fjs20170719080616736
 ライブカメラが捉えていたのは、早朝から鴨川先生と山頂班が取り付け・調整をしている様子

7月19日(水)午前9時ごろから、今年の夏も山頂のライブカメラがキャッチした画像の配信が始まった。ライブカメラは、雲物理学や雷観測など多くの学術研究目的で設置しているものであり、日本最高峰の富士山剣ヶ峰からの貴重なライブ映像でもある。NPОのホームページをとおして一般にも公開している。

今朝の山頂はあいにくの空模様であったが、早朝から鴨川先生と山頂班が取り付け・調整をしている様子は、実はそのライブカメラを通じて、地上にも公開?されていた。

先週まではこの鴨川先生が地上(東京学芸大学)で確認試験を行っていたのであるが、2台あるうちのカメラの一方が故障のため画質が悪いことがわかり、先週、急きょ取り換えることにした。財政的にはカネをかけられないNPO。その代替機は、ネットで安く手に入れることにした。

同型機種はすでに製造中止になっていたが、検索したところネットにはオークションに出されたものが見つかり、鴨川先生が即断即決して落札。激安価格でゲットした。問題は、その性能が保証どおり動作するかどうかである。時間的に試験をする余裕もないため、カメラは出品者から御殿場基地に直送、山頂ではぶっつけ本番で取り付けた。今日送られてきている画像を見る限り、なかなかどうしての品質ではないか。

P社製のネットワークカメラは、屋内タイプと屋外タイプがあり、山頂で使用するのは当然のことながら防水処理を施した後者である。「防水対応で屋外にも設置可能」と謳っているとはいえ、仕様をよくよく読むと以下の注意書き(下線部分)があった。


防水対応で屋外にも設置可能

屋外設置のための特別なハウジング装備を用意しなくても、家屋、店舗の外壁など、屋外にそのまま設置することができます。様々な場所への設置が可能となり、活用範囲が大幅に広がります。
※強い台風など異常な風雨の被害を軽減するため軒下への設置を推奨します

風速100㍍の強風に耐え得るように設計されたという富士山測候所の建物には、メーカーが推奨しているような「軒」なるものは存在しない。カメラは雨ざらしのままで使うしかないのである。おまけに富士山頂は、真夏でも気温がマイナスになることもあり、大型台風並みの暴風雨は何回か到来する極地環境ときている。手のひらに載るほどのこんな小さなカメラが、これまで故障もせずに動いてきたことのほうがオドロキだ。

blogx
   2014年08月13日付のブログ: 暴風に耐えたライブカメラ

カメラを撤収する8月24日までわずか1カ月足らずの期間であるが、無事に山頂から貴重なライブ映像を送り続けてくれることを願っている。はからずも富士山頂で第二の人生を送ることになった中古ウェブカメラの頑張りにも思いを馳せながら、ライブ映像をご覧いただきたいものである。

live20170719
 2017年7月19日PM2:52の山頂の様子。午前中がガスっていたが、山頂は雲も切れ晴れ上がったように見える