1901渡辺記念会だより02_p01

表紙写真について

表紙の写真は、昨年(平成30年)富士山測候所で大気化学などの研究者や通信技術者が研究機材設置作業を行なった時のものです。富士山測候所は平成16年から無人施設となりましたが、認定NPO法人富士山測候所を活用する会が気象庁から借用し、現在も富士山頂における様々な研究活動の拠点として活用しています。当財団は同会の活動を支援しています。(写真提供:認定NPO法人富士山測候所を活用する会)


いつも助成金でお世話になっている一般財団年法人新技術振興渡辺記念会(以下渡辺記念会)は一昨年35周年を迎え、昨年より広報誌「新技術振興渡辺記念会だより」の発行を始められましたが、その2巻(20191月号)の表紙に、私たちNPOの富士山測候所の写真を載せて下さいました。

  この冊子の巻頭言では(一社)技術同友会代表幹事 立川敬二氏が「日本の科学研究の失速を食い止めよう」というタイトルで、イギリスの科学雑誌NATURE誌の2017年3月号の記事「この10年間日本の科学研究は失速している」を例に挙げて、危機感を表明しておられますが、現在の日本の科学研究、特に基礎研究の研究環境は憂慮すべき状態ではないかとのご指摘はまさに共感できるものです。

  国の科学研究予算が変動する中、昭和57年以来、36年の長きにわたり、民間の立場で新しい科学技術開発をサポートし、日本の基礎研究の下支えをしてこられた渡辺記念会の存在は貴重です。例えば、 国の予算が付かずに無人化され取り壊される危険のあった富士山測候所が、何とかその灯を消さずに、研究の拠点として続けていられるのも、11年間にわたって折に触れてサポートを頂いた渡辺記念会のおかげが大きいです。

 この冊子・創刊号で渡辺記念会の武安義光理事長は
 当財団は、神田通信工業株式会社の実質的創業者である故渡辺勝三郎氏からご寄付をいただいた同社株式を基として、昭和57年7月1日に内閣総理大臣の許可を得て設立され、昨年創立35周年記念式典を挙行したところです。私は当財団の発足当初から設立業務を含めて運営に携わってまいりました。設立当初から運営が軌道に乗るまでの財団関係者の苦労を知る身からこれまでの長い年月を振り返りますと、今日の財団の活発な活動ぶりはまことに感慨深いものがあります。
と述べておられますが、この間支援してこられた120件に上る委託研究、500件の一般助成、科学技術交流事業、普及開発事業など多岐にわたっており、その恩恵にあずかっている研究者は数えきれません。

 年頭に本NPOの写真を使っていただけた感謝をこめて、渡辺記念会のますますのご発展を祈ります。

(広報委員会)