news20190628
 ニュースリリース(2019.6.28)へリンク

第13回となる夏期観測への応募を昨日6月28日(金)でまとめて、同日付でその実施概要をニュースリリースしました。今年の夏期観測は国内外から過去最高となる36のプロジェクトの参加が確定しました。なんと、対前年7件(24%)の増です。

夏期観測の参加プロジェクトはここ数年増加傾向にありましたが、今年はそれを上回るペースとなっており、36事業のうち継続案件が25件 (70%) に対し、新規案件は11件 (30%) を占めています。富士山測候所を利用する会の活動が定着化し広く知れ渡ってきていることを示していると言えましょう。

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 2013年以降、右肩上がりで増え続ける夏期観測プロジェクト数

受け入れ側は諸官庁への手続きや富士山測候所の限られた資源の割り当て、登山下山の際の支援業務などで、それだけその対応で大変になるのですが、主催者としてはうれしい悲鳴といったところです。

今年の特徴は、そのほかに御殿場事務所の通年開設による研究環境の整備拡充がはかられたことが挙げられます。従来は毎年その夏の開所の準備や夏期観測期間中の研究者等の利用、山頂班の交代などのために夏に限定して御殿場市内にアパートを借り上げていました。

3月頃から御殿場市内の賃貸物件の調査が始まり、現地を確認のうえ、契約。そして家具、家電、生活雑貨などの荷物を搬入し引っ越し。観測期間終了後の9月初には退去。

こういった設営に係る諸々の無駄な費用の削減、手狭になった東京事務所の書類等の保管などによる運営効率化、さらには観測サイトとしての活用も総合的に判断し、今夏から通年で事務所を開設したものです。標高3776㍍の山頂、1290㍍の太郎坊に対し、446㍍の標高にある事務所は観測でも大いに期待されています。

地形断面図付き3拠点地図
 地形断面図*による標高差のイメージ
(*)Google Maps 上で折れ線を描くとその場所の断面が生成されるサービス Path Profiler による。


また、1月に発足したばかりのNPO内部組織である富士山環境研究センター(LERMF) も、この夏期観測から2事業を実施します。御殿場事務所の2階に専用の部屋を確保し、通年での観測もできるようになりました。3つの異なる高度の観測場所が整備されたことにより高度の違いによるデータの比較などの優れた科学的成果が楽しみです。

この高度図を見て、お気づきになった方もいるのではないでしょうか?
3つの観測地点の高度の関係は約3倍ずつになっており、このような関係は
対数グラフを作成するに適しており、科学的解析で有用といえるものです。
(鴨川仁・学術科学委員長からのコメント)

天候などに問題がなければ7月1日(月)に山頂班が上山して開所。62日間、36プロジェクト、延べ400人以上が参加する今年のオペレーションが始まります。 (広報委員会)


 オペレーションにあたる東京事務所(事務局)と現地の御殿場事務所(御殿場班)、富士山測候所(山頂班)