フジアザミ(富士薊、学名 Cirsium purpuratum)
キク科アザミ属の多年草である。富士山周辺に多いことから「フジアザミ」と名付けられた。学名(種小名)のpurpuratumは、「紫の」という意味である。日本産のアザミの中では最も大きな花を咲かせる種類であり、高さは20–100cm、葉は長さ30–70cmに達する。茎の先端に付く頭花の大きさは子供の拳ほど(直径5–10cm)と非常に大きい。富士山および富士山周辺の山地の山地帯~亜高山帯に分布する。砂礫地や崩壊地周辺で多く見られる。そのため基準標本は富士山のもので、日本の固有種である。ーWikipediaより
9月5日(月)の太郎坊は良いお天気で、山頂班の撤収荷物を積み込んだブルの到着を待つ間、早稲田大学、東京理科大学、山梨大学などの実験が行われている奥の方を見学しましたが、装置の近くでフジアザミの大きい株を見つけました。
例年9月から10月に咲くフジアザミですが、まだ咲き始めで固い蕾が散見されました。このあざみは棘が鋭いので有名です。でも、きれいな花には棘があり、それも「ハンパナイ」棘なので、近づかない方が無難です。
触って見るだけでも痛い目に合うことがあります。以前、富士山ブルの創始者だった伊倉範夫さん(現在のオペレータ伊倉秀雄さんのお父さん)が太郎坊におられた頃、大きなシェパードを飼っておられましたが、フジアザミだけには決して近づかなかったとか。
こんな嫌われ者のようなフジアザミですが、根が大きくて強く、動きやすい斜面に杭を打つように伸長し、群落を作ると表面の礫の移動を止めて富士山の斜面の安定に重要な役割を果しているのだそうです。
火山や雪崩などでできた裸の斜面は植物に被われるまでに長い時間を要するのですが、フジアザミは裸地に最初に定着できる「パイオニア植物」に属していて、このような特性を備えているとのこと。(本NPOスタート時に講演会などで活躍された静岡大学・増沢武弘教授の『富士山と自然』に詳しい)
「パイオニア植物」であるフジアザミは、根が大きくて強く、富士山斜面の礫の移動を止める役割をしている
フジアザミは富士山を象徴する植物として、須走口登山道へのアクセス「ふじあざみライン」や、国交省・富士砂防事務所の広報誌のタイトルなどにも使われています。
富士砂防事務所は「大沢崩れ」対策をはじめとした富士山の土砂災害対策事業や、富士山の火山活動による土砂災害防止のための調査などを担っており、広報誌『ふじあざみ』は本NPO事務所にも送り届けられてきています。
本NPOの発足当時、御殿場のアパートで『ふじあざみ』と発行の写真集を持ってきて下さった砂防事務所の方にお目にかかったことがありました。まだスタートしたばかり、今後どうなるか分からなかった当時の本NPOにも、いろいろご指導いただきました。いまは懐かしい思い出です。
富士砂防事務所広報誌「ふじあざみ」最新号。最近は「富士山クイズ」など楽しい記事もある
この花が咲き始めると太郎坊はもう秋。夏山のシーズンは終わりです。2005年以前の気象庁時代には、大気化学の研究グループは忙しい撤収作業のころ太郎坊でこの花を眺めて、「また来年」と山をあとにして下りたものです。
いまは早稲田大学、東京理科大学、東京都立大学、静岡県立大学などを中心に太郎坊の通年観測も定着し、フジアザミも研究観測で訪れる彼らにはすっかりお馴染みの花になっています。
(広報委員会)
2004年に無人化され、いずれ取り壊しの運命にあった旧富士山測候所。
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