太郎坊のそよ風

認定NPO法人 富士山測候所を活用する会 オフィシャルブログ

 2023年3月、国や山梨、静岡、神奈川の3県からなる「富士山火山防災対策協議会」は、富士山噴火に備えた避難計画「富士山火山広域避難計画」の全面的な改定を発表しました。

 改定された避難計画の目的は、逃げ遅れゼロを目指し、安全に避難できる可能性を最大化にする事です。実は従来の避難計画は1707年の宝永の噴火をモデルの噴火としていたのでした。

IMG_0072
宝永火口(2022年夏、富士宮口六合目付近から筆者撮影)

 富士山の噴火は多様性があり、今回の見直しは複数の火口から大量の溶岩が流れ出たと考えられている貞観噴火(864~866年)も念頭に置いたものとされています。

 実は富士山には極めて多くの火口が存在しています。次の図は、静岡大学総合防災センターがまとめた富士山で確認されている火口(側火山)の位置です。北西ー南東方向に多くの火口が並んでいるのがわかります。これは基本的に富士山周辺のプレート運動が関係しており、伊豆半島に押される方向の割れ目が多くなり、そのためその割れ目から溶岩が噴出すると火口となるのです。

FujiCraters

 こうした分布の偏りをもつ火口から溶岩がくり返し流れた結果、全体として北西ー南東方向に長径をもつ楕円形をした富士山の山体がつくられたのです。

 今回の避難計画の策定には、当NPO理事でもある山梨県富士山科学研究所長の藤井敏嗣東大名誉教授も参加されています。ハザードマップの改定により、火口の想定範囲が広がり、溶岩流の予想到達範囲が拡大する事になりました。

 新しい避難計画のポイントは命を守ることを最優先して避難完了までの時間を最短にする事です。さらに噴火が長期化する可能性があることから可能なかぎり通常の生活を維持できるように配慮したと富士山火山防災対策協議会は説明しています。

 ぜひNHKの解説記事や、山梨県が公表している新しい基本計画(案)を併せてご覧頂ければと思います。

(文責:長尾年恭)

(広報委員会)


認定NPO法人富士山測候所を活用する会とは


2004年に無人化され、いずれ取り壊しの運命にあった旧富士山測候所。
富士山測候所を活用する会は、この施設を国から借り受け研究・教育の拠点にしようという構想で、2005年に大気化学や高所医学などの研究者が主体となって立ち上げたNPO法人です。

また
富士山頂という厳しい環境の中、その修理費・維持費や、運営費など
年間3000万円という莫大なコストが掛かるのです。

しかしながら、資金面に関しては、
公的補助もなく研究利用費だけで運営しております。

そこで、皆様からご支援、会員になっていただき未来へ
つなぐ研究の手助けをどうぞよろしくお願いいたします。

本NPOは、認定NPO法人(認定NPO法人は全NPOの2%しかない)です。
ご寄付に関しては、控除もありますので詳しくはウェブサイトなどでご確認ください。


コメント

コメントフォーム
評価する
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット

↑このページのトップヘ