
今日から始まる口頭発表の最初のセッションで発表をするポーランドの研究者たちはいち早く会場に現れた。
窮地を救ったプロジェクター
この日から『さくらの間』を会場に、いよいよテクニカル・プログラムの口頭発表に入る。
朝一番に『さくらの間』の扉を開けると、夜中の間に会場はできあがっていた。横断幕は、前夜指示した通り舞台の最前面上部にとりつけられてある。会場入口にはOral Session 会場を示す行灯も置いてある。受付デスクはこの日から2Fに移動し、あとは9時からの開会セレモニーを待つばかりであった。
問題が発覚したのはこの頃である。会場にいち早く現れPCをつないでスライドの映像を確認していたポーランドの二人の研究者が、「プロジェクターの解像度が低い」と指摘したことから、会場の前方がざわめきだした。

プロジェクターの解像度が低いことがわかり、会場内がざわめき出す
異変に気づいた会場担当の加藤先生の周りに関係者が集まる。ホテルの会場係を呼び出し、プロジェクターの取り替えを伝えるもホテル内にはこれ以上の解像度のものはないという。どこかから代替機を取り寄せる「ツテ」もないと・・・。
ホテルの会場担当に「国際会議をやるのに、こんなプロジェクターでは困る」と思わず八つ当たりをする。「この発表のための国際会議ではないか」…気ばかり焦るだけでいたずらに時間が過ぎていく。そうこうしているうちに時刻は9時になり、プログラムに従って粛々と畠山実行委員長の Welcome Address が始まった。
!「今回の国際シンポジウムで色々とお世話になっている東部コンベンションビューローにあるかもしれない」・・・祈るような気持ちで担当の多田さんに電話した。
電話口の多田さんは、ちょうど車でこちらに向かうところだった。「吊り下げ型でなく据え置き型ですが、かまわないですか」と確認され、「OK。できるだけ早く届けてもらいたい」と頼み込む。多田さんはその後、わざわざ事務所に戻ってプロジェクターを積み込み、沼津を発った。
この間、会場では開催地を代表して静岡県知事代理で静岡県環境衛生科学研究所・杉山浩一所長のご挨拶。そして最初のセッション「山岳域の気体観測」に入り、野村祥平先生(国立環境研究所)、 Lukasz Chmura(ポーランド)、 そして Jaroslaw M. Necki(ポーランド) と発表はつづく。
沼津からプロジェクターが会場に着いたのは、3番目の講演の最中である。10時10分からのコーヒーブレイクの間に、プロジェクターは会場最前列のテーブルの上に据え置かれた。投影映像は鮮明だ。天井から下がっている薄っぺらなプロジェクターに比べると、いかにもどっしりしてたのもしく思われたのは気のせいか。
最初の3人の講演者には気の毒だったが、以降3日間38人の発表は新しいプロジェクターが引き継いで、最後までキッチリと代役を果たした。東部地域コンベンションビューロー (*) のご支援には感謝してもしきれない思いである。

沼津から到着したプロジェクターはコーヒーブレークの間に会場最前列の机上に据え置かれた

コーヒーブレイクの後は天井にあるプロジェクターに代わり、会場最前列に置かれたプロジェクターで発表がつづけられた
*正式名称「静岡県東部地域コンベンションビューロー」は沼津市、三島市、御殿場市、熱海市など静岡県東部地域への国内外のコンベンションの誘致・開催のサポートを行っており事務局を沼津市に置いている。
➤国際シンポジウムの舞台裏から-5 につづく
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