太郎坊のそよ風

認定NPO法人 富士山測候所を活用する会 オフィシャルブログ

カテゴリ: 地震火山

阪神淡路大震災から28年
 今年の1月で阪神淡路大震災から28年が経過しました。また9月には関東大震災の発生から丁度100年となり、すでに色々なプロジェクトが始動しています。
 1995年1月17日、兵庫県を中心とする地域でマグニチュード7を超える直下型地震(兵庫県南部地震)が発生しました。これが阪神淡路大震災です。もはや今の大学生にとっては教科書の中の出来事であり、兵庫県で大きな地震が発生した事自体を知らない学生も多くなってきました。
 それまで「地震だ、すぐ火を消そう」という事が地震発生時に最も強調されていました。これは関東大震災で多くの方が火災で亡くなったという経験に基づいています。
 それに対し、阪神淡路大震災では建物倒壊が死者が増えた大きな原因でした。そのため、耐震補強の重要性が強調されるきっかけとなった震災となりました。
 この地震発生まで、地震観測網は基本的に気象庁が全国展開し、一部東海地方等に当時の科学技術庁・防災科学技術研究所が観測網を展開していました。いわゆる大学(旧制帝大と分類されている大学:東大、京大、東北大、北大など)は、微小地震観測網を大学独自で展開していましたが、そのデータはリアルタイムでは共有されていませんでした。
 そのため、科学技術庁(当時)は、高密度の地震観測網の全国展開を計画し、それが実現する事になりました(現在の高感度地震観測網:Hi-net)。ある意味、当時の文部省と科技庁の大型科学研究の綱引きの結果、科技庁が勝利したのです。

国立研究開発法人 防災科学技術研究所
Hi-net 感度地震観測網
https://www.hinet.bosai.go.jp/summary/?LANG=ja

次の図は地震観測網の発展を示したものです。いまや陸域ではおよそ1000点に達しています。

スクリーンショット 2023-01-16 8.32.24

 次の図は1970年以降に発生したマグニチュード1以上のすべての地震を図示しています。日本列島が見えなくなるほど数多くの地震が発生しています(地震数として200万個以上!)。色の違いは地震が発生した深さの違いです。

1970-2022M1D700

 これらの地震がいつ発生したかについてのグラフが次になります。一年ごとの地震発生数(観測数)となっています。

スクリーンショット 2023-01-16 8.44.16

 グラフを見ますと、地震発生数が年を追うごとに段々増えている事がわかります。そして2011年には地震数が突出して増えています。これは東日本大震災の影響ですが、はたして日本列島の地震活動が活発化しているのでしょうか? 
 この種明かしは次回以降のブログで行ないたいと思います。

(文責:長尾年恭)

種明かしは来週です。是非ご注目を!
 (広報委員会)





認定NPO法人富士山測候所を活用する会とは


2004年に無人化され、いずれ取り壊しの運命にあった旧富士山測候所。
富士山測候所を活用する会は、この施設を国から借り受け研究・教育の拠点にしようという構想で、2005年に大気化学や高所医学などの研究者が主体となって立ち上げたNPO法人です。

また
富士山頂という厳しい環境の中、その修理費・維持費や、運営費など
年間3000万円という莫大なコストが掛かるのです。

しかしながら、資金面に関しては、
公的補助もなく研究利用費だけで運営しております。

そこで、皆様からご支援、会員になっていただき未来へ
つなぐ研究の手助けをどうぞよろしくお願いいたします。

本NPOは、認定NPO法人(認定NPO法人は全NPOの2%しかない)です。
ご寄付に関しては、控除もありますので詳しくはウェブサイトなどでご確認ください。


 少し前となりますが、2021年9月19日、槍ヶ岳周辺を震源とする地震があり、岐阜県高山市で震度4、長野県内では安曇野市で震度3を観測しました。この地震では、上高地周辺の明神岳等で、大きな崩落が発生し、その記録が映像として残っています。

“地震で崖崩れか?山肌に砂煙を上げる長野・明神岳 飛騨地方で震度4の地震があった19日夕撮影”


 巷間でよく言われる事に、「地下は地表より揺れない」というのがありますが、それは本当なのでしょうか?これはエネルギー保存法則の点から一般的には本当なのです。
 地震は地下深くで発生し、その揺れが地表に到達します。理論的には地表は地下の2倍揺れる事が知られています。
 これは空間に対してどれくらいの割合が空中か地中かという事が関係しています。横から見ると空間全体の角度は360度となります。それに対して地表面が存在しますと2次元的には地下の部分は半分の180度となります。
 そのため、360度÷180度=2 となり、地表では地下の2倍の増幅率となるのです。もう少しきちんと説明しますと、これは立体角(ステラジアンという単位)という概念が関係してきます。

地表と地下の揺れの違いver2のコピー

 これは地下を伝わってきた地震波のエネルギーが地表で開放される時には、半分の空間ですべて放出されるという事を意味します。

 同様に空中と地下との割合という考え方から、がけ地形では揺れが4倍(図のように稜線が90度だった場合)に増幅される事になります。そのため、稜線上や富士山頂では、地表と比べても、さらに大きく揺れる事が予想されます。

山の稜線の揺れver2ff

 明神岳の崩落のように、登山中に地震に遭遇しますと、落石が発生する事が予想されます。やはりヘルメットは登山者にとって、必須のアイテムと考えます。
                              (文責:長尾年恭)

お待たせしましたが、前回のブログに続きて、長尾年恭理事の投稿ブログ2023-2をお届けしました。
まだ続きがあります。ますますご期待ください。
(広報委員会)



認定NPO法人富士山測候所を活用する会とは


2004年に無人化され、いずれ取り壊しの運命にあった旧富士山測候所。
富士山測候所を活用する会は、この施設を国から借り受け研究・教育の拠点にしようという構想で、2005年に大気化学や高所医学などの研究者が主体となって立ち上げたNPO法人です。

また
富士山頂という厳しい環境の中、その修理費・維持費や、運営費など
年間3000万円という莫大なコストが掛かるのです。

しかしながら、資金面に関しては、
公的補助もなく研究利用費だけで運営しております。

そこで、皆様からご支援、会員になっていただき未来へ
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ご寄付に関しては、控除もありますので詳しくはウェブサイトなどでご確認ください。


2022年の日本列島およびその周辺における地震活動について

 2022年は、全体として日本列島およびその周辺における地震活動は、それほど活発とは言えず、平均的な活動であったと言えるようです。

 2022年に発生した最大の地震は3月16日に福島沖で発生したマグニチュード7.4の地震でした。この地震で宮城県や福島県の一部で震度6強の揺れを観測しました。ちなみに2022年にマグニチュード7を超える地震はこの1回だけという状況でした。

 この地震により、死者3人、負傷者247人、さらに5万棟近くの住家が被害を受けました。特に東北新幹線は東京発仙台行きの「やまびこ223号」(17両編成)が、福島-白石蔵王間で17両のうち16両が脱線しました。さらに、高架橋の損傷や電化柱の傾斜、橋脚の崩落などの大きな被害が発生しました。このため、運休が長期間に及ぶ可能性もあるとされましたが、予想より順調に復旧が進み、地震からおよそ一ヶ月後の4月14日に全線運転が再開されました。ただ、通常ダイヤに戻ったのは5月13日となりました。

 次の図は2022年に発生したマグニチュード5以上のすべての地震です。一年間で188個が発生しました。福島沖や宮城沖で少しまとまった活動があった事と、台湾周辺でかなり活発な活動がありました。また台湾付近を除いたマグニチュード6以上の地震は12回発生しました。

2022M5


 2022年は内陸(陸域)での地震発生が少なかったと言えると思います。能登半島では、2021年から群発地震活動の様相を示している事と、北海道・稚内近郊で8月に北海道北部としては、やや規模の大きな内陸地震が発生した事が特徴的でした。
 
  ちなみに2021年4月から、気象庁は東北沖の地震活動については、「東日本大震災(地震名は東北地方太平洋沖地震)の余震」という表現を使わない事を決定しました。実際には東北地方太平洋沖地震クラスの地震が発生しますと、余震活動は地震学的には100年ぐらいは平気で続くのですが、厳密な余震かどうかという判断が難しい事と、社会的にも地震から10年以上経過し、人間の感覚として「余震」という言葉がなじまなくなってきたと考えられるためです。

 「2022年はそれほど活発的とは言えず」と最初に述べましたが、それでは2021年はどうだったのでしょうか。実は2021年も台湾付近を除いたマグニチュード6以上の地震は12回と、2022年と同数でした。地震活動そのものの特徴については、また機会を改めてこのブログで紹介していきたいと考えています。

2021M5D300

2022年の富士山周辺の地震活動

 2022年は富士山を中心とした中部地方・関東地方の地震活動はかなり落ち着いた状態だったと判断できます。富士山近傍では、山梨県東部に”地震の巣”と呼ばれている地域があるのですが、2022年の活動は低調でした。地震学的には富士山は安定した状態と言えると考えています。

aroundFuji2022


(文責:長尾年恭)
長尾年恭理事による投稿ブログをシリーズでお送りしております。
次回は「地震の揺れ方」について目から鱗の解説です。ご期待ください。
 (広報委員会)





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