認定NPO法人富士山測候所を活用する会 富士山環境研究センター源泰拓特任研究員、静岡県立大学グローバル地域センター鴨川仁特任准教授らによる論文が、2022年11月25日付で英文学術誌「Journal of Geophysical Research: Atmospheres」に掲載されました。同誌は2021年に同研究員の論文が掲載された「Atmospheric Research」誌と並ぶ、大気科学に関わるトップクラスの学術誌です。
この論文は、国立極地研究所、寒地土木研究所および北海道大学との共同研究によるものです。
この論文は、国立極地研究所、寒地土木研究所および北海道大学との共同研究によるものです。
地上では1メートルあたり約 100 V の下向きの 電場が存在し、大気電場と呼ばれています。大気電場は地上から電離圏に至る、厚さ 60~80 kmくらいの領域の電磁気的な環境を反映するものとして注目されていますが、この電場は降水や雲等の気象条件によって乱されるので、大気電場を用いて上空の電磁環境を探ることはなかなか難しいものです。この論文では、南極・昭和基地での電場観測データを基に、ごく単純な手法で気象条件に起因するノイズを除去する新手法を示しています。
源研究員らは、2021年にAtmospheric Research誌に発表した論文で、極地では雪粒が主要なノイズ源となることを示しました。吹雪の時、雪粒は低いところでは多く、高いところでは少なく分布しています。そこで、昭和基地における、高さの異なる2点(1.4 m と10 m )での電場観測値を比較することで、雪粒の影響を除去しました。もうひとつ、大気電場測定の主要なノイズ源とされてきた雲については、極域では積雲(わた雲)、積乱雲(雷雲)など、静電気が活発に発生する雲が少なく、大気電場に与える影響はごく小さいことを統計的に示しました。これまで、気象ノイズを含まない大気電場データを選び出すためには、雨・雪・上空の雲などの観測が、とくに雲の目視観測が必要とされてきたのですが、極域では2点の電場の比較だけで、有用なデータを特定できることを示しました。この手法で取り出される”ノイズフリー”なデータセットは、地球規模の電磁気環境の研究に貢献するものと期待されます。
昭和基地の大気電場観測装置 高さ 1.4 m
昭和基地の大気電場観測装置 高さ 10 m
源研究員は大気中の電場の研究によって、2022年9月に学位(論文博士)を取得したところです。この度発表された論文は博士論文の構成要素の一部ですが、まだ発表されていないトピックが残っているとのことです。そして、富士山頂と富士山麓の太郎坊での電場観測が計画されています。太郎坊には高さ 8 m の観測タワーが設置されていて、昭和基地と同様の観測ができるサイトです。これまでの研究を基に、富士山と南極で似ているところ、違っているところは何か、を解明する研究成果を期待したいと思います。
(広報委員会)
2004年に無人化され、いずれ取り壊しの運命にあった旧富士山測候所。
そこで、皆様からご支援、会員になっていただき未来へ
2004年に無人化され、いずれ取り壊しの運命にあった旧富士山測候所。
富士山測候所を活用する会は、この施設を国から借り受け研究・教育の拠点にしようという構想で、2005年に大気化学や高所医学などの研究者が主体となって立ち上げたNPO法人です。
また
富士山頂という厳しい環境の中、その修理費・維持費や、運営費など
年間3000万円という莫大なコストが掛かるのです。
しかしながら、資金面に関しては、
公的補助もなく研究利用費だけで運営しております。
そこで、皆様からご支援、会員になっていただき未来へ
つなぐ研究の手助けをどうぞよろしくお願いいたします。
本NPOは、認定NPO法人(認定NPO法人は全NPOの2%しかない)です。
ご寄付に関しては、控除もありますので などでご確認ください。
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