the summit of Mt. Fuji during summer
 加藤俊吾 首都大学東京 准教授
15:30-15:55 
Change of carbon cycle in the Asian region from the analysis of CO2 data at Mt. Fuji
野村渉平 国立環境研究所 博士研究員
16:20-17:20  
The Air We Breathe: It is not what it used to be
Dr. Russ C Schnell
ラッセル C. シュネル  米国海洋大気局(NOAA)全球大気モニタリング部 副部長
(広報委員会)

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 鴨川先生の講演

 鴨川先生の講演テーマは、「自然災害研究の最前線 ~自分の身を守るために知っておくこと」
何も起こらなければ、ついつい防災意識が薄れてしまうということはありませんか?また、現代科学のレベルならば、自然災害の予測技術で、何かあってもなんとかなると思うことはないでしょうか?
しかし、高度化した現代科学でも自然災害に対してまだまだ無力であり、日々研究者は戦っています。その最前線を知り、災害予測情報をどう活用すればいいのか、どう防災意識を保てばよいのかを考えます。
 配付資料にあるように、富士山測候所で得られた雷研究の内容も含めて、分かり易い講演で40名以上の聴衆が聞き入りました。

  講演の前半では、こういった講演では珍しい、短時間で高校物理の電磁気学を科学史を交えながら短時間で学ぶというお話。この電磁気学をおさらいすることによって、以後の自然災害科学防災の新機軸観測で如何に電磁気が役にたつかという講演の深い理解につながってきます。そして、我らが、富士山で得られた雷研究の成果を講演し、下界では成し遂げない研究がいかに災害予測に役にたつかという話につながっていきました。

  後半は、地震と津波の予測の現状について、電磁気観測の有益性などのお話になり、最後に質疑応答という運びになりました。

  本講演の特徴は、横浜市立中央図書館で開催されているということ。つまり、講演に関係する書籍、それも講師が指定したものやその関係書籍がすべて用意され、聴衆は借りることもできるのです。NPOについていえば、畠山理事長、三浦事務局長らが中心となって執筆したPM2.5の一般向け書籍富士山の科学研究史やNPOの活動をくまなく熟知している土器屋理事の最新新書など、多数の書籍が用意されています。

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 図書館で準備された関係図書  

 また、富士山の講義で出てきた、新田次郎著・芙蓉の人や、富士山レーダーの設置ドキュメンタリーを映像化・書籍化したプロジェクトXなどは、講師が事前に指定しなかったものの、講演中で話題となったら、直ちに図書館スタッフが書籍を持ってきてくださるという他の講演会では見られない連携プレイがありました。

 司会を担当された図書館の神谷さんからは
本日のご講演、誠にありがとうございました。
電気の発見史から丁寧にご説明いただき、大変わかりやすく、また、津波予測等、研究の最新情報を知ることができ、大変興味深く聞かせていただきました。
また、各所で図書館資料もご紹介いただけたことで、展示しました図書への利用につながったのではないかとうれしく感じております。
というメールをいただきました。

  講演終了後は、鴨川先生が、高校生時代に通いつめた懐かしいこの図書館で、近隣の中華料理店も健在だったとか。この中華料理店、知る人ぞ知る店で、「チートとパタンと言ってピンとくる人がいるかと思います。


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 有益で懐かしい講演会で、NPO法人富士山測候所を活用する会のPRもぬかりなくやって頂けたようです。

(広報委員会)

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去る6月3日(日)NPO法人富士山測候所を活用する会総会後の1時間、東京大学大学院教授・理研香取量子計測研究室の香取秀俊先生をお招きし、特別講演会「時空のゆがみを見る時計」が催されました。講演会には会員のほかに、東京理科大学や東京学芸大学の学生等を含め約50名の聴衆が熱心に聞きいりました。
一般人だったら日常それほどは気にしていない時計の精度、またもっと気にしていないであろう相対性理論、それらはGPS等の測位衛星で、自分たちの時刻と位置を決定するのに共に重要な役割を果たしてくれることから香取先生の講演は始まります。

測位衛星にはセシウム原子時計が内蔵され、相対性理論(高度の違いで時間の進みが変わる)を考慮して、現代では時刻と位置を決定するのが当たり前になっています。位置を知るといえば、標高を知ることも重要なこと。「標高を測ることの面白さ」に始まるお話の枕には、伊能忠敬の地図への言及もありました。

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日常にある高精度時計の誤差はどの程度でしょうか?
高精度と言われている時計は通常年差10秒程度です。この誤差は

          
10s/year = (10 s)/(60×60×24×365 s)3x10-7(1年に10秒の狂い)

と我々にとっては非常に高い精度に思えます。
しかし、現在「秒」の定義の基本となっており、測位衛星にも内蔵されているセシウム原子時計の精度は
 ≒ 10-15 (3000万年に1秒の狂い)
となると、先ほど話をした時刻、位置決定が人工衛星からでき、相対性理論を考えるようになってくるわけです。これでも十分だと思いきや、香取先生の発明した光格子時計では
 ≒ 10-18 ( 300億年に1秒の狂い)
と宇宙誕生の歴史(138億年)の倍の時間があっても1秒しか狂わないという信じられない精度になってきます。となってくると、1秒という定義が原子時計で行われているものから、いずれはこの光格子時計がその役目を担うようになるだろうと考えられます。

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光格子時計は、ストロンチウムなどの原子をレーザー冷却による絶対0℃に近い、0.0000001 Kで冷やし、格子状になったポテンシャルにこの原子を閉じ込めこのポテンシャルにトラップされた原子の励起と脱励起の振動で高精度の振動を得ているようです。

時刻精度がここまでよいとなると日常の生活を変えるような応用をもたらすことができます。例えば、高度差を相対性理論から導出できるようになります。

同じテーブルに2台置いた測定器からのビートを共鳴させ、わずか2cmのズレなども計測できるという革新的技術、などなど。難しい概念と言葉が、香取先生のスライドを見ているとなんとなくわかったような気分になるから不思議でした。
「光格子時計でダークマターが分かるかもしれない」
「アインシュタインの相対性理論は大丈夫だろうか?」
「物理定数は本当に定数か?」
といった刺激的な言葉が飛び交い、司会の鴨川先生はじめ多くの聴衆が興奮の渦に巻き込まれました。

今年1月の「週刊朝日」で「次のノーベル賞候補はだれか?特集」に選ばれた香取先生ですが、ここまで
門外漢の人たちでもわからせてしまった圧倒的講演でした。
(広報委員会)


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第20回専修大学自然科学研究所公開講演会のチラシ

11月18日(土)専修大学生田校舎で開催された第20回専修大学自然科学研究所公開講演会『現地観測からわかること-地面から富士山頂まで-』で『雲の上でとらえる環境変化-富士山測候所での観測について』と題して講演しました。

当日は、昼から荒れ模様のあいにくの天候でしたが、今年春に完成した専修大学新 2号館ラーニングスタジオ211教室に 90名余の参加者があり、赤坂郁美・准教授によるヒートアイランドや桜の開花の話に続いて、富士山測候所の現状について話しました。

地域に定着した行事としてれおこなわれる講演会とのことです。熱心な参加者の中には気象に興味を持つ方が多くおられ、富士山レーダーのその後を含めて活発な議論があり、NPOの活動に関する応援もいただきました。

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 受付に置いてくださった富士山測候所を活用する会への募金箱

自然科学研究所のご厚意で受付に「募金箱」を置いて下さったのですが、終わって開けて頂いたところ「12,266円」という高額のご寄附で感動しました。この場を借りてお礼申し上げます。(土器屋)

*ご寄附についてはこちらでも紹介させていただきました。
 Home>支援活動>ご寄付をいただいた皆様

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 エクステンション講座が開かれたさくらWorksの会場

横浜市立大学が、市民の学習意欲に応えるため、さまざまな学習機会を提供しているエクステンション講座。平成28年度講座に(小・中学生の親子向け)「自然は嘘をつかない―海、山、川、自然の深層から、環境を知る。―」がある。

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3月18日(土)その講座の3回目として「富士山測候所は知っている。大気の健康」と題して、土器屋由紀子理事が講師を担当した。

通常の講演と違って相手は小学生。しかも、学齢も1年生から6年制まで幅がある。「飽きる子どもも想定されるので、お話全体の流れや、途中クイズを挟む、何かを考えて記述させる、動画を視聴等、ご一考頂ければと思います。アトラクション的な仕立てをお考えでしたら、準備する資材等もご相談下さい」など、事前準備依頼のメールも微細にわたっている。

スライドの中の漢字という漢字にはすべてルビを振ったり、3択クイズの問題を捻り出したり、直径70㌢ほどの地球の風船を山梨大学の小林先生から取り寄せたり、それを膨らませるための空気入れを手配したり、・・・。考えようによっては、専門家を相手にするよりは、子供目線で伝えることのほうがずーっと難しいことかもしれない。

本日、横浜市立大エクステンション講座「小中学生の親子対象」 自然はうそをつかない~海、山、川、自然の深層から、 環境を知る~第3回「富士山は知っている。大気の健康」 の講義を無事終了しました。

9時半にさくらWorksの会場に行ったら、市大・研究基盤課・ 地域貢献担当の斉藤亜紀子さんが一人で風船と空気入れで格闘して おられました。そのうち、 大賀さんが現れて一緒に膨らませて下さり、 10時にはインターネットもつながって無事開催、 親子連れは8組、小学生は10名程度でした。

ちょっと難しい話かな・・と心配したのですが、 皆さん寝ないで何とか最後まで付き合ってくださって、「 山頂のお風呂やトイレはどうしているのですか?」とか「食べ物は?」など、質問も多くて、 結構わかっていただけたようです。

当日、お土産用に配ったレーダードームのペーパークラフトはことのほか好評で、講義を聞きながら、はさみを出して切り抜いている男子生徒(多分高学年)もいました。ペットボトルのへこみ方について、ちゃんと「空気の圧力ですか?」と答えてくれたり、元気な生徒さんでした。

最後に6年生(?) の女子生徒さんが「(富士山測候所に)遊びに行けますか?」 と聞いてくれたのですが、「見学会の時はよいのですが、 突然では難しい。事前に保護者と一緒に相談してください」 というような返事をしておきました。

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講義が終わった後で、 風船をつぶすのを手伝ってくれた兄妹。 お礼に富士山シールを沢山あげました。子供たちは風船を気に入ったようで結構遊んでくれました。
教育は地道な活動ではあるが、研究活動と並んで主要事業の柱として位置づけているものである。今回の講義をきっかけに、講演スライドを始め、ホームページ、教材、ノベルティグッズなどで、未来を担う子どもたちに科学への興味関心を持ってもらうようなコンテンツづくりも心がけていきたいものである。

※本講座は、横浜市立大学がヨコハマ・エコ・スクール(YES)と協働パートナーとして実施しているものである。昨年は、YESからの依頼で、横浜市の温暖化対策に関わる啓発事業としてのFMヨコハマの番組コーナーで7月8日、15日の2回、富士山測候所の活用の現状や二酸化炭素測定などについて、土器屋理事がインタビュー出演している。

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