太郎坊のそよ風

認定NPO法人 富士山測候所を活用する会 オフィシャルブログ

2024年8月20~22日に工学院大学八王子キャンパスで開催された第41回エアロゾル科学・技術研究討論会にて、三浦和彦理事長と村田浩太郎理事による研究発表が行われました。

三浦理事長の発表は「富士山麓太郎坊で測定したエアロゾルの濃度変化(2)」というタイトルで、2017年~2023年の太郎坊での観測で得られたエアロゾル粒子(液滴あるいは固体微粒子)の粒径分布や気体成分がエアロゾル粒子に変化する「新粒子生成」現象について、大気化学グループによって観測されている様々なデータを統合して考察されたものです。


三浦理事長の発表スライドの表紙。当NPO理事をはじめ、会員も共同研究者として名を連ねています。


村田理事の発表は「2023年夏季の富士山頂大気中における氷晶核数濃度および細菌群集組成」で、2023年の山頂夏期観測で得られた、山頂大気中の氷晶核と細菌群集の変動とその要因と生物氷晶核の出現と共に検出された細菌について解析したものです。


村田理事が発表したポスター。ポスターセッション中は写真を撮る余裕がないほど質問をいただきました。
(撮影:村田浩太郎)


学会には畠山史郎理事や兼保直樹理事(次期日本エアロゾル学会長)、小林拓理事の参加もありました。


畠山理事(手前)と兼保理事(畠山理事の3列後の中央)(撮影:三浦和彦)

また、会期の前日である19日には、学会プレイベントとして日本エアロゾル学会若手会による第19回若手討論会「個別粒子分析を語ろう」が開催され、本ブログでも過去に紹介された、上田紗也子会員による招待講演「大気エアロゾル粒子の観察から個性の価値を考える」も行われました。上田会員がこれまで行ってきた個別粒子分析に関する研究の歩みや、電子顕微鏡での粒子の観察、船の上での観測の様子など貴重な写真が豊富で、経験談を踏まえた楽しいお話でした。馬の背手前で富士山測候所をバックに撮った写真もありました。

きれいな顕微鏡写真を見せて解説をする上田会員(撮影:村田浩太郎)

晩夏からは多くの学会が開催されるシーズンです。大気化学や雷関係では、
9月11日〜13日は第65回大気環境学会年会(慶應義塾大学日吉キャンパス)、
1月10、11日は日本大気電気学会第103回研究発表会(静岡県立大学グローバル地域センター)が開催されます。

今年も夏に取ったデータを解析しつつ、これまでの結果を学会で議論する、実りある秋を迎えつつあります。
(広報委員会・村田浩太郎)
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8月25日(日)のご来光です。岩崎洋班長から送られてきました。




 2024年8月25日(撮影:岩崎洋)

大型台風10号が発生し、各地で降水量が増えています。
山頂付近の登山道も岩崎班長が
「連日の雨で馬の背には乗越を挟んで両側にワジができてしまいました。」
と指摘するように危険な状態です。




 2024年8月25日(撮影:岩崎洋)

なお、富士山頂の現場から(その14)で「幻の初雪?」と書きましたが、少し説明させていただきます。
一日の平均気温が最も高い「最高気温日」以降で、「山の全部または一部が、雪または白色に見える固形降水(雹など)で覆われている状態を下から(最寄りの甲府地方気象台から)初めて望観できたとき」に初冠雪としています。以前、初冠雪を甲府地方気象台と共に観測していた河口湖測候所は2003年9月30日に有人化業務を、富士山測候所も、ご存知のとおり、2004年9月30日に常駐観測を終了。すでに昔の話となりました。

一方、「初雪」「終雪」は山頂で観測して、御殿場基地事務所で発表していたとのことです。(こちらも既に20年前の話しになってしまいました)


 2024年8月25日(撮影:岩崎洋)

8月26日(月)
一昨日夜の雨により馬の背下の土砂が流出したため、伊倉組のブルによる補修作業が行われました。横山勝丘班長が再登山しました。
8月27日(火)
5名上山(ソフトバンク撤収作業のため)
岩崎洋班長、坂本健二班員下山、増本亮班長、鳴海玄希班員上山。
台風の影響が昨夜辺りから出てきているとのこと。
8月28日(水)
午前中少しパラついたのみで、昼からは夕方にかけては曇りで、風弱く降水はなし。
5名下山しました。 
8月29日(木)
台風10号は、午前8時頃鹿児島県に上陸しゆっくり東北方面に進んでいる。
山頂は昨日とは打って変わって早朝から風と雨が南よりで庁舎を揺らしている…そんな一日でした。(山頂班日報より)
台風の動きを見ながら最後の撤収作業の段取りを決めるのは大変な作業になりそうです。

2024夏期観測は、「大成建設自然・歴史環境基金」「WNI気象文化創造センター」「Yahoo!基金」他の助成金を受けて開催されています。

(広報委員会)

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「研究者が集う富士山頂 旧富士山測候所の無人化から20年」というタイトルで、6月のNPO東京事務所でのインタビューと山頂(7月23日、24日)での取材などを通して纏められた手塚耕一郎記者の記事が、毎日新聞8月24日夕刊3面の全面を使って掲載されました。


 測候所の屋根の上で青山シビルエンジニアリングを取材する手塚耕一郎記者
(2024年7月23日NPO広報staff撮影)


7月下旬、富士山登頂を喜ぶ登山者の傍らで、ヘルメットや安全帯を身につけた人たちが建物の屋根によじ登っていた。観測機器を設置する研究者たちだ。山頂の剣ケ峰(標高3776メートル)に建つ気象庁の旧富士山測候所(現在の正式名称は「富士山特別地域気象観測所」)が、今年10月で無人化から20年を迎える。
毎日新聞オフィシャルサイト(8/24)より

という文章で始まる記事の取材が行われたのは、7月23日と24日、夏期観測研究テーマ「大気グループ」の機器が山頂に荷上げされ観測が開始された日でした。
加藤理事(東京都立大学)のCO、O3、SO2の大気中濃度の連続測定、大河内副理事長(早稲田大学)のマイクロプラスチック測定などについて手塚記者が取材。
また、青山シビルエンジニヤリングが今年から本格稼働した気象データや山頂の天気カメラ画像を一般向けに提供するサイト「イマフジ。」についても紹介しています。

紙面の内容は毎日新聞オフィシャルサイトにて公開中です。

 毎日新聞オフィシャルサイト(8/24)より


※記事はYahoo!ニュースなど、他のWEBニュース媒体でも配信・掲載されています。

 (広報委員会)
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