太郎坊ベースの観測装置全景
夏期観測には、富士山頂の測候所で行うプロジェクトと同時に、富士山の麓にある太郎坊ベースで行う観測があります。
1990年代より山頂との比較のため、主として気象庁の太郎坊避難所を利用して、観測が行われていましたが、新たに土地を借りて、太郎坊での通年屋外観測を始めたのは2005年早稲田大学の大河内博副理事長のグループで、夏期しか許されない山頂観測データを補完するのが一つの目的でした。
また、富士山体を4000mのタワーとして利用するという観点も取り入れた同時並行観測も行われていました。その後、2006年より、東京理科大学と電力中央研究所グループが参加。
現在では、山梨大学グループ、京都大学グループ、静岡理工科大学グループ、東京都立大学グループ、帝京科学大学グループ、静岡県立大学グループなど多くのグループが参加し、特に夏期にプロジェクトが増えています。
山梨大学の後藤聡教授グループの「宇宙線ミュオンによる富士山頂近辺の内部構造に関する探索」のように太郎坊が中心のプロジェクトもありますが、山体利用の観点から山頂観測と連動して観測を行っているものも多いです。
今回は、2022年は太郎坊を中心に夏期観測を行った三浦理事長の画像を中心に、太郎坊の観測をご紹介しましょう。
まず、設置されている装置の大半を占めている早稲田大学の観測システムの俯瞰写真です。
夏期集中観測のプロジェクトと通年観測のプロジェクトがあり、それぞれの目的の降水・霧水・エアロゾル、気体試料などの採取が行われています。(詳しいことは次回以降でご紹介します)
2022年7月8日 早大観測システム
全体を水平に見ると下のようになります。
2022年7月8日 太郎坊基地
太郎坊コンテナ
2022年9月15日 太郎坊コンテナ
NPOの太郎坊コンテナの中には、東京理科大学の粒径分布測定装置(SMPS,OPC)の他に、青山シビルエンジニアリンググループの全天カメラ用ロガー、帝京科学大・和田龍一理事グループのNOx計、NOy計、東京都立大・加藤俊吾理事グループのSO2計、CO計、O3計も設置されています。
夫々のシグナルはこちらから送られています。
また、鉄塔の側からみると、先方に倉庫が見えますが、ブル運搬組合から一部を借用しています。
ご紹介した写真は太郎坊ベース観測サイトの一部ですが、階段を数段上がったところには、旧気象庁時代の施設の小屋が見られます。
倉庫(手前)と旧気象庁太郎坊避難所
以上、太郎坊ベースの観測サイトについて、三浦理事長の画像をもとにご紹介しました。
1942(昭和17)年、山頂勤務員の宿泊および荷扱い所として、太郎坊避難所が設置され、山頂勤務交代員の交代勤務のための避難所として活躍し、テレメーター化の地震計が置かれていたこともありました(1987-1995,「富士山頂、有人観測72年の歴史」より)。
太郎坊の利用の歴史も含めて、追々ご紹介しようと思います。
(広報委員会)
2004年に無人化され、いずれ取り壊しの運命にあった旧富士山測候所。
富士山測候所を活用する会は、この施設を国から借り受け研究・教育の拠点にしようという構想で、2005年に大気化学や高所医学などの研究者が主体となって立ち上げたNPO法人です。
また
富士山頂という厳しい環境の中、その修理費・維持費や、運営費など
年間3000万円という莫大なコストが掛かるのです。
しかしながら、資金面に関しては、
公的補助もなく研究利用費だけで運営しております。
そこで、皆様からご支援、会員になっていただき未来へ
つなぐ研究の手助けをどうぞよろしくお願いいたします。
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ご寄付に関しては、控除もありますので などでご確認ください。
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