今回のブログは、富士山環境研究センターの源特任研究員がお届けします。

コロナ禍でさまざまな学会・研究集会がオンライン開催になっています。学会の醍醐味は、発表の合間や懇親会の席での議論にある…と私は思っています。探していたデータがあっさり見つかったり、共同観測の話が持ち上がったり、大事な論文を紹介してもらったり…こういった機会を見つけるのは、リモートではなかなかむつかしいのですが、一方で、旅費やスケジュール調整の苦労をせずに国内外の学会に参加できるのは、オンライン開催のメリットと言えるでしょう。

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CTR Wilson Meetingにおける発表の様子。一番上が筆者、上から3番目が藤原さん。


11月18日の、日本時間の夕方から夜に、英国CTR Wilson Institute for Atmospheric Electricityが主催する研究集会が開催されました。この研究機関は、1927年にノーベル物理学賞を受賞したCharles Thomson Rees Wilsonを記念して2013年に設立されたもので、大気電気にかかわる研究については世界でも有数の場です。
大気電気学の研究者はたくさんいます…とは言えないなかで、ここで開催される研究集会は最先端の研究発表を聞く・発表する貴重な機会です。

この研究集会に、当NPOの鴨川専務理事と筆者、そして12月から特任研究員として富士山環境研究センターに加わる藤原博伸さんが参加しました。藤原さんは高校で物理を教える傍ら、早稲田大学の大学院博士課程で雷活動にかかわる研究を続けています。今回は、今年10月に英文誌Journal of Atmospheric Electricityに受理された"Difference between lightning activities in thunderstorm cells with and without hailfall in western Tokyo"(東京西部における、降雹のある雷雨セルと降雹のない雷雨セルの雷活動の違い)に関する発表をしました。

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少人数のオンラインミーティング。左上が藤原さん、その右が筆者、左列上から2番目が鴨川専務理事。


休憩時間には、メインのZoomのほかに設けられたオンラインミーティングルームで少人数での議論ができるようになっていました。リモートで英語の議論をするのは、わかってもらえているのか確認したりするのが難しいところもありますが、このご時世では贅沢を言ってられません。

なお、筆者は、同じ日の午前中に国立極地研究所が主催する極域科学シンポジウムにもオンラインで参加しました。夜のCTR Wilson meeting とあわせて2回の英語講演はなかなかにハードでしたが、同じ日に国内と海外の研究集会をハシゴする・・・というのは、オンラインならではの経験と言えるでしょう。でも、まあ、深夜1時ごろに英国のプログラムが終わった時にはさすがに疲弊していました。

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11月18日午前、極域科学シンポジウムにおける筆者(右下の写真)の発表の様子。


新たに気鋭の研究者を迎えて、富士山環境研究センターとしては成果を論文で公表し、それを基に競争的研究資金を得るというサイクルをどんどん回していきたいと思うところです。 

(富士山環境研究センター・源泰拓:プロフィールはこちら




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