太郎坊のそよ風

認定NPO法人 富士山測候所を活用する会 オフィシャルブログ


 富士山測候所(7月23日撮影)

認定NPO法人富士山測候所を活用する会は、9月6日(月)富士山測候所の商用電源を切り、11時32分に閉所しました。
18年目の夏期観測となった今年は、68日間の観測期間に401人の研究者が32プロジェクトを実施しました。



本NPOは、気象庁から富士山測候所庁舎の一部を借り受け、毎年7月・8月に公募で選ばれたグループの研究・活用に供し、富士山頂及び太郎坊他において夏期観測を実施しています。


 測候所内の空気を入れ替えています 

2023年に新型コロナ感染症が5類感染症へ移行してから2度目の夏期観測ですが、健康管理上脆弱な山頂の環境では特別な注意が要求されます。万全の感染症対策の下の夏期観測もすでに4年目となり、本年も無事に終了できたことは山頂での健康管理も定着したと言ってよいと思います。


 取材を受ける大河内副理事長(7月23日撮影)

2024年夏期観測の研究・活用テーマは夏期観測特設サイトからご覧になれます。

トピックスとしては、本NPOの富士山環境科学研究センター・長尾年恭シニアリサーチフェローが研究代表者となった初の科学研究費補助金事業「電磁気学的データの高度情報処理を主とした富士山噴火予測制度の向上に関する研究」がスタートしたこと。
また、昨年世界的に注目された大河内博副理事長を中心とした早稲田大学チームのマイクロプラスチックの観測研究に加えて、加藤俊吾理事率いる都立大学チームの火山ガスを含めた微量ガスの連続観測など継続研究、微生物やウィルスなどの多角的な研究などが挙げられます。


 高所医学研究グループによる自律神経機能の測定風景(2024年8月3日、提供:小森孝洋)

特に、コロナ感染症による中断を経て、5年ぶりに高所医学研究部門においても、井出里香理事グループの「富士山における睡眠時無呼吸症候群の評価及び急性高山病、血圧への影響」や自治医科大学小森孝洋教授グループの「高所滞在中の血行動態に自律神経が及ぼす影響についての検討」の研究が行われました。

さらに、亀谷伸子博士グループ(山梨県富士山科学研究所)の「富士山頂における火山噴出物の調査」に関する地質学的な研究も新たに加わり、富士山ならではの立地を利用した研究分野の拡がりが見られるシーズンになり、次年度のさらなる利用拡大につながることが期待されます。


 太郎坊での観測風景(7月23日撮影)

活用部門では、2020年のクラウドファンディングのリターンとして「富士山科学学校(ガイドつき富士山登山とレクチャー受講)」が行われました。


 クラウドファンディングで測候所を訪れた松井様ご夫妻と大河内副理事長(7月23日撮影)

また、青山シビルエンジニヤリング株式会社による「気象の変化による富士登山者の動態調査」も行われ、気象データや山頂のカメラ画像を一般向けに「イマフジ」サイトとして提供する事業も今年から本格稼働しました。


 測候所の屋根に設置された青山シビルエンジニヤリング株式会社の観測機器(7月23日撮影)

2024年度夏期観測プロジェクト一覧はこちらをご覧ください。

青山シビルエンジニヤリング株式会社のカメラで撮影された映像、その他mush(植田めぐみさんのx.com:https://x.com/mushphoto)より集計したご来光アーカイブはこちら

今年度のプロジェクトの一部は、一般財団法人WNI気象文化創造センター、Yahoo!基金、公益信託大成建設自然・歴史環境基金、富士山後世継承事業費補助金からの助成、一般財団法人新技術振興渡辺記念会からの受託を受けました。また、ユビックス株式会社からは、パルスオキシメーターと非接触放射体温計の無償貸与を、2021年から継続して受けています。

個人や団体からも多数の寄付を頂きました。ご支援に改めて感謝申し上げます。

今年の夏期観測で得られた研究成果は、すでにいくつかの学会で発表したものもありますが、本NPOウェブサイト(成果報告会公式ページ)で順次速報するほか、2025年3月開催予定の第18回成果報告会で発表いたします。 


 取材を受ける鴨川副理事長、大河内副理事長、加藤理事(7月23日撮影)

2024年中に取材を受けたテレビ番組についての今後放送スケジュールは、放送日が決まり次第公式ブログ、SNS等でお知らせします。


2024夏期観測は、「大成建設自然・歴史環境基金」「WNI気象文化創造センター」「Yahoo!基金」他の助成金を受けて開催されました。


(広報委員会)
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富士山測候所を活用する会では、ウェブサイトにて寄付を募っています。主旨や活動にご賛同いただけましたら、ぜひご支援をお願いします。

また、会員を募集しています。
会員特典として、会報誌『芙蓉の新風』(年1回発行)の送付、富士山頂郵便局スタンプ付きの暑中見舞いをお送りするなどの他、ウェブサイトの会員限定ページでは、山頂からのライブカメラ画像のアーカイブをはじめとするコンテンツをご覧いただくことができます。

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2024年9月11日〜13日に開催された第65回大気環境学会年会(慶應義塾大学日吉キャンパス、横浜市)にて、本NPOの加藤俊吾理事(東京都立大学)が指導する野田琴音さん、青木紳悟さんが学生・若手研究者優秀発表賞(ポスター部門)を受賞しました!

野田琴音さん(東京都立大学)
「富士山麓の太郎坊におけるCO、O3、SO2の長期観測」


 左から、奥田知明年会長(慶應義塾大学)と野田さん(撮影:村田浩太郎)

青木紳悟さん(東京都立大学)
「電気化学センサーを用いた富士山近傍での火山ガスモニタリング」


 左から、奥田年会長と青木さん(撮影:村田浩太郎)

西日があたって過酷な暑さのポスター会場でしたが、それに負けない熱さの発表でした。


 発表の合間の一枚。左から、村田浩太郎理事、渡辺幸一会員(富山県立大学)、野田さん、米持真一会員(埼玉県環境科学国際センター)(撮影:土器屋由紀子)

懇親会中に執り行われた授賞式では、「富士山測候所を活用する会」チームで集まって受賞者を囲みました。


 左から、和田龍一理事、皆巳幸也事務局長、南齋勉理事、土器屋由紀子理事、野田さん、青木さん、加藤俊吾理事、横田久司東京事務所長(撮影:村田浩太郎)


 東京都立大学チームの3人で一枚。嬉しそうな加藤理事(撮影:村田浩太郎)

もちろん、他にも富士山関係の素晴らしい研究発表が行われました。
小山有宇理さん(東京都立大学)
「夏季富士山頂における大気汚染物質の長期観測と経年変化」


 写真右端が暑い中頑張って研究の説明をする小山さん(撮影:土器屋由紀子)

 岡本大地さん(静岡理工科大学)
 「富士山麓におけるドローン採取による単一雲滴分析に基づく雲成長過程の検討」

  皆巳事務局長(手前)に説明している岡本さん(奥)(撮影:村田浩太郎)

南齋勉理事(静岡理工科大学)
  • シンポジウム「自身の強みで切り開く大気環境研究の道 〜心事の棚卸し〜」
  • 市民集会「大気観測におけるドローンの最新技術の利活用 講演とデモ飛行」での「ドローン飛行に関するルールとドローンを用いた雲粒サンプリング研究の紹介」
どちらのイベントも100名は軽く超えるほどの参加者の中、太郎坊でのドローン観測や富士山頂での雲粒採取の取り組みと共に、本NPOの紹介がしっかりと入れ込まれていました。


 シンポジウムでの講演スライドから本NPOの紹介部分(提供:南齋勉)

成果はいつも賞のように華やかなものとは限りませんが、皆それぞれ懸命に研究を進めているところです。
これからも富士山での研究に取り組む学生たち・研究者たちの頑張りに応援をよろしくお願いします!


(広報委員会・村田浩太郎)
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本NPO東京事務所で、最近、ちょっと人気のスイーツなんです。
スイーツとはいえ、甘いかどうかはやや不明ですが・・
・・というのも
「真っ黒で世界一まずい?」ことを「売り」にしている飴が「サルミアッキ・キャンディー」です。
北欧ではそれなりに人気があるようですが・・・「’まずい’という売りは決して誇張ではない」という声も聞こえます。

Wikipediaによると
サルミアッキ(フィンランド語: salmiakki)は、薬草(甘草)の一種であるリコリスから抽出した成分を配合した「リコリス菓子」のひとつで、リコリス菓子に塩化アンモニウムを添加したもの 。その他の食品や飲料の味付けとしても使用される。
どうしてこんなものが事務所にあるのでしょう?

富士山環境研究センターの特任研究員T.Kさんのフィンランド土産の一つでした。
ジョークを兼ねて
「世界一まずいと評判ですよー!!」と鳴り物入りの宣伝とともに届けられ、
お茶のときにみんなが恐る恐る手を出したのです。

・・・ところが、「これ美味しい!私好きです」という人が現れ(さてどなたでしょう?)、それ以来T.K.さんのフィンランド土産の定番になっています。

多様性歓迎の本NPOです。お茶菓子も・・・たまにはこういうカルチャーショックもいいですね。
「もっとすごいものがありますよ」という方、大歓迎です。

(広報委員会)

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