夏期観測の研究数が過去最多の42件となったことを伝える静岡新聞(2019.9.5)
7月1日(月)から富士山頂で行なってきた夏期観測2019は、8月31日(土)の富士山測候所の閉所をもって62日間にわたる活動を無事終了しました。
関係の皆様のご協力に感謝申し上げます。
13 年目の夏期観測となった今年は、当初36プロジェクトでスタートしましたが、その後期間中に増減があり最終的に42プロジェクト(対前年約40%増)を実施しました。そのうち新規案件は12プロジェクト(全体の約30%)を占め、プロジェクトの拡大傾向に年々拍車がかかっています。大気観測のみならず、医学、防災、通信など幅広い分野で、日本最高峰にある富士山測候所ならではの研究・活用ニーズの高まりを示しているといえます。
トピックスとしては、ライブカメラをストリーミングによるリアルタイム動画配信にしたことが挙げられます。その結果、雲や雷の研究面で飛躍的な進化を遂げたとともに、HP へのアクセス解析結果では富士山頂を目指す登山者の利用も非常に多いことがわかり、安全登山面でも寄与していることが実証できました。
また、火山活動の監視をするための研究として、微小電力による長距離通信の特長を生かし H2S と SO2の通年モニタリング結果をリアルタイムで配信することを試みており、その成果が期待されています。
その他、複数の高所医学研究グループ
の参加があったほか、来年度利用に向けての現地調査などのトライアル利用も実施され、次年度のさらなる利用拡大につながるもの
と想定されています。
なお、研究環境としては 5 月に御殿場市街地に通年で事務所を開設し、業務運営の効率化と利用者の利便性の向上を図った
ほか、山頂、太郎坊に次ぐ御殿場地区における第 3 の観測拠点としての活用も開始しました。
御殿場の活動拠点は今年から御殿場事務所の開設により大幅に活用範囲が広まった
御殿場の活動拠点は今年から御殿場事務所の開設により大幅に活用範囲が広まった
夏期観測期間中の電源に関しては、大型台
風などの強風の影響で 7 月 23 日および 8 月 16 日の 2 度にわたり山頂庁舎が 6 時間以上停電となる事故が発生したほかは、特に大きな障害もなく安定供給が図られました。また、昨年来懸案となっていた山頂庁舎の補修工事も夏期観測と並行して実施され、
中長期的なインフラ施設の整備を図っています。
架空送電線#67号柱ー#66号柱間の補修(2019.8.16 山頂停電のため緊急出動した関電工撮影)
架空送電線#67号柱ー#66号柱間の補修(2019.8.16 山頂停電のため緊急出動した関電工撮影)
なお、参加者は延べ 425 人で、7月25日には2007年に夏期観測を開始以降の利用者数が延べ5千人を達成しました。研究成果は 2020 年 3 月開催予定の第 13 回成果報告会で発表する予定です。
最後になりましたが、今年度のプロジェクトの一部は、一般財団法人新技術振興渡辺記念会殿からの受託、および一般財団法人 WNI 気象文化創造 センター殿・気象文化大賞の助成により実施されたことをご報告いたします。
(広報委員会)
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