開催までの経緯
2017年7月、富士山測候所を活用する会は夏期観測を始めてから10周年(*1)を迎えた。この年の11月に御殿場で開催された『山岳域における大気化学・物理に関する国際シンポジウム2017
(ACPM2017)』は、会にとってはその10周年記念事業の意味合いも持っていた。
夏期観測10週年を迎えたことを伝えるニュースリリース(2017.7.10)
会はこの4年前(2013年4月)に気象庁と5年間の山頂庁舎借用契約を締結したのを機に同年5月『中期計画2013-2018(*2)』を策定し、向こう5年間を念頭に設定されたビジョンを実現するためにやっておくべきことを明確にした。この中に、2017年に10周年記念事業として国際シンポジウムを開催することを謳い、富士山測候所を東アジアの観測ネットワーク拠点としてさらに発展させていこうという構想をもっていたのである。
一方、2010年にスイスのインターラーケンで第1回(*3)の山岳域における大気化学・物理に関する国際シンポジウムが開催され、約50人の世界の主導的な大気化学研究者が集い、研究成果を共有した。ここで公表された成果から、汚染物質や粉塵の長距離輸送、大気中の化学反応、オゾン濃度に影響を与え気候変動を引き起こす微量気体やエアロゾルのバックグラウンド濃度などを解明するためには、高所山岳における大気観測が唯一の有効な手段であることを確認しあった。
4年後の2014年に米国スティームボートスプリングスで第2回(*4)が開催され、次回の第3回目はアジアでとの要請(*5)があり、台湾の研究者と協議した結果、今回の日本での開催となったものである。2013年に策定した『中期計画』で謳った”10周年記念事業としての国際シンポジウムの開催”が「ACPM2017」として実現したことになる。
4年後の2014年に米国スティームボートスプリングスで第2回(*4)が開催され、次回の第3回目はアジアでとの要請(*5)があり、台湾の研究者と協議した結果、今回の日本での開催となったものである。2013年に策定した『中期計画』で謳った”10周年記念事業としての国際シンポジウムの開催”が「ACPM2017」として実現したことになる。
(*1) ニュースリリース 2017年7月10日 7月10日に夏期観測10周年を迎えました
(*2) 会について>情報公開『中期計画2013-2018』
(*3) スタッフブログ『太郎坊のそよ風』2010年6月9日 インターラーケンからの第一報
組織づくり
山岳域における大気化学・物理学に関しては、国内にこれに対応する既存の学会等が存在しないため、国内における山岳域でその研究を行っている研究者の多数が会員となっている認定NPO法人富士山測候所を活用する会(以下「NPO富士山測候所」という)が中心となって「山岳域における大気化学・物理に関する国際シンポジウム2017」実行委員会を組織した。
NPO富士山測候所理事長の畠山史郎・埼玉県環境科学国際センター総長が委員長に、副委員長には同法人理事・事務局長の三浦和彦・東京理科大学教授および理事・山頂管理運営委員長の大河内博・早稲田大学教授を選任し、組織づくりに着手した。
実行委員にはNPO富士山測候所の会員以外からも国内の山岳域で研究を進めている研究者に就任を依頼。また、International
Advisory Boardメンバーに、前回、前々回のACPにおいてChairであった J. Stahelin教授(スイス)、G.
Haller教授(USA)ほか9名に依頼した。
ACPM2017 Organization Committee 組織体制
開催時期は富士山での夏期観測期間を外し2017年11月とし、開催場所は国内の山岳関係研究の拠点である富士山の近傍の静岡県御殿場市の御殿場高原リゾート・時之栖(ときのすみか)を会場に選定した。
ACPM2017の公式ウェブサイトをオープンし First Announcement を発行したのは、2016年の暮も押し迫った12月30日。新年1月6日に大河内先生と加藤先生が時之栖の会場を下見。9日に東京理科大学で第1回実行委員会が開催され、各委員の担務、大まかなスケジュールなどを確認し合い実質的な準備のスタートを切った。この時、すでに開催日までは残り10カ月を切っていた。
ACPM2017 Deadline and Milestone
➤国際シンポジウムの舞台裏から-2 につづく
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