富士山頂のご来光 2018年8月22日(土)早朝撮影 

まずはYoutubeの動画をご覧ください。再生時間は1時間以上もありますが、不思議と見ていても飽きません。今年の夏、山頂で試験的に新しいカメラでご来光を撮影したときのものです。真っ黒な雲の切れ目から太陽が少しずつ現れて、次第にまばゆいばかりに明るくなっていく様はまさに感動ものです。

さて、このブログの読者はすでにご存知だと思いますが、NPO富士山測候所を活用する会では有人観測を行っている夏の間は、山頂のライブカメラの静止画を一般公開しています。日本最高地点のライブカメラは富士山の気象などを知ってもらうアウトリーチプログラムとして活躍しているほか、主目的である学術的用途では富士山頂における大気電場の山岳効果の解明に決定打を与えたデータであり、火星の雷放電の研究に繋がる研究としてその成果は計り知れません。

そのカメラ、以前のブログ記事でも紹介したようにすでに販売終了しているカメラであり、入手困難かつ後継機種は上位機能であるものの、NPOの財政事情では複数台を購入するのは厳しい状況になりました。また、このような防犯カメラは地上の一般社会で使われることを目的としているため、山岳での設置や維持管理には手がかかり、次世代型のカメラを探し求めていました。

livecamera
 これまで使っていたライブカメラ。すでに製造は中止しており、故障になる度にネットオークションで取り寄せていた

そこへMORECAブランドで知られる防犯カメラの気鋭企業CHO & Company社との共同研究の話が今夏に持ち上がり、今年のライブカメラ運用終了後に、来年に向けて短時間ながら運用テストを行いました。耐久性などのテストはできませんが、画質の確認、設置の手間に関する確認はできました。

設置はきわめて簡便で、カメラの装着後、電源をコンセントを入れるだけで動作します。ピントや望遠、明るさの調整などは遠隔ですべてできてしまいます。従来のようにPCや専用端末が必要なく、カメラだけで設置がすむというのは我々山岳科学をやるものにとっては非常にありがたいお話です。家庭用や業務用として使用するならば、設置が楽というのは専門の業者に依頼しなくても設置できる魅力があるかと思われます。

今回のテストでは、設置したカメラによる動画の画質と他のデジカメで撮影された画質の比較なども同時に行い、高画質のデジカメと感度まで遜色がないことも確認できました。このような画像が昼夜問わず動画で得られるというのは驚愕というべきものでしょう。

  
富士山頂からの夜景(御殿場市方面を望む)。夜景ながら雲の動きが確認できます。2018年8月21日(金)夜撮影 

来年からこのカメラを使った継続的な長期実地試験を予定しています。連続した高画質映像による学術的な意義ははかりしれません。そして、皆さまにもどのようなライブ画像がお見せできるでしょうか?来年の夏をご期待ください。

(学術科学委員会)