太郎坊のそよ風

認定NPO法人 富士山測候所を活用する会 オフィシャルブログ

3人
左から三木健司副実行委員長、米持真一実行委員長、皆巳幸也副実行委員長
(会議終了後に前回の副実行委員長村田浩太郎さん撮影)


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3月18日(土曜日)、中野サンプラザ会議室とZoomを用いたハイブリッド形式で成果報告会が開催されました。
前々日にソメイヨシノの開花宣言があったものの、生憎の本降りの雨の土曜日でしたが、一部ですが久しぶりに対面で行われた成果報告会となりました。実行委員長、副委員長2名の体制で、準備万端整え、中野サンプラザの会場には約20名、Zoom参加者は約70名と熱気のあふれる集会でした。

定刻13時に米持真一・実行委員長の開会の辞、三浦和彦・本NPO理事長の挨拶、鴨川仁・本NPO専務理事・事務局長の「夏期観測総括」で始まりました。

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 三浦和彦理事長の開会の挨拶
第一部「大気を調べる」(座長:和田龍一理事)がはじまり、
皆巳幸也理事の「富土山の気象・2022年夏」につづいて
「富土山は観測タワー!~富土山頂および山麓太郎坊でのCO,O3,SO2観測~」(加藤俊吾:東京都立大学)、
「富土山太郎坊における越境汚染の通年観測手法の開発検討」(佐藤颯人:帝京科学大学)、
「富土山頂の昼・夜別PM1,の成分と大陸からの影響」(米持真一:埼玉県環境科学国際センター)
と4件の講演が会場からあり、
5件目の大河内博副理事長の「富士山頂でのPM2.5、雲、雪からマイクロプラスチックを発見!」には、会場やZoomから多くの質問があり、活発な議論が行われました。

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 大河内副理事長の講演
短い休憩をはさんで第二部「気候変動と雲の研究」(座長米持真一実行委員長)
トップバッターの野村渉平博士(国立環境研)はZoomで講演。
「新たなCO2検出部を用いた富士山頂での大気中のCO2の濃度観測」
には、会場やZoomから質問やコメントがあり、新しいハイブリッド装置のおかげでスムーズな議論が行われていました。
続く5件は会場での講演です。
「富土山測候所庁舎内でのCO2濃度変動の測定に向けた試験について」(前田源次郎:秋田大学理工学部通信教育講座受講生)、
「気温を下げるエアロゾルは減っているか」(三浦和彦:富士山環境研究センター)、
「雲の中の氷の種を探す -富土山頂での氷晶核観測2022」(村田浩太郎:埼玉県環境科学国際センター)、
「ドローン採取による雲滴分析 ~個々の雲滴から雲の情報を知る~」(南齋勉:静岡理工科大学)

再び休憩をはさんで15:40からは
本NPOの事業として昨年出版した『富士山測候所のはなし』について、編著者を代表して
佐々木一哉理事(弘前大)が5分間の説明を行いました。

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引き続き第三部「雷を調べる」(座長:三木健司副実行委員長)では、トップの鴨川専務理事の発表「富土山における大気電気・雷研究:2022年夏期の成果」(ブログ:2022年の富士山頂の以上に多い雷で紹介)
Zoom講演で、
「富土山頂の雷測定で見える雷現象」(安本勝:富士山環境研究センター)、
「富土山で観測された地球ガンマ線フラッシュ」(David M. Smith:カリフォルニア大学)、
「2022年富土山山頂から観測された高高度放電発光現象」(鈴木智幸:静岡県立大学)
と続きました。
特に、David Smith 教授(カリフォルニアサンタクルーズ校)は、現地・米国カリフォルニアからZoomでの参加でした。

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   David M. Smith 教授
発表は英語でしたが、資料は日本語で作られており分かりやすい講演でした。
これは、コロナ禍のなかで始まったハイブリッド開催のプラスの側面でしょうか?

第四部「防災に役立てる」(座長:加藤俊吾理事)では5題の講演はすべてzoomでおこなわれました。
「富土山噴火に備えよ! ~小型センサーによる火山ガスモニタリング~」(布袋愛斗夢:東京都立大学)、
「富土山における全磁力観測 -山頂近傍における電磁環境予備調査-」(長尾年恭:静岡県立大学)、
「富土山直下の低周波地震の研究 -異常を見逃さない火山活動の監視拡充に向けて-」(楠城一嘉:静岡県立大学)、
「日本一高い!景色を一望できるタイムラプスビューアー!」(村田健史:情報通信研究機構)、
「2022年度までの富土山頂教育用高精密ドーム映像制作プロジェクトについて」(宮下敦:成蹊大学)
どれもホットな話題で、関心が高く活発な議論が行われました。

最後の2題は映像に関するもので、
村田健史博士らと宮下敦教授らの美しい映像をめぐってこちらも活発な議論が盛り上がりました。

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「日本一高い!景色を一望できるタイムラプスビューアー!」(村田健史:情報通信研究機構)

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「2022年度までの富土山頂教育用高精密ドーム映像制作プロジェクトについて」(宮下敦:成蹊大学)

最後に三木健司副実行委員長の挨拶があり、18時過ぎに5時間にわたる成果報告会が終わりました。
花冷えの雨の土曜日でしたが、大きい成果が上がった報告会でした。
ハイブリッド装置のスムーズな運用など、一段と磨きがかかり、皆巳幸也副事務局長、横田久司東京事務所長、東京事務所員ほかの裏方の努力が報いられたと自賛しております。お疲れ様でした。

そして研究発表のデータが少しでも早く、世界の論文誌を賑わすことを期待しております。

(広報委員会)




認定NPO法人富士山測候所を活用する会とは


2004年に無人化され、いずれ取り壊しの運命にあった旧富士山測候所。
富士山測候所を活用する会は、この施設を国から借り受け研究・教育の拠点にしようという構想で、2005年に大気化学や高所医学などの研究者が主体となって立ち上げたNPO法人です。

また
富士山頂という厳しい環境の中、その修理費・維持費や、運営費など
年間3000万円という莫大なコストが掛かるのです。

しかしながら、資金面に関しては、
公的補助もなく研究利用費だけで運営しております。

そこで、皆様からご支援、会員になっていただき未来へ
つなぐ研究の手助けをどうぞよろしくお願いいたします。

本NPOは、認定NPO法人(認定NPO法人は全NPOの2%しかない)です。
ご寄付に関しては、控除もありますので詳しくはウェブサイトなどでご確認ください。



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